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六話 (おっぱいを)揉みたくて揉みたくて震える



 ねず子のおっぱいに手を伸ばそうとして、俺はピタッと動きを止めた。

 いや、正確には止められた(、、、、、)と言うべきか。

 もっと正確に言うならば、擬音も『ピタッ』ではなく『ビタンッ』と表現すべきなのかもしれない。



 ねず子のおっぱいに手を伸ばそうとして、思いっきりビンタされたのだから。



「………………………………なあ、ねず子。いくらおっぱいを揉まれるのが嫌だったからとはいえ、合意の上で揉もうとした俺に、この仕打ちはひどくないか?」

「──はっ! す、すみません! ついうっかり手が出てしまいました!」

 依然としておっぱいを腕で隠しながら、ビンタした側の腕を慌てて腰の後ろに隠すねず子。

 今さら隠したところで、ビンタした事実は変わらないんだよなあ。

「本当にごめんなさい……。あの、大丈夫ですか?」

「頬がヒリヒリする」

「あわわ……。ど、どうしましょう……。今から保健室に行って氷を貰ってきましょうか?」

「いや、いい。それよりも確認しておきたい事があるんだが」

「……? なんですか?」

「ビンタされた時に一瞬チラッと見えたんだが──お前のティクビってめっっっちゃ綺麗なピンク色なんだな!」

 今度は頭を思いっきり殴られた。

「──に、二度もぶったね!? 俺にもぶたれた事ないのに!」

「それ、ほとんどの人に当てはまる事例ですから! 普通は自分をぶったりしませんから!」

「でもこの間、隣の家に住むオジサンが自分の体に鞭を打って楽しんでいるところを見た事あるぞ?」

「それは特殊な性癖を持った変態だからですよ! ていうか、そのオジサン大丈夫なんですか!? 通報した方がよくありません!?」

 だだセルフMプレイに興じていただけで通報されてしまうとは。世知辛い世になったもんである。

 きっとこれも、オジサンじゃなくて美少女だったら普通に許されるんだろうなあ。男女平等が叫ばれて久しい昨今だけど、男女平等という言葉をさも女性特権のように扱うのは如何なものかと思う。変態でも可愛いければ好きになってくれる奴はいるかもしれないが、可愛いければ何をしても許されるわけではないのだ。

 おっと、話が逸れた。ほら、俺ってラブ&ピースが人生の信条だから。平和大好き人間なせいで、徳を積まずにはいられないんだよね。きっと明日死ぬ時も、神々しい光に包まれるに違いない。

「え!? 明日死ぬの俺!?」

「いや知りませんけど!? 急になんの話ですか!?」

 一体なんの話をしているのか、それは俺にもよくわからない。世の中わからない事だらけですな。

「もう、本当にこの人は……。心配して損しました。トラ先輩って、つくづく骨の髄までエッチな人ですよね」

「まあ俺からエロを取ったら何も残らないからな。霧散するぜ、空の彼方に」

「……自分で言っていて悲しくなりませんか、それ」

 全っっっ然ならないね。男なんて、大抵下半身で物事を考えている生き物だし。

「さあ、雑談は終わりだ。さっさとその腕をどかしてもらおうか! はよはよ!」

「わ、わかってますから。そう急かさないでくださいよ……」

 「まったく、今日は本当に厄日です……」と陰鬱な表情で愚痴を零しつつ、ねず子はゆっくりおっぱいから腕を離して──しっかりとティクビだけは見えないように前を防いではいるが──ちょうど俺の手が入るくらいの余裕がある位置で動きを止めた。

「……よし。じゃあ、揉むぞ?」

「は、はい……」

 ギュッと強張った顔で瞼を閉じるねず子。

 な、何だか俺の方まで緊張してきたぜ。緊張し過ぎて、俺のムスコすらテントを張るのを失念しているくらいだ。勃ち上がれ、僕の分身!

 閑話休題。緊張しているからと言って、おっぱいを揉まないなんて選択肢はない。俺の手は、今日この日のためにあったと言っても過言ではないくらいだ。

 俺のこの手が真っ赤に燃える! ねず子の乳を掴めと、轟き叫ぶ!!



「ぱふぱふ、フィンガァァァァ──っ!」



 そんな裂帛の気合いと共に、俺はねず子のおっぱいへと両手を伸ばした。

「んんっ……!」

 胸を揉んだと同時に、ねず子の熱っぽい吐息が俺の鼓膜を震わす。

 それはそれで興奮するものがあったが、そんな興奮すら霞むほど、俺は感動に打ち震えていた。



 おおお、おっぱいって、こんなに柔らかかったの!?



 まさかこれほどとは──こんなにも弾力のあるものだったなんて、思ってもみなかった。

 いや、感触だけではない。この滑らかな手触り……まるで赤子の肌に触れているかのような瑞々しさである。こいつ、いつもどんな石鹸を使っているんだ?

 しかも掴んでわかるこのジャストフィット感──巨乳好きである俺が、Cも悪くないと見識を改める勢いまである。これぞまさに、ウルトラC!

 惜しむらくは、ねず子のおっぱいをちゃんと拝めたら最高だったのだが、まあ今回は良しとしておこう。その不満すら吹き飛びそうなほどの揉み心地だったのだから。

 この揉む度に手のひらに伝わる頂点部分……単刀直入で言うところのティクビの感触が、この上なくたまらない。

 きっと俺は、この日のために生きてきたのだ。



 すべてはねず子のおっぱいを揉むために。

 ねず子のおっぱいを堪能するために。



 俺は今日、この日の事を一生忘れないであろう。そしてこれからも、この幸福を噛み締めて、次なるおっぱいを求めるのだ。

 おっぱいのために生きる人生があってもええやん。それって、なんか素敵やん。

 ところで。

 ここまで来たのなら、是非ともやりたい事がある。実行するのは俺ですら気を引けるものがあるが、この際だし、やっちまうか! 逃げちゃダメだって、シンジ君も言ってたし!

 そんなわけで──



「ポチッとな♪」

「ひゃうん!? ななな、何するんですかあああ!?」



 ティクビを指で突いた俺に、ねず子が俊敏な動作でさっと後ろに飛び退いた。

「だ、誰がそこまでしていいと言いましたか! この変態! ド変態!」

「人は、好奇心を忘れたら成長できない生き物だからな……」

「そういう話をしているんじゃないんですけど!? 反省しているかどうかを訊いているんです!」

「反省はしている。だが後悔はしていない!(キリリッ)」

「わかりました。今度こそ通報します」

「正直すまんかった」

 ガチな声音で鞄からスマホを取り出そうとしたねず子に、俺は即座に土下座した。

 うん、さすがにやり過ぎちゃった。こんなに怒った表情をしたねず子、初めて見たもん。何事も調子に乗り過ぎてはいかんって事ですな。

「はあ……。しょうがないですね。通報だけはやめてあげます。私も警察に事情を話さなければいけなくなりますし」

「マジで!? やったあ!」

「その代わり、罰として今から一時間ほど空気椅子の態勢のままでいてくださいね?」

「ヨロコンデー!」

「喜ぶんだ……」

 そんなこんなで。

 俺のスーパーぱふぱふタイムは、罰として空気椅子をさせられるというオチで幕を閉めたのであった。




以上、おっぱい回でした。


でも安心しておくれ。これで終わりじゃないから。おっぱい回はこれからもたびたび出るから! やったねひゃっほう!


そんなわけで、次回もお楽しみに。

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