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五話 やはり俺の青春ラブコメは間違っていなかった!(おっぱい回)



 突然わけのわからない事を言い出したねず子に、俺は少なからず面食らってしまった。可愛いけど生意気で自己愛の強い後輩から自分の胸に興味はないかと煽情的に訊ねられたのだから。正直心を動かされなかったと言えば嘘になる提案だった──。

「いやそれ、私が前回言った地の文そのままじゃないですか! 少しだけアレンジが加えてはありますけれど!」

「のっけから地の文とか言うな」

 俺も人の事は言えないけどな。メメタァ。

 いや、この際そんな事はどうでもいい。それよりも重要なのはおっぱい──もとい、さっきのねず子の発言だ!



「──お前、さっきの言葉は本当だろうな?」



 依然として赤面したままのねず子に、俺はゲンドウポーズで詰問した。第一種戦闘配置だ!

「しかとこの耳で聞いたぞ。『おっぱいを生で揉んでいい』とな。大事な事だからもう一度言うぞ? 『おっぱいを生で揉んでいい』と言ったよな? 『おっぱいを生で揉んでいい』と!!」

「三回も言ってるじゃないですか! ていうか何度も生って言わないでくださいよ! いやらしい!」

「生は生でも、生セックスの方なのに?」

「余計いやらしくなってるじゃないですかっ!」

 男は「生」という言葉を聞くと「生セックス」を連想してしまう生き物だからね。仕方がないね。

「断固として言っておきますけど、触らせるのは胸だけですから! それ以上の行為は絶対させませんからね!?」

「おっ。じゃあ生でおっぱいを揉ませてもらえるのは本当なのか?」

「そ、それは……っ」

 俺の質問に、ねず子は「くっ……!」と屈辱に満ちた顔で目線を逸らした。

「ああもう、私のバカ! ついヤケになっちゃったからといって、あんな事を口走っちゃうなんて!」

 頭を抱えて己を罵倒するねず子。どうやら激情のあまり、うっかり口に出してしまったセリフだったようだ。



 でもそんなの関係ねえ!

 ちゃんと言質は取ったもんね〜! ここから先は俺のステージだ!



「さあ、覚悟を決めろ。ねず子よ……!」

 未だ自己嫌悪に陥っているねず子に、俺は口端を歪めてじりじりと距離を詰めていく。

「お前は今、確かにおっぱいを揉ませると口にしたんだ。それも生でな! いい加減、さっさと俺に揉ませろ! そして吸わせろ!」

「しれっと要求を増やさないでくださいよ! いくらなんでも吸わせたりはしませんからね!?」

「アイエエエエ!? ナンデ!? ねず子ナンデ!?」

「むしろ今の流れで何故吸えると思ったんですか! 逆にこっちがビックリですよ!」

 むうぅ。さすがに吸わせてまではくれないか。どさくさに言えば吸わせてもらえるかもって微粒子レベルで期待していたのに。

 待てよ。ここでわざとToLOVEトラブれば、ワンチャンあるんじゃね? うん、なんかイケる気がする!

「……言っておきますけれど、わざとToLOVEって胸を吸おうとしたら、容赦なく警察に通報させてもらいますからね?」

「心を読まれただと!? おのれエスパーダめ!」

「それブリーチっ! ていうか、なんで普通にエスパーって言えないんですか!? いや、別にエスパーでも何でもないですけれど!」

 なんで普通にエスパーと言えないのか。それは俺自身にもわからない。じゃあなんで言ったのかな?

「あの、それよりも胸を揉ませる件なんですけど、やっぱり生はやめて、せめてブラのままとかではダメですか……?」

「全力でノゥ!」

「即答!? ちょっとくらいは考える素振りを見せてくださいよ!」

 え、考える必要なんてある? ブラか生での二択で言ったら、完全に後者しかないでしょ。世の男子は誰だってそう答えるよ。生一択だよ。

 と、俺の返答がよほどショックだったのか、ねず子は気落ちしたようにがくりと項垂れた。

「まあでも、そうですよね……。トラ先輩はおっぱい魔神ですもんね……。このチャンスを逃すはずがないですよね……。ちなみにですけど、ここで私が逃げたりしたら、トラ先輩はどうします?」

「絶望して学校の屋上からアイキャンフライする」

「この人なら本当にやりかねなくて怖い……」

「そう思うのなら、さっさと脱ぎたまえ。こっちはさっきからずっと待っているのだよ?」

「くっ! パワハラ上司みたいなセリフをここぞとばかりに……!」

 などと悔しげに言いつつ、躊躇いがちにブラウスのボタンを外し始めるねず子。やれやれ、ようやくか。ここまで来るのにずいぶんと時間がかかったな。

 さて、いよいよだ。



 見せてもらおうか。ねず子曰くCカップはあるというおっぱいの迫力とやらを──!



「……あの、あんまりジロジロと見ないでほしいんですけれど……」

「おバカぁ! こういうのは徐々に脱ぎ始めていく様をじっくり眺めるのがいいんでしょうが!」

「どっちがバカですか! トラ先輩の方がよっぽどバカな事を言ってますよ!」

「ええやんか、ええやんか。もっとオッチャンに脱いでるところを見せてぇや。はぁはぁ……!」

「変態! 変態!」

 思いっきり平手で頭を叩かれた。だが、今の俺にとってはご褒美みたいなものだ。

 やはり美少女のストリップを……最高やな!

「んもう! 百歩譲って見てもいいとしても、せめて少し離れてくださいよ! そんな近くで見られたら脱ぎ辛いですっ」

「え、どのみち揉む時に近寄るのに?」

「少しでも変態のそばから離れたいんです!」

「なんだか、冤罪で痴漢容疑をかけられたような気分だ……」

 まあ、俺が変態か変態ではないかで言ったらド変態ではあるが。レベルアップしている、だと……?

 だが、ここでまた時間を取られるのは勘弁願いたい。不承不承ながら、言われた通り、俺は後ろ足で少し距離を取った。

 そうこうしている間に、ねず子はブラウスのボタンをすべて外したあと、ブラウスはそのままに今度はブラの背中ホックに手を掛け始めた。

 ほほう。ブラウスの生地が厚めだったので気付かなかったが、魅惑の黒か。さすがはねず子。生意気にも大人っぽいブラを着けているようだ。

 そうして、躊躇いがちにブラを外したあと、胸を片腕で隠したまま、そっとブラを机の上に置いた。

「……はい。準備できましたよ」

 胸を腕を隠したままこちらを睨め付けてくるねず子に、俺は「ほう」と感嘆の息を漏らした。

 にわかに信じられなかったが、こうして露わになったねず子のおっぱいを見ると、確かにCくらいの膨らみがあった。着痩せするというねず子の言葉は本当だったわけだ。

 これなら貧乳が好みではない俺も、存分に揉み心地を楽しめそうだ。

 しかし、それはそれとして。

「なあ、ねず子。なんでさっきからおっぱいを隠したままなんだ? それだとちゃんと揉めないぞ?」

「その時はちゃんとどかしますよ。その代わり、揉んでいる時は胸が見えないように腕でガードさせてもらいますけれど」

「なんやて!? せやかて工藤、それじゃあビーチクが見れへんやろ!」

「『揉ませる』とは言いましたが、『胸を全部を見せる』とまでは言ってませんから」

 と、赤面したままフンと顔を背けるねず子。

 おのれねず子。意趣返しと言わんばかりに最後の抵抗をしやがってからに……!

 あれか。これも全部BP◯ってやつのせいなのか。BP◯ってなんの略なのかは知らんけど、エロ規制は大体BP◯のせいだって相場は決まっているからな。まあつまり、太田が悪い。なんで急に太田さんが出てきたのかな?

 それはともかくとして、おのれBP◯め。乳首くらい、一昔前のテレビならバラエティ番組でもサスペンスドラマ(特に湯けむり温泉ミステリーツアー系)でも普通にお茶の間で流れていたし、それこそとある地方テレビなんかでは、休日の昼過ぎに『エマニエル夫人』を放映していたくらい、規制が緩かったというのに……!(*実話です)

「……あの、早くしてくれませんか? 誰かに見られでもしたら困るので……」

「お、おう。悪い悪い」

 俺とした事が、昨今のエロ規制を憂うあまり、目の前の大事を失念してしまうところだった。

 確かにこんなところ、誰かに見られたりしたら即タイーホ案件だもんな。たとえそれがケンケンであったとしても、どうなるかわかったものではない。ケンケン、あれで怒ると怖いんだよな……。

 さて、そのケンケンもいつ部室に来るかもわからないし、早く揉むとしよう。

 ただし、揉む際はじっとりねっとりとね!

 気合いも入ったところで、俺はねず子との距離を詰める。むろん、両手は前に突き出したままで。

「……トラ先輩、その両手をワキワキ動かすの、やめてもらえません? すごくイヤらしいんですけど。それとも、そんなに私に軽蔑されたいんですか?」

「安心しろ。俺は普通に嫌な顔をされながらおパンツ見せてもらいたい派だからな。もっとも、おパンツよりはおっぱいの方が断然好きが」

「どこにも安心できる要素がないんですけれど!?」

「ええい! いまは静かにしろ! 気が散る!」

「私としては、むしろ気が散ってほしいんですけれどね……」

 などと文句を言いつつ、その後にねず子は口を閉じて、ギュッと瞼を閉じた。たぶん、怖いのだろう。その表情がより俺の嗜虐心をそそる。俺は中のSEEDが種割れしそうだぜ!

 そうこうしている内に、ねず子の胸を揉める距離まで来た。あとはねず子に腕をどかしてもらうだけだ。

「ねず子、こっちは準備OKだぞ。腕を離せ」

「わ、わかりました……」

 震えた声音でそう肯いて、ねず子はゆっくり腕を前に離した。



 そうして、俺はついに念願のおっぱいへと手を伸ばし──





次回に続くぜおっぱい回!

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