第十六話 デート・ア・プラン
長らくお待たせしました。
「デート……デート、か」
ねず子が発した言葉をオウム返しに呟く俺。
そうしてしばらく腕を組んで黙考したあと、俺はこう口を開いた。
「なるほど。つまり日本語で言うところのセックスという事か」
「…………、いえ全然違いますからね? 意味も違ければ日本語ですらないですからね?」
「言葉の壁は厚いな」
「そういう話でもないと思います」
オウ。日本語、ムズカシイネ〜。
「って、そんな事はどうでもいいんですよ。それよりデートの件です」
「うむ。その戦争がなんじゃらほい」
「……言葉のニュアンスに引っかかるものがありますが、まあいいでしょう……」
こめかみを揉みながら、ねず子は続ける。
「先ほども言いましたが、今こそ攻め時だと思うんです。その最初の一手がデート……理想を言えば、手を繋いで歩けるようになれたらベストですね」
「ほーん。手を繋ぐねえ……」
英語で言うとハンドシェイカーか、少し古いか。少し古いし、ちょっとわかりづらいか……。
「で? もうケンケンは誘ったのか?」
「誘っていたらこんな話はしませんよ。だからここでトラ先輩に協力してほしいんです」
オレが? と聞き返すとねず子は無言で頷いた。
「協力って何を? オレが出来る事なんて、お前にXLサイズのコンドームを渡すくらいしかないぞ?」
「過程飛び過ぎですよ!? さっき手を繋げるまで行けたらベストだって言ったばかりじゃないですかっ! ていうか、え!? 今聞き捨てならない事を言われたような気がするんですけれど、剣斗先輩ってそんなに大きい方なんですか!?」
「まあオレには負けるがな」
「あ、それは嘘ですね。顔を見ればわかります」
なん、だと……? 見破れた、だと……?
「……くっ。なぜわかった。オレがLサイズ愛用者だと……!」
「いや、そこまでは知りませんけれど。いっそどうでもいいんですけれど。そ、それより剣斗先輩って、本当にXLサイズなんですか!?」
「信じるか信じないかは貴方は次第です」
「ええ!? そんな事言われたら余計気になるじゃないですか! 教えてくださいよ!」
真実はいつも君の中にあるのだよ、ワトスン君。
「つーか、ケンケンのケンケンを知りたがるなんて、ねず子もなかなかスケベよねウフ★」
「いやそれは、あくまでも興味本位と参考までにと言いますか……なんですかそのムカつく笑顔は! 今すぐやめてください!」
「ウフフねず子さんったらウフフ★」
「こ、この人は! ここぞとばかりに私を揶揄って……!」
そろそろこの小説のタイトルを「からかい上手の榊さん」に変えてもいいかもしれん。あ、ダメっすか。小◯館に叱られますかそうっすか。
「そ、それよりもデートの話ですよ! 剣斗先輩とのデート! さっきも言いましたけれど、トラ先輩に協力をお願いしたいんです」
「協力って何を? オレが出来る事なんて、お前にXLサイズのコンドームを渡すくらいしかないぞ?」
「無限ループですか! それはもういいですっ!」
「え〜。もっとコンドームの話しようぜ〜。サガミろうぜ〜」
「私に協力してくれたら、また胸を揉ませてあげますよ?」
「詳しい話を聞こうじゃないか(キリっ)」
「ほんと、この人は……」
なぜだか露骨に溜め息を吐かれた。負けじとオレも「コォォォォォ!」と息を吐いた。
「え、急になんです?」
「全集中、波紋の呼吸だ」
「なんか、別の作品が混じってる気がするんですけれど……」
まあいいです、とねず子はそこで一旦区切って、居住まいを正しながらこう続けた。
「そこでお願いがあるんですが、剣斗先輩とデートする前に、一度、私とトラ先輩とで模擬デートをしてくれませんか?」




