十一話 この胸おっぱいの愛を
思うところがあって、この度恋愛ジャンルからコメディージャンルに変更いたしました。いえ、今のところギャグしか書いてないなとか思っちゃいまして……(あとでシリアスになる予定ですが)。
それでは年内最後のお話(おっぱい回☆)をどうぞ心ゆくまでご堪能くださいませ。
所変わって、体育館倉庫の前。
カチャカチャっと慣れた手付きで符号錠(文字合わせ錠とも言う)を外して、体育館倉庫の扉を開ける。
「ほれ、開いたぞ」
「うわ、本当に開いちゃった……。ていうか、どうしてトラ先輩は体育館倉庫の鍵の開け方なんて知っているんですか? ここって先生方しか知らないはずですよね?」
「ああ、前に授業をサボろうとして仮病で保健室に行った時に、体育教師と保健医が乳繰り合ってる現場に出くわした時があってな。その時の口止め料として、あちこち色んな所の鍵の開け方を教わったんだ。ここもその内の一つ」
「色んな所というのが、個人的にものすごく引っかかりを覚えるんですけれど……」
「こまけぇこたぁ気にすんな。とりあえず、さっさと入れ。ほらほら」
「お、押さないでくださいよっ。自分で入りますから……」
扉の前で躊躇うように二の足を踏むねず子の背中を強引に押して、体育館倉庫の中へと入る。
中はいかにも体育館倉庫といった感じで、これと言って特筆する部分は何もない。所狭しと授業や部活で使用する道具が置かれているだけで、何の変哲もなければ面白味すら見出せなかった。
ま、別に体育館倉庫の中に用があって入ったわけでもないから、どうでもいい事ではあるのだが。
それよりも、今最も重要なのは──
「さあ、ねず子。お前の要望通り、人目に付かない場所まで移動したんだ。さっそく胸を揉ませろ!」
「……ほんと、いつでもどこでもブレないですね、このおっぱい魔神は……」
まるで地べたを這いずる虫でも見るかのような、軽蔑に満ちた目を俺に向けるねず子。そんな目で見られたら、ズギュ〜ンと興奮しちゃうじゃないか……♡
「……はあ。わかりました。わかりましたよ。揉ませればいいんでしょう、揉ませれば」
と、ねず子は半分投げやりな口調でそう言って、両手を腰の後ろに回して瞼を閉じた。
「………………」
「………………」
「………………」
「…………あの、トラ先輩?」
と。
お互い何もしないまましばらく経ったあと、ねず子がおそるおそるといった態で口を開いた。
「さっきからまったく揉まれている感触がしないんですが……」
「…………だろ」
「はい? なんて言ったんです?」
「ちーがーうーだーろーっ!!」
俺は叫んだ。
あらん限りの声で。
喉が裂けそうなくらいに。
さながら、世界の中心でアイを叫んだケモノのように、俺は慟哭した。
「違うだろ! そうじゃないだろ! 服の上から揉ませるなんて、そんなの絶対おかしいだろ……!?」
「おかしな事を言ってるのは明らかにそっちだと思うんですけど!? ていうか、なぜに血涙!?」
そりゃ血の涙だって流しますわ! 前回、生でぱふぱふしたのに、今回は服の上からだなんて、そんなのあんまりだよねえ……!
「そこは生一択だろっ! むしろ生おっぱい以外の選択肢など存在しない! 皆無だっ!」
「はあ!? な、生って、またあれをさせるつもりなんですかあ!?」
「YES!」
「めちゃくちゃ良い笑顔と発音で肯定された!」
生おっぱいは偉大だからね。当然だよね。
「いや、なんでまた生で揉ませなきゃいけないんですか! 絶っ対イヤですからね!?」
「にゃんですと!? 俺に死ねと申すか!?」
「生で揉まなきゃ死ぬってどんだけ虚弱体質なんですか! スペランカーのオジサンだってもうちょっと頑丈ですよ!」
「誰がスペランカー以下だ! 少なくともマンボウ以上はあるわ!」
「どのみち貧弱じゃないですか! すぐ死ぬ生き物で有名な奴ですし!」
「バカめ! それは俗説だ! もっとも、急な方向転換が苦手みたいで、よく水族館の水槽の壁に衝突しているらしいがな!」
「なるほど! つまりトラ先輩みたいにバカなんですね!」
「バカちゃうわ!」
謝れ! マンボウパイセンに土下座して謝れ! そして俺にはお詫びにおっぱいをペロペロさせろ!
とは言いつつ、シャチやイルカに体当たりされて虐められても逃げる事すらしないって聞くし、何も考えていないという意味では、あながち間違いではないのかもしれない。マンボウパイセンェ……。
「兎にも角にも、胸は揉ませんから! それは絶対に絶対です!」
「え〜? だったらケンケンを昼飯に誘うのは無しって事で」
「えっ。そ、それはそれじゃないですか! 別に服の上からだったら揉ませてあげるとは言っているんですから、そこはサービスしてくださいよ!」
「悪いな。俺は己の欲望に妥協しない主義なんだ」
「ほんと、ろくでもない主義ですね!」
なにおう。自分に正直な生き方をして何が悪いって言うのだね。嘘吐きはルパンの始まりだって、銭形のとっつぁんが言ってた!
「まったく、これじゃあ全然話が進まんな!」
「あなたがそれを言いますか……」
と、ねず子は心底呆れた顔で嘆息しつつ、言葉を紡ぐ。
「で、本当にどうするんですか? このままだとずっと平行線になるだけだと思うんですけれど」
「どうするって言われてもなあ。俺も引くつもりはないし、どっちも折れる気がないなら、五時限目が始まる前に解散するしかなくないか?」
「それは困ります! 剣斗先輩とトラ先輩と一緒にお昼ご飯が食べられなかったら、私の計画が台無しになってしまいます!」
そこは別にケンケンだけでよくね? 俺も一緒でないとダメとか、ねず子も変なところで小心者だなあ。
まあ、それはともかく。
「計画ってあれだろ? ケンケンと付き合うためのものなんだろ? もうこの際だし、こんなまどろっこしい真似はやめて、さっさと告白したらどうなんだ?」
「……前にも言いましたけれど、時期尚早ですよ。ちゃんとしっかり私を異性として認識してもらってからでないと、断われるのは目に見えてます。向こうは同じ部活の後輩としか見ていないんですから」
「言ってる事はわかるけどさあ。だったらその異性として見られるために、どんだけ時間を掛けるつもりなんだ? 今のところケンケンは誰とも付き合う気はなさそうだけど、お前も知っている通りめちゃくちゃモテるから、いつ彼女が出来てもおかしくはないぞ」
「う〜……」
何も反論できず、顔をしかめて唸るねず子。
「ほらほら。一体どっちにするんだ? 生で揉ませるか、諦めて自分から誘うか、もしくはおっぱいを吸わせるか、選びのは三つに一つだぞ!」
「なんでさりげなく選択肢が増えているんですか! 吸わせるのだけは死んでもやりませんから!」
「じゃあ、どうすんの? どうすんのったらどうすんの〜♪」
「踊らないでください! くっ、先輩とはいえ、少し黙らせるべきか……!」
と、ねず子が握り拳を作って俺を睨んできた。暴力反対! 暴力反対!
「けど、本当にどうすんだ? もうあと十数分でチャイムが鳴ると思うぞ?」
ここから急いで教室に戻ったとしても五分は掛かると思うし、実質六〜七分しか時間はない。断るのなら別段問題ないが、ここで胸を揉ませるのなら、そろそろ決断しないとさすがにまずい。
一応、日を改めるという方法もあるにはあるが、今ここで決められないようであれば、どのみち結果は変わらないだろう。
果たして、ねず子の決断は────
「…………………………………………う〜っ! わかりました! わかりましたよ生で揉ませればいいんでしょう揉ませれば!!」
たっぷり悩みに悩んだあと、ねず子はヤケを起こしたように地団駄を踏んで声を張り上げた。
「やったああああ! また生で揉めるううう〜!」
「その代わり、覚悟の準備をしてください! いつか絶対に裁判を起こしますから! せいぜい刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいてください! いいですね!?」
ねず子さんったら、怒りのあまり日本語がおかしくなっているでおじゃる。
「ていうかさ、裁判なんて起こしたらお前のやろうとしている事まで世間に知られてしまう可能性もあるけど、それでもいいのか?」
「ぐぬぬ……! だったら水でも被って反省してもらます!」
「望むところだ!」
「望むんだ!? ドMなのこの人!?」
失敬な。生でおっぱいが揉めるなら、水くらいいくらでも被ってやるってだけの話だ。なんならローション風呂でもいいくらいである。それだとご褒美にしかならないんだよなあ。
「御託はいい。さあ揉めせろ早く揉ませろ今すぐ揉ませろ即刻揉ませろ! もちろん生でな!」
「急かさないでください! まったく、揉ませればいいんでしょう揉ませれば……」
と、ぶつくさ文句を言いながら、ねず子はしぶしぶベストを脱ぎ始めた。
ついに! ついにこの時が来た! 待ち望んでいたこの瞬間が!
「念のため言っておきますけれど、生で揉ませても直接は見せませんからね!?」
「ああ! あくまでR15厳粛って事だな!」
これ以上めちゃくちゃやって、ヒナさんを怒らせるわけにもいかんしな!
「だが、それならそれで一つ要望を出していいか?」
「……あくまでも、私で叶えられる範囲でなら」
「だったら問題ないな! どうせなら騎乗位で揉ませてほしいってだけの話だし!」
「その要望のどこに問題がないと!?」
あれれー? おかしいぞー? 普通の事を言っただけなのに、何故か全力で突っ込まれたぞ〜?
「何で不思議そうな顔をしているんですか! 明らかにおかしな事を言いましたよね!?」
「記憶にございません。すべて秘書がやりました」
「どこぞの政治家ですか! ていうか、秘書なんていませんよね!?」
「秘書はいつだって俺達の心の中にいるものさ……」
「ワケがわかりません!」
「ワケなどわからなくてよい。お前はただ、騎乗位で生おっぱいを揉ませればいいんだ!」
「もうトラ先輩がわかりません!」
俺という存在そのものを疑問視された。俺はいつだってミステリアスな男だからな。コナンズヒントくらいに。あれって結局大したヒントになってなくて、謎が深まるばかりなんだよなあ。
「ほらほら。こんな事を言っている間にどんどん時間は過ぎていくぞ。ちなみに寝転べるようにマットをすでに敷いてあるから、お前は安心して脱げ」
「いつの間に!?」
双眸を剥いて驚愕するねず子。会話している暇があったらマットくらいは敷いた方がいいだろうと思って、ねず子が服を脱いでいる間に密かに引っ張り出したのだ。このまま寝たらだと埃まみれになっちゃいそうだし。
「さあ。こうして俺は仰向けになって準備万端だ。あとはお前だけだぞ」
「ほんと、こういう時の行動力だけは誰よりも迅速ですね……」
「行動力の化身とも呼ばれているからな」
「どうせ、エッチな事をする時だけでしょ?」
そうとも言う。芹澤優。
「はあ。もういいや。さっさと済ませよう……」
ようやく決心(諦めとも言う)が付いたのか、ねず子はブラウスのボタンを全部取ってブラのホックを外したあと、俺の下腹部にゆっくり腰を下ろした。
「こ、ここでいいですか?」
「おう。絶景かな絶景かな」
満足げに頷く俺に、ねず子はリンゴのように真っ赤になった顔で「屈辱です……っ」と苦渋に満ちた声を発した。
「じゃあ、早速揉ませてもらうぜ?」
「はい。もう好きにしてください……」
嘆息混じりに言いながら、ねず子はおもむろにブラを取って、俺から胸が見えないようにやや下向き加減で片腕を出した。
うーむ。前回同様、見事に隠してくれるな。これでおっぱいもちゃんと見られたら最高だったのに。
とはいえ、これ以上贅沢は言うまい。こうして騎乗位の状態でおっぱいを揉めるのだ。今はこの瞬間をたっぷり楽しむとしよう。
はてさて。
それでは、実食だ──!!
己の早鐘を打つ心臓の音を感じながら、俺は徐々にねず子のおっぱいへと腕を伸ばす。
そして──────
あゝ、至福なり。
前回同様、揉み心地抜群な感触ではあるが、それだけではない。前よりも肌の質感がスベスベしている上にもっちりとしていて、最高の肌触りとなっている。
そして手のひらの中心にねず子のスイッチ(隠喩)も当たっているのだが、ねず子自身も胸を揉まれて感じているのか、時折「ぁん……」と淫靡な声を漏らしていた。
何よりも最高なのが、この眺め!
騎乗位だからこそ可能である絶妙なアングルが、俺の満足感をさらに高めてくれる。下乳からの谷間ってこんなに素敵なものだったのか! すばらっ!
俺は一生、この体験を忘れない事だろう。いつまでも俺の脳内アルバムに、「ねず子の騎乗位おっぱい」と銘打って永久に残り続けるのだ。
ねず子にありがとう
理性にさようなら。
そしてすべてのおっぱいに、おめでとう──。
そうして俺は、ねず子のおっぱいを心ゆくまで堪能したのであった。
以上、年内最後の更新でした。
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それでは、来年もよろチクビ!