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一話 おっぱいが好きだと叫びたい



「俺は主張したい。そろそろ『おっぱい』という言葉を国の無形文化遺産にすべきであると!」

「いきなり何を言い出してるんですか、トラ先輩は」



 放課後──文芸部の部室の中での事だった。

 おっぱいへの熱意を街頭演説のごとく口舌した俺に対し、一年生で後輩の根津ねず美也子みやこ──もといねず子は、そんな心底呆れた表情で言い返してきた。

「そんなもの、認定されるわけないに決まってるじゃないですか。そもそも無形文化遺産というのは、その名の通り文化的に認められた祭事や儀式、伝統工芸などの事で……」

「こまけぇこたぁいいんだよ! とにかく、おっぱいはそれだけ偉大だって事を言いたいの!」

「少なくともそれ、女の子を前にして言うセリフじゃないですよね? しかも私みたいな可愛い女の子に」

「自分で可愛いとか言うな」

 いや、確かに見た目は可愛いけどさ。

 顔のパーツはどれも整っていて、特に目は猫みたいにクリクリしてるし、艶のある綺麗な黒髪は花柄のシュシュでサイドテールにしてあって清楚感があるし、小柄だけどスレンダーでどんな服も似合いそうだし、外見だけで言うなら美少女と評しても過言ではないくらいだ。

 けど中身がなあ。今のやり取りだけでもお分かりのように、やたら生意気なんだよなあ。しかもなんでだか俺にだけ態度がでかいし。

「トラ先輩は相変わらず強情ですね。いい加減、私の事を可愛いと認めてくれていいと思うんですけど? 私が入部してからもう二ヶ月近く経つわけですし」

「悪いな。俺は見た目よりもおっぱい派なんだ」

「……そんな事ばかり言ってるから、学校中で『おっぱい魔神』呼ばわりされるんですよ」

「よせやい。照れるだろ」

「いや褒めてませんから! まったく、見た目は悪くないのに何でこうも頭の中が胸の事にしか興味がないんだか……」

 元気な男の子だからね。こればっかりはしょうがないね。



「何を言っても無駄だよ、根津さん。トラとは幼稚園の頃からの付き合いだけど、小さい頃からおっぱいの事ばかり考えていたからね」



 と。

 俺の親友であり、文芸部部長である滝沢たきざわ剣斗けんと──もといケンケンが、今日も憎たらしいほど爽やかなイケメン顔でそう口を挟んできた。

「なんて言ったって、当時担任だった幼稚園の綺麗な女性の胸を揉んだどころか、谷間に顔を埋めてゲヘゲヘ笑っていたくらいなんだから」

「うわー……。まだ幼稚園児だったとはいえ、女の人の胸に顔を埋めて笑っているとかドン引きです。完全に犯罪者ですね」

「バカめ! 高校生になった今なら犯罪でも、五歳児だったらノーカンなんだよ! イエス合法!」

「……仮に合法だったとしても、色んな意味でアウトですよ」

「一応これでも法律はわきまえているから、犯罪行為に至る心配はないけどね。ただ単に、トラが超スケベというだけで」

「いくら法律はちゃんと守っていても、超スケベというだけでかなり人としてマイナスだと思うんですけれどね〜……」

 ジト目で俺を見ながら言うねず子。あんまり失礼な事ばかり言ってると、同じ名前の禰豆子ねずこさんみたく、猿ぐつわ噛ませるぞコラ。

「その点、剣斗先輩は見た目も心もイケメンで素敵ですよね〜。いつも紳士ですし、成績も優秀な上に運動神経も抜群なんですから〜」

「大袈裟だよ。見た目に関しては両親のおかげだし、成績や運動神経は単なる努力の結果だよ。本気で勉学やスポーツの道を歩んでいる人には遠く及ばない」

「なんて謙虚な言葉! ますます素敵です〜♡」

「おいコラ。ずいぶんと俺の時とは態度が違うじゃねぇか。あからさまにケンケンの時だけ甘い声を出しやがって」

「日頃の行いの違いですよ」

「日頃の行いの違い? 俺とケンケンの違いなんて、顔くらいしかないはず……」

「それ本気で言っているんだとしたら、かなり重症ですよ……?」

「北海道かな?」

「それは十勝とかちですよ! ていうか、今までずっと『ジュウショウ』って読んでいたんですか!?」

「あはは。本当に二人のやり取りはいつ見ても面白いね。夫婦漫才みたいというか、仲が良くてさ」

「やめてくださいよ剣斗先輩! こんなおっぱい魔神と夫婦とか、冗談でも寒気がします!」

「俺だってこんな生意気な後輩と夫婦になんてなりたくないわ! だいたい、俺は貧乳は嫌いだ!」

「だ、誰が貧乳ですか! 着痩せして見えるだけで、実際はCはあります〜っ」

「ケンカするほど仲が良いって言うよね」

「「だれがこんな奴(人)と!」」

 まったく同じタイミングで文句を言う俺とねず子。ほんと、中身だけは可愛くない奴だな!



 なんて。

 この時はそんな風に思っていた俺だが、まさかこんな生意気な後輩のおっぱいを生で揉む日が訪れようとは、夢にも思っていなかった。




ほとんどノリと勢いだけで投稿してしまったこの昨日。でも後悔はしていない! だっておっぱいが大好きだから!


そんなこんなで、評価とご感想、またはレビュー、どしどしお待ちしております。


◇明日も更新予定です。

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