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二度目の転生は上手く生きていきたい  作者: 江藤乱世
第四章 ~ギルド~
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アルヴァ魔法について語るようです 後半

ちょっと長かったので二つに分けました。前半があるので呼んでない方はそちらからどうぞ。

自分で補完できる方はそのまま読んで下さい

 その言葉はイーステリア、マリナ、ノーレスの三人が言葉を失うには十分な内容だった。

 そもそも三人の常識では、スキルを持つものがスキルと同じ属性の魔法が使える杖を使って初めて無詠唱で魔法を使うことが出来るのだ。誰にでも使えるということはあり得なかった。


「あ……あり得ません。わたしだって杖を使ったことくらいあります。それでも魔法は使えなかったんです」


 マリナは自分の経験からそう反論する。しかし、アルヴァはそれがわかっていたのか、マリナに近づき、【道具箱(アイテムボックス)】から取り出した杖を手渡した。


「それに魔力操作の要領で魔力を流してみて」


 マリナは何も言わず、受け取ったマリナは恐る恐る、しかし言われるがまま魔力を流す。


「あ……」


 それは小さな光だった。杖の先が小さく光る。ただそれだけの魔法。しかしそれは紛れもなくマリナが発動した魔法の光だった。

 その光景にマリナはもとより、イーステリアとノーレスも言葉を失う。


「それじゃあ、詳しく説明しようか」


 アルヴァは三人の驚きなど気にもせず、説明を続ける。


「魔法の発動に必要なものは実は二つ。魔法陣と魔力、この二つしかない」


 その言葉に三人からの反応はなかったが、聞いていると感じたアルヴァは続けた。


「だから魔法陣さえ描くことが出来れば、魔法を発動することは可能になる。ただ、もちろん簡単なことじゃない。それはスキルに関係ある。そもそも魔法のスキルとは、魔力の性質を表すと僕は考えてる。その性質に変化しやすい才能を持っていると、スキルを持っていることになる。例えば僕が回復魔法のスキルを持っているとすると、回復魔法の魔法陣に馴染む魔力に変換しやすいってことになるって感じかな」


「で……では、その性質を変化させれば、誰でもどの属性でも使用可能ということですか?」


 ノーレスの質問にアルヴァは頷く。


「ただ、意識的に行うにはどうすればいいのか僕にはわからない。それに、性質が違うからと言って魔法陣に魔力が流れないわけじゃないから、必要ないといえばないかな。でもやっぱりスキルを持ってる魔法の方が早く発動できるから、それを突き詰めた方が建設的かな。むしろスキルを持っていない魔法の発動はめちゃくちゃ遅いからおすすめしないよ」


「じゃあ結局、無詠唱ってなんなのですか?」


 しっかりと説明は聞いていたのか、イーステリアは疑問を口にした。


「説明が不十分だったね。スキルにはもう一つ、重要な役割があると僕は思ってるんだ」


「役割ですか?」


 イーステリアは意味が分からなかったのか、首を傾げた。


「役割っていうのもおかしいかな。ただ、スキルを持っていると魔法陣が不要になる。それは間違いない。そしてスキルレベルっていうのは、その使える魔法の難易度に関係してるんだ」


「それでは、誰でも無詠唱が可能だってことですか!?」


「スキルがあればね。もちろん、練習は必要だけどね。そのための魔力操作でもある」


 アルヴァの言葉にイーステリアは言葉を失った。

 否定することは容易い。ただアルヴァが説明しているだけの荒唐無稽な話と片付けたっていい。しかし、それを説明しているのはあらゆる高等魔法を使用し、無詠唱さえこなすアルヴァなのだ。否定できるわけがなかった。


「まぁこんな理屈はさておき、まずは魔法陣を使った魔法に慣れていこう。これだけでもかなり発動が早くなるから」


「杖を使った魔法では駄目なのですか?」


 マリナは魔法が使えた感動が忘れられないのか、アルヴァから渡された杖をぎゅっと握りながら言う。


「それだと魔法具に刻まれた魔法しか使えない。使える魔法は多いに越したことはないと思うよ? 対処できることも増えるからね。もちろん魔法具も悪くないから、今は使えいないような切り札を使えるようにするのはありだと思ってるよ」


「そうですか」


 マリナは少し落胆した様子だったが、すぐに気持ちを切り替えたのか、持っていた杖をアルヴァに差し出した。それを見たアルヴァは何も言わず受け取り、三人から離れて元の位置に戻った。


「それじゃあ、質問がなくなったところで練習を始めようか」


「お待ちください。アルヴァ様でもスキルは分からないことが多いのですか?」


 このままだと話が終わってしまうと思ったのか、ノーレスが口を開く。


「そうだね。推論は出来るけど、正直スキルには謎が多いよ。それこそそれは神のみぞ知るってやつじゃないかな?」


 アルヴァは転生前に出会った少女が本当に知っているのか疑問に思いながら答えた。


「推論は出来ているということは、具体的な質問はあると考えてよろしいですか?」


「そうだけど……それがどうかしたの?」


 ノーレスの質問の意図が見えず、アルヴァは首を傾げた。


「もしかしたらその疑問、解消できるかもしれません」


 今度はアルヴァが驚く番だった。前世ではいくら調べたところで解決の糸口も見つからなかったのだ。こんな簡単に答えにたどり着ける可能性があるとはアルヴァは信じられなかったのだ。


「どうやってですか?」


 知れるものなら知りたい。アルヴァはすぐに方法を問いかけた。


「神に聞けばいいのです」


 その答えにアルヴァは落胆した。神がいることは知っているが、聞く方法など聞いたことがなかったからだ。


(ノーレスさんは冗談のつもりだったのかな? だとしたら落胆したのは失礼だったかな?)


「確かに、それは妙案ですね」


 落胆したアルヴァとは裏腹に、イーステリアは真剣な表情でノーレスの意見を肯定する。


「可能性は低いですが、具体的な質問なら答えていただけるかもしれません」


 そしてマリナでさえもそこに希望を見たのか、頷きながらそう言った。


(え? 何? どういうこと?)


 アルヴァは困ってラビィに意識を向けるが、返ってきたのはラビィも理解できていないという返事だった。ルナにも視線で問いかけるが、首を振ってわからないという意思を示す。

 そんなアルヴァの困惑を感じ取ったのか、イーステリアは意外そうな表情を浮かべた。


「もしかしてアルヴァ様は神様が存在することをご存じないのですか?」


「いや、いるのは知ってるよ?」


 アルヴァを最初に転生させた張本()が神なのだ。知らないわけがなかった。


「でも、いるとしても神と会話なんて不可能でしょ?」


 そもそもそんな方法があるのなら、前世でアルヴァが真っ先に試していただろう。神に聞きたいことなど山ほどあったのだから。


「やっぱろご存じなかったのですね」


 イーステリアは驚いたようにそう言った。


「アルヴァ様でも知らないことがあるんですね」


「なるほど。元魔王だけあり、人間の文化には少し疎いようですね」


 マリナとノーレスもそれぞれ程度は違うが、驚いたようだった。


「アルヴァ様、神様とお話しすることは可能なのです」


「え?」


 アルヴァはその言葉が飲み込めず、問いかける気もないのにただ口から声が出た。


「誰でも話せるわけでもありませんし、いつでもお答えしていただけるわけでもありませんが、【神託】というスキルを持つ方は確かにそのお声を賜ることが出来ます」


「神の像の前で問いかけるとたまにお答えが返ってくるようです。そのお答えはは様々な分野に広がり、小さなものでは明日の天気から、果ては自然災害まで様々です」


「わたしも何度か教会で神様に問いかけましたが、お答えいただいたことはありませんが、父は一度だけ不作の注意を受けたと言っていました」


 三者三様の話を聞きながら、アルヴァはなおも混乱していた。


「ま……待って。なに? 神様ってそんな簡単に質問できる存在なの?」


「はい。もちろん一方的なお告げもあります。最近では魔王誕生と勇者誕生です」


 イーステリアの答えにアルヴァは頭を押さえた。


(この世界の神はこんなに近い存在だったのか。今思えば前世で何で魔王誕生が人間側にわかったのか疑問だったけど、こういうからくりだったのか)


「つまり、答えが返ってくる保証はないけど、神様に問いかけると正確な答えが返ってくるの?」


「はい。より具体的な質問であればあるほど答えが返ってくることが多いようです」


(なるほど、だからノーレスさんはさっき質問をしてきたのか。というか、あの幼女、暇なのかな?)


 アルヴァはそんな失礼なことを考えながら、自分を転生させた幼女の姿を思い出していた。詳細は思い出せないが、もう一度会えばわかる程度にはその幼女のことを思い出すことが出来た。


「じゃあ、機会があれば聞いてみるよ」


「それでは、わたしの領地に来た時にでもどうですか? 前にお約束した通り、色々教会のご案内したいので」


 マリナは妙案だとばかりにそう言う。確かにそんな約束したなと思い出し、「お願いするよ」と答えた。


「それにしても、このような話をしているとアルヴァ様が元魔王であると実感できますね」


 イーステリアはしみじみとした様子でいった。


「信じてなかったの?」


「いえ! 信じてはいたのですが、こんな一般常識も知らないと思うと改めて実感できたといいますか……」


 イーステリアはどう言葉にすればいいのか迷ったのか、言葉は尻つぼみになった。


「まぁ、きっと知らないことは多いと思うよ? 僕の常識なんて村で大人たちに教えてもらったものだけだから」


「では、わたくしでもお役に立てることはあるのですね」


 イーステリアは嬉しそうにそう言った。


「そうだね。わからないことがあったらイリスに聞くことにするよ」


「はい!」


 アルヴァの役に立てることが余程嬉しいのか、イーステリアは本当に嬉しそうに微笑んだ。その様子をラビィは微笑ましそうに見ており、その心の動きを見たマリナが微笑んだ。


「さて、話がそれたけど戻そう。とりあえず今日からは魔法陣展開の練習をしよう」


 そう言ってアルヴァは気持ちを切り替えて説明を再開する。しかしその日は三人の誰一人として魔法陣を展開できる者はいなかったのだった。

説明回はどこかで矛盾してそうで怖い……

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