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二度目の転生は上手く生きていきたい  作者: 江藤乱世
第一章 ~誕生~
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転生先は人間でしたが、大変な事実が判明しました

転生完了。そしてありがちな展開へ

 眠りから目覚めるように魔王は目を開けた。しかしそこは見たことのない天井であり、体を包むものも感じたことのない感触で、起き上がるために伸ばした腕は思ったよりも短かく、力は弱かった。転生は成功したんだなと魔王はすぐに理解し、現状を整理していく。

 今世の名前はアルヴァというらしく、現在十歳になったばかり。父親は魔物に襲われ死んでおり、母親とは二人暮らし。日々の生活は小さな畑を耕し、出来た作物で自給自足している。住んでいるのは小さな村で、村人のほとんどが畑で食べ物を作っており、他には鍛冶屋や服店など、生活していくうえで必要なお店はある。


(うん、いたってのどかな普通の村だな)


 そう現状を把握してアルヴァはベッドから起き上がった。

 なぜこのタイミングで魔王としての自我が戻ったのかはわからないが、アルヴァはあくまで魔王自身であり、記憶のなかった魔王そのもの。転生とは魂のような本人の情報を次の肉体に移す術であり、すぐに前世の記憶を取り戻すことができないものなのだ。故に乗っ取ったわけではないので、魔王としては心苦しいという思いは微塵もない。


「とりあえず着替えよう」


 自分の中にある日常を思い浮かべながら、服を着替え、顔を洗うために顔を拭くための布をもって外に出る。家の側にある水瓶から桶に水を必要な分を移し、それを使って顔を洗う。

 水は共同の井戸からくみ出し、運んできて使うか、ある程度貯めておくのがこの村の常識だ。


(これ、僕の水魔法の方が早いんじゃないかな? あ、でも転生したからすべてリセットかな?)


「試してみるか?」


「アルヴァ、おはよう。今日は早いのね」


 優しい、慈愛に満ちた声がアルヴァの後ろからかかる。振り返れば、そこには大人の女性が立っていた。その女性に魔王は見覚えなかったが、アルヴァとしては慣れ親しんだ女性だった。


「おはよう、母さん」


 彼女は正真正銘アルヴァを生んだ母親だ。つまり、今世での母親ということである。前世では親はいなかったので、なんとなく新鮮な気持ちになった。


「母さん?」


 母さんは不思議そうに首を傾げた。それもそのはず、昨日まではママと呼んでいたからだ。ただ、魔王としての自我が目覚めた今では、さすがに恥ずかしく、呼称を変えたのである。


「ダメ?」


「ううん、大丈夫。ただ、成長したんだなぁと思って」


 母さんは嬉しそうにほほ笑むと、楽しそうにそう言った。相変わらずだなぁと、アルヴァとしての記憶でそう思った。


「ご飯できてるよ。一緒に食べよ」


「うん」


 アルヴァは頷くと、水の後始末をして家の中に戻った。自分のスキルのチェックは保留しておく。


 家の中に入ると、既にテーブルには朝食が用意されていた。今日のメニューはパンと牛乳である。


「さぁ、食べましょ」


 アルヴァは母さんの向かい側に座ると、母さんと一緒に食べ始めた。決してお腹いっぱいになる量ではないが、それでも生きてくうえでは困らないほどには日々食べることができていた。狩りでもした方がいいのかなぁと考えながら、パンをちぎっては口の中に入れていく。


「母さん、今日の仕事は?」


「ん~…… 収穫はもう少し後だし、種うえにも早いから、今日は草取りくらいかな」


 昨日畑の(うね)(土を盛り上げて高くした部分のこと)を作ったので種植えかと思ったが、まだ少し早いらしい。そのあたりの判断はまだアルヴァにはできないので、母さんの言葉に素直にうなずいた。


「じゃあ、今日は狩りに行っていい?」


 父親は狩人で獣を狩っていて、何度か森の近場までは連れて行ってもらったことがある。その時に小さな獣程度なら狩ったこともあるので、不可能ではないのだ。


「……大丈夫?」


 母さんは心配そうにアルヴァに確認した。その顔は不安でいっぱいになっており、狩りに行った父親が魔物に殺されたためだとアルヴァはすぐに察した。


「大丈夫。奥まではいかないよ」


 流石に何ができるかわからないうちから無茶はしない。森に行くのは今世でのスキルや能力の確認と、生活の足しになる程度に獣を狩ろうと思ってのことだった。


「何かあったら、迷わず逃げるのよ」


「わかっているよ」


 未だに不安そうな母さんを残し、それは食べ終わった食器を片付けると、自分の部屋に戻った。さすがに死ぬ気はないし、無茶はしない。今世での母親まで不幸にするわけにはいかないのだから。


 自分の部屋に戻ると、父親の遺品であるナイフを腰につける。これしか使える道具はないが、今回はこれでいい。準備が終わるとすぐに母さんに声をかけ、昼までに戻ると言って森に向かった。最初の目的地は近くの小川だ。

 森の中を少し進んでいくと、すぐにその川は現れる。流れは穏やかで、大雨で氾濫したこともないらしい。少なくともアルヴァは知らない。

 ここに訪れたのは【解析(アナライズ)】が使えるかどうかだ。それが使えるか否かで、これからの行動が変わってくる。【解析(アナライズ)】が使えないことはすなわち、前世のスキルは消えているということだからだ。あったら便利程度だが、確認しておくに越したことはない。

 アルヴァは小川の近くに来ると、膝をついて覗き込んだ。緩やかな流れのおかげで、自分の顔は何とか確認することができる。


解析(アナライズ)


 アルヴァは昔の感覚のまま、スキルを使用する。すると、自分の中に自分のステータスが浮かび上がった。スキルは継承しているのかと思いながら、今のステータスを確認する。




名前     アルヴァ

種族     人間

レベル      5*

体力     203/203

魔力      21/21*

筋力      63

精神力     44*


スキル 火魔法Lv6 水魔法Lv6

    土魔法Lv6 風魔法Lv7

    光魔法Lv7 闇魔法Lv8

    回復魔法Lv10 阻害魔法Lv10

    補助魔法Lv10 重力魔法Lv9

    時空魔法Lv10 錬金術Lv10

    物理攻撃耐性Lv10

    魔法攻撃耐性Lv10

    魔力消費減少Lv8

    状態異常耐性Lv8

    威圧Lv10

    体力上昇率アップ 魔力上昇率アップ

    筋力上昇率アップ 精神力上昇率アップ

    スキルレベル上昇率アップ

    獲得経験値上昇 自動回復 解析 

    多言語理解 限界突破 天候予測

    魔法創造




(これはヤバいやつだ)


 思わずアルヴァは天を仰いだ。

 アルヴァは前世へ転生するとき、神に望む能力を贈られていた。それがこの狂ったようなスキルの数々だ。元々は全てLv1だったのだが、生きていくうちに上がっていき、今ではLv10と最大まで上がったものまである。他にも生きているうちに獲得したスキルもあり、そのスキルを今世では受け継いでしまったようだった。ある程度予想していたが、実際見るとその衝撃は大きかった。

 しかし、これにより分かったことは多い。レベル、スキル、魔力、精神力は前世とほとんど変わっていないので、魂というか精神に紐づけされていること。体力や筋力は生まれてきた肉体に依存するということだった。わかったところで何も得られるものはないのだが。

 それと重大なことがもう一つ。見たことのないスキルが一つ増えていることだ。前回の転生時にもこの現象は起きていた。どうも生まれてくる人は生まれながらに複数スキルを持って生まれるようなので、アルヴァの場合は最初からたくさんあるから一つだけ増えるという事態になっているのだろうと推測できる。ちなみに前回増えていたのは天候予測だ。なので増えたことには何の疑問もない。問題はその増えたスキルだ。


【魔法創造】


 このスキルには全く見覚えがないし、前世で見た記憶もない。魔法系のスキルが軒並みレベルアップしているので、この肉体は魔法の才能があるのかもしれない。もし【魔法創造】が名前の通りのスキルの場合、さらにまずいなぁと思いながら、アルヴァは【魔法創造】の詳細を見るために、【解析(アナライズ)】でそのスキルに集中する。



魔法創造(好きに作っちゃえ)


 自身が考え付いた魔法をこの世界で使用できる形に構築できる。使用魔力、難易度までは変更できない。



(なんだろう、このふざけたスキル)


 アルヴァがそう思うのも無理はない。何しろスキルの名前が【魔法創造】で、そのふり仮名が【好きに作っちゃえ】である。

 この世界のスキルには振り仮名がある。スキル詳細を見るとわかるそれを見ると、アルヴァに前前世の世界での中二病を思い出させた。その中でもこのスキルは群を抜いておかしい。


(そもそも好きなように魔法を作れるってかなりやばい。元々チートじみた能力だったけど、それに拍車がかかってる)


 アルヴァは川を覗いた体勢のまま、首を垂れる。まさしくうなだれているのが見てわかる格好だ。しばらくそのままの姿勢のまま今後のことについて考える。


(まぁ、今更だから気にするのはやめよう。とにかくしばらくは魔法やスキルの人前での使用は控えよう。目立つとありがたられるか怖れられるかなのは前世で体験済み。今世は平和に生きていきたい)


 自分の行動方針を改めて確認すると、アルヴァは森の中に歩き出す。まずは今の自分にできることを確認することに決めたのだ。他の問題はとりあえず放置することにしたらしい。俗に言う現実逃避だ。

 少し歩くと、数十メートル離れた木の上に鳥が止まっているのが確認できた。アルヴァはちょうど良いと思いながら、落ちていた小石を拾う。


(さて、どのくらい魔法は使えるかな?)


 石に風を纏わせ、そのまま思いっきり投げる。

 石は弾丸に近い速度で鳥まで飛んでいき、鳥に当たると頭部を完全に粉砕した。


「うわぁ……」


 アルヴァの口から思わず声が漏れる。本人は気絶させる威力で投げたつもりだったようだが、結果はこの通り、鳥は即死である。


(これは要練習かな。とりあえず今の鳥は血抜きすれば食べられる……か?)


 自分で食べればとりあえず問題があっても死にはしないと結論付け、下処理だけしておく。父親に教えられたことはないが、教えられたことにすればいいとそこは適当に考えていた。ちなみに何故鳥をさばけるかというと、前世での生活による。

 それから四回ほど鳥を狩ったが、うまくいったのが二羽で、当たっただけで捕まえることができなかったのが一羽だった。あまりにもふがいない結果に、しばらくは魔力捜査の練習をしようと心に決め、アルヴァは血抜きをした二羽と、処理をした一羽をもって今日は岐路についた。

鳥の処理ってどうやるの?

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