片瀬日和の調査メモ03
「メモ03」
「書物」
――題:血染めの神隠し
著:???
初染めの神隠しを題材にした物語。
集団失踪した生徒が、学校ごと異界に取り込まれ、そこで瘴気にあてられて殺し合うという話し。
全七日、七章ある内容で、最終的には全滅する。生き残りはなし。
――題:白いツバサ
著:リィズ・ブランディシュカ
初染めの神隠しを題材にした物語。
登場人物の設定には、いくつかの事実が含まれており、綿密な取材を窺わせるものがある。
メディア関係者が筆記した物だと言われている。
内容は異世界が舞台。
異世界を冒険する少年少女が主人公。
集団失踪した者達が、実は異世界転移していたという設定の、ファンタジー設定。
しかし、最終的には結締姫乃一人だけが生き残り帰還。
……以下設定
・(存在しない架空の人物)孤児であった方城未利は、財産目当てに方城家に取り入り、養子になる。方城織香に成り代わり、義理の両親を追い詰め、病状悪化にて死亡させる。そして、織香の代わりに両親に取り入った。(姉と設定されている方城織香は存在している、方城未利の両親とされる夫妻も健在)
・数件火災現場のあった地元から転校してきた結締姫乃。放火行為の疑い。
・一見関係なさそうに思える、他の学校の生徒、九条零二について。事件の数日前、中央心木学園の生徒の名前を名乗って文房具を購入した生徒が存在する。「ゆうき」という偽名を名乗ったその苗字の人物は、中央心木学園に実際は存在しない。購入履歴は、カッタ―、シャープペンシル、シャープペンシルの芯。他にも数人の人間が同じ人間の存在をほのめかしている事から、九条零二は妹が在学していた学校へ不法に忍び込んでいた疑い。
・初染町に存在する暴力組織に関係していると思われる、獅子上選。白獅子なる組織に入り、暴力行為に加担していた。その幼なじみである沢ヶ原緑花の姿も、同じ現場にたびたび目撃される。
――題:ツバサ
著:310(レイン)
ネットに転がっていた二次創作作品。
内容は素人に毛が生えた程度の物。
集団失踪した物達が異世界での冒険を経て成長し、大円団のハッピーエンドを迎える。
リィズ・ブランディシュカ著である「白いツバサ」と内容の類似点が多いが、クオリティ・内容密度は前者の方が上。
滅亡に瀕した異世界での冒険小説であるが、倒すべき悪役はいない。
特筆すべき点は一点のみ。
作者310が生存者である結締姫乃と交流があった形跡が見える事。