1/3
片瀬日和の調査メモ01
「メモ01」
小学生生徒集団失踪事件「通称:初染めの神隠し」について
中央心木学校の生徒、数百名が行方不明になった。
事件発生の理由の推測としては、組織的な犯罪に巻き込まれたという現実的な意見から、神隠しに遭ったのだという非現実的な意見まで様々な物が存在した。
容易には原因の掴めぬ事件。
その事件は疑問しか残さない事件であった。
発生当時、人々は大いに騒ぎ立てた。
事件の発生から約一年後、一人の生存者が唐突に現れた事で、その騒動は更に熱を帯びる。
生存者は結締姫乃。小学五年生の少女だ。
しかし、その生存者の口は固く閉じられていて、真実の一端すら掴む頃はできない。誰も真相を知る事はなかった。
やがて、熱しやすく冷めやすい人々の興味は、他の事へと移りゆく。
神隠しの事件を覚えている物はわずかで、それは明らかに顕著な物となっていた。
未だに数少ない人間が真相を探ろうと動き回ってはいるものの、人々は事件の存在すら忘れ去っている現状だった。
以下に記すのは、その真相を暴こうと動き続ける一人、すなわちこの私の掴んだ情報の断片である。