ダイエットとは減量にあらず食事療法也
49歳をまもなく迎える同期入社2人。
恋愛なんて縁遠いと思われた2人の出会いを全13話で描きます。
※最初の3話の2人の変身について書いているので、恋愛話ではありません。ごめんなさい。
「もうすぐ健康診断だね…痩せなきゃ…」
「私最近体重計に乗ってないよ…」
同期入社で独身2人組の仁科聡子と上野久美子は同時に溜め息をついた。
昔は2人とも細かった。いや中肉中背だった。
でもいまや2人とも身長は160cm前後で体重は…当時より10kg以上重かった。
聡子はそれなりに男性とお付き合いしてきたが、結局30代前半に短いお付き合いを繰り返した後はそういう機会がなく、今に至る。
久美子は彼氏いない歴歳の数…という筋金入りの所謂喪女だ。もっとお洒落すればいいのにと友達に言われ続けてこちらも歳の数。
体重も重いし、お腹周りはもちゃもちゃ、見た目は完全に「オバサン」になってる自分自身に幻滅しながらも鏡、特に姿見は極力見ないようにしてきた2人。
「何暗い顔してんの?」
と来たのは55歳の先月横浜事務所から転勤してきたばかりの大久保恭子だ。ショートカットが似合っていてスタイル抜群で、先輩の方がずっと年上なのに「オバサン度」では完全に自分が勝っている…圧勝だわ…と2人は思っていた。
「…健康診断の案内が来たんですぅ…」
この世の終わりのような顔で聡子が言った。
「なんか引っ掛かってるわけ?」
「いや、体重ですよ~…」
「ああ……」
「大久保さんみたいに細かったらいいんですけどね」
そこで恭子は素の顔になった。
「いや、私…油断したらすぐ太る体質なんだけど?」
聡子と久美子は「またまた~」と笑った。
「横浜事務所時代のMAX体重は今より15kg重かったんだけど?」
「えっ15kg!?」
「ダイエットして今の体重になってからまぁ1年以上維持してるけどね」
「15kgダイエットってすごい…でも私太る体質だし~…」
「…私から見ると仁科さんも上野さんも食べ過ぎと運動不足だと思うよ?絶対痩せる方法があるんだねどね、要はやるかやらないか…なんだけど」
「えっ絶対痩せる方法!?」
「うん、あのね」
恭子が教えてくれた。2人はとりあえず健康診断までの1ヶ月間やってみることにした。
【方法】
『食関連』
①食の知識が無い人は○○ダイエットというのは止める
②食の知識を仕入れるのがベストだけど難しい場合はアプリに頼る
③量より質で「いいもの」を「少し」食べて満足感を得る
④食べる順番を考える→野菜・汁物から食べる
⑤お楽しみは残す
⑥晩御飯は今の半分にする
⑦夜お腹空いたら歯磨きするかスルメや昆布を食べる
『生活面』
①面倒臭いは絶対言わない
②歩くときはトレーニングと思い、速歩きする
③駅では必ず階段使用
④姿勢良くする
特にアプリで食事をコントロールするのがコツだとのこと。面倒臭い栄養計算を勝手にしてくれる。
凝り性の聡子は面白くなったが、久美子は「面倒臭い」と入れたがらない。
さて聡子。
「私…こんなに食べてたんだ…」
1日の食事を入力して愕然とした。突き抜けたカロリーと脂質・飽和脂肪酸。圧倒的に足りない食物繊維やビタミン群。歪過ぎてアプリのキャラクターもしかめっ面していた。
2日目も同じようになる。
さすがにこれはまずい…と朝起きてすぐに今日食べる予定のものを入力してみた。ものすごい点数。
たんぱく質なら他のものに置き換え…と色んな食べ物を置き換えて見た。パズルみたいだ。
「これならいい!」
1日それで生活してみた。途中お菓子を貰ったりしたものは晩御飯のご飯の量を減らして調整してみた。
「おお~…」
初めていい点数が出た。
よし、明日は地下鉄の1駅分歩いてみよう!
聡子は楽しんで取り組むことにした。
一方久美子。
聡子みたいにパズル感覚でアプリに入れる…なんて出来なかった。とにかくアプリで食べた物を選ぶのすら面倒臭い。面倒臭いは恭子にやめろと言われたけども…でも面倒臭いものは面倒臭い。
「…私には無理」
暫く何もしなかった。すると2週間して聡子が「2kg減った♪」と喜んで話してきた。
恭子から痩せ方を教えて貰う前に2人でバラし合った体重は聡子61kg久美子60kgだった。なのに…聡子は50kg台突入!?私だけ60kg台!?…おいてけぼりを食らったような気持ちになった。
さすがに辛い。でも面倒なのは出来ない。
考えた久美子はまず雑穀を取り扱うお店に行き、もち麦を買ってきて大量に炊いた。少しずつラップに包み、冷凍した。晩御飯の白米を止めて、温野菜サラダと油漬けでないツナを乗せて晩御飯にした。足りない時はもち麦を食べた。プチプチしていて噛まないといけないから早食いは出来ない。少ない量でも比較的満足出来た。
あとは水を飲んで寝た。
健康診断の日、聡子57.5kg、久美子58.2kgだった。
2人とも夢の50kg台で、BMIは22をちょっと超えていたけども22台だったので注意もなにもされなかった。
「やれば出来た…」
2人は有頂天になってその生活を続けた。
13話を一旦書き上げましたが、ゆっくり見直したいので、1日1~2話のアップにします。ご了承ください。




