90."OTK"
皆大好きで大嫌いなソリティア、はっじまっるよ~♪
OTK。
カードゲームに触れた者であらば、この言葉に対し、憧れと恐怖心を同時に抱くのは間違い無いだろう。
相手にやってみたい、だが自分は決してやられたくない。
それは、カードゲーム界における恐怖の代名詞。
一撃で、相手を葬る。
更には、ワンターンキルには種類がある。
それは、"ターンを重ねる物"と"初ターンで決める物"、そして"有限"と"無限"だ。
最後には相手を一撃で葬り去るという結果こそ変わらないが、有限と無限には大きな違いがある。
今回、俺が使うのは――後者、そして最悪の部類。
ループコンボ、と呼ばれるタイプのギミックであり、ワンターンキルデッキの中でも最もタチが悪い種類。
そして。
"先攻1ターン目"で、"無限ループ"を開始する。
全ての妨害を叩き潰し、反撃の目を一つ残らず摘み取り、防壁を綺麗に剥ぎ取り。
丸裸にされた相手を、一瞬で殺すか、真綿でゆっくり首を絞めていくか。
殺さずに無意味にターンを渡し、じわじわと嬲り殺す事すら可能。
生殺与奪の権利すら奪い取る、無慈悲な鉄槌。
それが、ループコンボなのだ。
"代償プラント"が何を引き起こすのかと言えば、結論だけ述べるのであらば"マナブースト"である。
それだけであらば、やっているカードは沢山ある。
このコンボが問題なのは、ブーストしている量が非常識レベルなのだ。
1マナを使って、手札1枚を使って、3マナを得る?
成程、それは確かに強い。
だが。
代償プラントは、不調でも2桁マナ、好調なら3桁マナを生み出す。
そしてその流れに他のカードを巻き込めば――4桁でも5桁でも到達する。
マナ概念の破壊。
カードゲームの根幹に関わる大前提の消滅。
それ即ち、カードゲームバランスの崩壊に直結する。
そこから生み出されるのは、理不尽な大虐殺以外有り得ない。
―――――――――――――――――――――――
血の代償の効果。
それは、支払ったライフと同数のパワーを持つユニット1体を、疲弊状態から回復するという効果。
本来は、この効果で攻撃を終えたユニットを更に追撃に回す、という使い方が想定されていたのだろう。
大きなパワーを持つユニットを回復するには、それ相応のライフの消費を要求される。
だがパワー1000程度の小粒なユニットを回復させた所で、追撃に回しても微々たる損害しか与えられない。
だから、バランスは取れている――つもりだったのだろう。
だが、ご覧の有様だ。
戦闘の追撃になんて、使用しない。
戦闘ではなく、戦闘以外で疲弊してしまう代償として、手札増強や――マナ増強が可能なユニットに使ってこそ、血の代償は真価を発揮する。
「幻影家政婦 インペリアルガードの効果、虹マナ4を使い、家政婦トークン4体を生成」
そしてここに、インペリアルガードのトークン生成効果が加わる。
このユニットは、支払ったマナ数の数までトークンをフィールドに生み出す。
黒マナが2余っている為、本来6マナまで使えるのだが――計算を簡単にする為、今回はわざと4マナで止めている。
何故かと言うと、こうすると計算結果が丁度16進数になってくれるのだ。
また、それと同時に懐にあるスマホの計算アプリを起動する。
この異世界に来てから、全くもって使い道が無かった為、仕舞い込んでいた物だ。
これから、アホみたいな計算を連発する為、これでないと計算し切れないからな。
更に――
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
プラントホームは、自分フィールドのユニットの数だけ虹マナを生み出す。
その代償として、このユニットは疲弊してしまい、再度効果を使用する事が出来ないが――
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
そのプラントホームの疲弊を、ライフを支払う事で回復させる。
そして――
「インペリアルガードの効果、虹マナ8を使い、家政婦トークン8体を生成」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
この流れが、ワンセット。
最初に、戻る。
「インペリアルガードの効果、虹マナ16を使い、家政婦トークン16体を生成」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
これが、繰り返されていく。
「インペリアルガードの効果、虹マナ32を使い、家政婦トークン32体を生成」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「インペリアルガードの効果、虹マナ64を使い、家政婦トークン64体を生成」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「インペリアルガードの効果、虹マナ128を使い、家政婦トークン128体を生成」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
プラントホームが、自分の場のユニットの数だけマナを生成。
そしてインペリアルガードが、マナの数だけ自分の場のユニットを増加させる。
疲弊したプラントホームをライフを支払う事で復帰させ、効果の再使用を可能にする。
完璧な噛み合いを見せ、この流れは完全にループを成立させている。
だが、ここでループは終了する。
このループコンボは、自らのライフという限りが存在するからだ。
だから。
「虹マナ5を支払い、書架の魔女 ダンタリオンの効果発動。家政婦トークン44体を疲弊させ」
書架の魔女 ダンタリオン、その最終効果を起動する。
このデッキにおける、最初で最後の効果。
発動に5マナを要求される代わりに、その効果は強烈無比。
必要なカードを、その腕で手繰り寄せる。
足りないカードは、その不確定領域に存在する。
ならば。
デッキに、手を掛ける。
「俺は44枚ドローする」
ならば、デッキ枚数分疲弊させてしまえば――こうなるだけだ。
疲弊させた数×1枚、ドロー。
デッキ全てを、ドローする。
眠っているのなら、全て掘り起こすだけだ。
草の根一本残らず、全てだ。
引き切った元デッキ、現手札――その全てを最速で確認する。
どうやら、今回は盾という深層にまで手を伸ばす必要は無かったようだ。
必要なカードは、舞い込んだ。
「251の虹マナと2の黒マナを支払い、呪文カード、回癒光を発動」
ここからは、カード達の殺戮場。
有限ではあるが。
その気になれば何時までも動かし続けられるが、何故有限なのか。
理由は、簡単だ。
途中で俺が飽きるから、有限だ。
「発動時に払ったマナの数×3000ライフを回復する。俺が払ったマナ数は253、よって759000のライフを回復する」LP:760000 手札:43 マナ数:0
回癒光は、シンプルな回復効果だ。
払ったライフを参照して、自らのライフを回復させる。
ライフが最大のネックであったループコンボに、莫大なライフが投入された。
何か削れた身体が元通りになる所か、変な光まで発するようになった。
ライフが10000超えるとこうなるのか。
――さて、これで俺はループコンボを759回まで使えるようになった。
そして、命削りの採掘のエンドステップ時のダメージ効果2枚分、計25000のダメージを受けても余裕で足りるライフ量にもなった。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」LP:759000 手札:43 マナ数:虹×512
まだだ、まだ、終わらせない。
相手に払う敬意など、持ち合わせていない。
代償プラントループ、続行だ。
ただただ、死ね。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ512を使い、家政婦トークン512体を生成」
無限に膨れ上がるマナ、無限に増殖を続けるインペリアルガード。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ1024を使い、家政婦トークン1024体を生成」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ2048を使い、家政婦トークン2048体を生成」
これを、繰り返す。
延々と。
飽きるまで。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ4096を使い、家政婦トークン4096体を生成」
時間の経過は、今は問題ない。
180秒という時間は、思考に許された時間であり、カードの効果処理はその時間に含まれていない。
効果処理の時間というのは、要はデッキをシャッフルしたり、破壊されたカードを墓地へ送ったりといった、そういった諸々の動作時間だ。
事実、目の前に浮かんでいる制限時間は、先程から130秒の所からピクリとも動き出す気配が無い。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ8192を使い、家政婦トークン8192体を生成」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
当然だ、今は何も思考する事が無い。
ループコンボというのはただただ同じ事を繰り返しているだけなので、考える要素が何処にも無いのだ。
これが何十枚も使うような、複雑なコンボルートならば、プレイングミスを警戒して少し考える必要もあるのだろうが。
代償プラントループは、たった3枚で完結するループだ。
一応、俺自身が死ぬまでライフを払ってしまわないように気を付ける必要はあるが……70万越えのライフを削り切るとかいうそんなアホなミスする奴、ほぼ居ないだろう。
―――――――――――――――――――――――
このループには、事実上終わりは無い。
ライフという限界はあるが、このデッキには墓地から回癒光を拾い上げるカードも入っている。
そしてデッキ全てを引いた今、そのカードも当然、俺の手札にある。
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ65536を使い、家政婦トークン65536体を生成」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
この、無尽蔵のマナを注ぎ込めば、その数×3000のライフを、再び回復するのだ。
仮に今、回癒光で手持ちのマナを全て使って回復した場合、1億を優に超えて2億近いライフになる。
それを全て注ぎ込めば、このループコンボを更に追加で1万回以上出来るのだ。
そしてこのループコンボは、やる度にマナ数が倍々ゲームになっていく。
即ちそこから生み出されるマナ数というのは、現在マナ数の1万乗以上、という事だ。
無くなるまでなんて、やってられるか。
だから、区切りを入れる。
所持マナ数が、100万を超えたら切り上げさせて貰おう。
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」
「インペリアルガードの効果、虹マナ524288を使い、家政婦トークン524288体を生成」
「血の代償の効果発動。ライフを1000支払い、プラントホームを回復する」
「プラントホームの効果、疲弊させ、自分フィールドのユニットの数×1の虹マナを得る」マナ数:虹×1048576
さて、虹マナが100万を超えた。
まだまだ、いくらでも、回せるが。
そろそろ殺す準備を始めよう。
「虹マナ4を支払い、永続呪文、錬金釜を発動」
目の前に、紫色の煙を立ち昇らせながら、グツグツの煮える――錬金術の釜としか言いようが無い物体が現れた。
「手札を1枚捨て、虹マナ2を支払い、錬金釜の効果発動」
名称:錬金釜
分類:永続呪文
プレイコスト:○○○○
文明:無
カテゴリ:
マナシンボル:○
1:【起動】【コスト】手札を1枚捨てる、○○
【効果】墓地に存在する呪文カードを1枚選択し、手札に加える
「俺は墓地の呪文カード、回癒光を手札に加える」
マナを支払う事で、疑似的に手札全てが墓地の任意の呪文カードに変換出来る。
それが、錬金釜の効果。
このマナという部分が先程の無限ループコンボによって全て実質ノーコストに変換されている為、錬金釜はただ墓地の呪文と手札のカードを何度でも入れ替えられるカードと化している。
「そして虹マナ2を支払い、装備呪文、結束の短剣-ユニオンダガーをインペリアルガードに装備」
名称:結束の短剣-ユニオンダガー
分類:装備呪文
プレイコスト:○○
文明:無
カテゴリ:剣
マナシンボル:○
1:【永続】装備ユニットのパワーは、自分フィールドに存在するユニットの数×1000アップする。
言わずと知れた、インペリアルガードとの相性最高の装備カード。
だが今は――相性とかそういう地平にあるカードでは無くなっている。
「俺の場のユニットの合計は104万8576体、よってインペリアルガードのパワーは10億4857万6000アップする」
指先一つでダウンである。
そんな歌、あったな。
ただパワーが高過ぎて、ダウン所か分子レベルまで消滅してしまいそうだが。
「そして虹マナ5を支払い、インペリアルガードを対象に装備呪文、神速の太刀を発動」
名称:神速の太刀
分類:装備呪文
プレイコスト:○○○○○
文明:無
カテゴリ:剣
マナシンボル:○
1:【永続】攻撃回数+3
「これにより、インペリアルガードに3回追加攻撃効果を付与する」
そして、家政婦トークンもそれに追従する。
インペリアルガードから生み出されたトークンは、常にインペリアルガード本体を参照し続け、その本体が持つ全てのステータスを有する。
俺の場に居る、100万以上のインペリアルガード、そしてトークン。
そのパワーは10億を超え、その全てが最大4回の攻撃を行う事が出来る。
その総攻撃力は10億×100万×4――最早、数える意味も無い。
「そして虹マナ1を支払い、呪文カード、異世界からの贈り物を発動」
名称:異世界からの贈り物
分類:呪文
プレイコスト:○
文明:○
マナシンボル:○
カテゴリ:
1:【起動】【効果】このカードをデッキに戻しシャッフルする
2:【強制】【条件】このカードが追放された時
【効果】自分は虹マナ3を得る
「このカードをデッキに戻す」
追放時に発生するマナブーストも利用する事があるが、あくまでもこのデッキにおけるこのカードの役割は、デッキ切れ防止だ。
これで、俺のデッキ枚数は1枚。
デッキ切れによる敗北は、次のターンまで先送りになった。
「虹マナ2を支払い、呪文カード、時の回廊を発動」
そしてこれで――完全な詰み、だ。
「 次 の 相 手 タ ー ン を ス キ ッ プ す る 」
名称:時の回廊
分類:呪文
プレイコスト:青○
文明:青
マナシンボル:虹
カテゴリ:
1:【起動】【効果】次の相手ターンをスキップする
時の回廊。
血の代償よりも更に上の、永久禁止カードの中でも圧倒的格上、王の中の王。
たったの2マナで、相手ターンをスキップする。
このカードを現す言葉は、たったの2文字で表現できる。
死ね。
それだけだ。
「手札を1枚捨て、虹マナ2を支払い、錬金釜の効果発動。墓地の時の回廊を手札に加える」
そしてこの時の回廊は、呪文カードなのだ。
つまり、錬金釜によって手札を変換出来る。
ある意味では俺の手札全てが、この時の回廊になっていると言える。
もう、相手のターンが訪れる事は無い。
凍り付いた時が動き出すのは、それが最期の刻。
ずっと、俺のターン。
「これで俺は、ターンエンド。そしてこのエンドステップ時、俺は命削りの採掘2枚の効果により、合計25000のダメージを受ける」
痛くも痒くも無いとは、正にこの事。
本来ならば即死ダメージだというのに、羽毛で撫でられたかのようだ。
そして、時の回廊の効果により相手のターンは訪れない。
次は。
「俺のターン、ドロー、リカバリーステップ、メインステップ」
さて、無限ループが成立したならば本来、ターンエンドする意味も無いのだが。
それでも一度ターンエンドした理由。
これで俺は、先攻1ターン目では無くなった。
先攻1ターン目は、攻撃は出来ない。
「虹マナ1を支払い、異世界からの贈り物を発動。このカードをデッキに戻す」
「虹マナ2を支払い、呪文カード、時の回廊を発動」
つまり、攻撃宣言が可能になった。
「そして手札を1枚捨て、虹マナ2を支払い、錬金釜の効果発動。墓地の時の回廊を手札に加える」
インペリアルガードの猛威が、牙を剥く。
「バトルだ。兵達は投降するようなら捕縛して、それ以外は――殲滅しろ、インペリアルガード」
「承りました」
100万を超える、インペリアルガードの群れ。
10億を優に超える、殺戮という言葉が生温い破壊力。
止まっていた時が、動き出す。
即ち相手に待っているのは――死だ。
「――もう決着です。ここの兵達は投降するのであらば、御主人様は命は取らないとの事です。時間が無いので、返答しなかったり無駄口を叩くならば抵抗の意思有りと判断します」
「何を馬鹿な――確かにこちらは劣勢かもしれんが、まだ人質の命を握っているのは私だ。私諸共という形にはなるが――」
「言ったはずです、もう決着だと。それから、貴方に関しては殺すよう仰せつかっております。では、良き黄泉路を」
……何か、水風船が割れるような音が聞こえた。
もう既に片が付いたのは確定しているので、奴隷契約書を纏め、金庫から出る。
血の匂いが、鼻を衝く。
確かバエルが以前、単身で国の跡地を全て更地にしてたな。
パワー5000で、都を落とせる。
パワー6000で、世界を滅ぼせる。
じゃあ、パワーが10億超えたら、どうなるんだろうな。
そんなのがこんな小さな島に100万も居たら、どうなるんだろうな。
「終わりました」
インペリアルガードが、バトルを終えた事を告げる。
プラントホームやダンタリオンも姿を消していく。
これで、決着だ。
この戦いで殺めた兵達の中には、何も知らずに向かって来た者も居たのかもしれない。
何の罪も無い人を、俺の合図で殺したのかもしれない。
だがそれに、悔いなどない。
ここに捕らわれた、女性達を救い出す。
それが、カード達の願い。
それが、カードの願いならば。
俺の個人的な感傷や躊躇いなど、全て二の次だ。
カードの願いこそが、俺の願い。
何よりも、俺にとって優先される事項。
窓の外を、見る。
目の前には、何も無かった。
そう、何も無かった。
―――――――――――――――――――――――
死者の尊厳を踏み躙る所業は、昴の逆鱗に触れた。
怒髪天を衝く。
昴は遂にカードゲーマーが唾棄する極悪デッキ、ソリティアデッキを使用する。
マナは無尽蔵、デッキを手に持って戦っている状況を作り上げた。
カードゲーマーであらば、殆どの者が断言するだろう。
――その状況で、勝てない相手など、存在しない。
OTK
FTKとも言う
対戦相手が「もう俺の負けだから無駄に回すなよ良いからさっさと殺せよ」って言ってくるタイプのデッキ
カードゲーマーに禁止カードを使うような大義名分を与えたらこうなるぞというお話でしたとさ
禁止カード解禁状態のカードゲーム程殺伐としたゲームも無い
1キルしてされてやり返すゲーム
時間が掛からない分、じゃんけんの方がまだマシである
取り敢えずめっちゃ増えたインペリアルガード、一人位持ち帰ってもバレへんやろ……