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#5.昴と春樹と聖子

『そんな――!』

(ヴァンガード)(アサルト).が……墜ちる……!』


『ククク……ハーッハハハハ! 所詮人とガラクタの力などこの程度のモノ! どれだけ牙を剥こうとも、所詮は小動物の牙にしか過ぎん! アトラクタードラゴンには傷一つ付ける事叶わぬゥ!! 貴様のユニットは全滅した! これでバトルステップは――』

『いいや、まだだ! 俺は手札から、(ヴァンガード)(アサルト).ディメンジョンホールを発動! 追放された(ヴァンガード)(アサルト).1体をフィールドに呼び戻す! 起動せよ! (ヴァンガード)(アサルト).プロミネンスフォーム!』

『無駄な足掻きを――』

『バトル続行だ! プロミネンスフォームで、星喰龍 アトラクタードラゴンを攻撃!』

『見苦しいわァ! アトラクタードラゴンの効果発動! 貴様の攻撃宣言時、相手フィールドに存在する全てのユニットを破壊する!!』

『プロミネンスフォームはバトルステップ中、相手の効果を受けない!』

『何ィ!?』


『そうか! これならアトラクタードラゴンの効果を突破出来る!』

『だが……アトラクタードラゴンのパワーは30000……対し、プロミネンスフォームのパワーは8000。例え効果による破壊を免れても……』


『まだだ――! 手札から(ヴァンガード)(アサルト).オーバーブーストを発動! これにより、プロミネンスフォームのパワーを2倍にする!』

『それがどうしたと言うのだ! 例え効果による破壊を免れた所で、我がアトラクタードラゴンのパワーは30000! パワーが倍になった所で、一息でガラクタに戻してくれる!』

『――更に手札から呪文カード! 制限(リミッター)解除(リリース)を発動!』

『何!?』

『この効果により、俺の場の機械族ユニットのパワーを2倍にする!!』

『パワー……32000だとオォォ!?』

『貴様は言ったな! アトラクタードラゴンには傷一つ付ける事叶わないと! ならばその身に刻み込め! 貴様に傷を与えた、(ヴァンガード)(アサルト).の名を!!』

『ぐうううぅぅぅッ……! お、おのれえええぇぇぇ!! よくも、この我が身に傷を――! だが、全ては無意味! アトラクタードラゴン・天翼の効果発動! 破壊された崩腕と閃尾を復活させる!』

『何ッ!?』


『何だよそれ――!?』

『天翼の効果は、失った部位の復活か……! あれだけのダメージを与えたというのに、これでは事実上ノーダメージではないか……!』


『……ここまで、か』

『ジョージ!』

『聞け、竜翔(リュウト)! 星喰龍 アトラクタードラゴンは、決して無敵などでは無い! どれだけ強大な相手だろうが所詮はユニット! 倒す術はある!』

『ほざけ! アトラクタードラゴンは、神の力そのもの! そしてカードと一体になった今、我は正真正銘の神となった! 神の力は絶対無敵! 破る事など不可能だ!!』

『――俺には無くて、お前にはあるモノ。お前だって、気付いているんだろう?』

『ッ……ジョージ……!』

『このエンドステップ時! 星喰龍 アトラクタードラゴンの効果発動! 神に歯向かう愚か者のライフを0にする!!』

『……後は、任せたぞ』



事 象 の(イベント) 地 平 線(ホライズン)!!』



『ジョージイイイィィ!!!』



 ――俺は、もう二度と他者を当てになどしないと思っていた。

 この"力"が、その決意の証だと。

 そんな俺が……任せた、か。


 成程、今……理解した。

 これが、竜翔にあって、俺に無い"力"……か。

 気付くのが――余りにも、遅すぎた、な――



―――――――――――――――――――――――



 時は年始。

 正月特有の特番ラッシュも落ち着きを見せ、普段通りの放送内容に戻りつつあった。

 そして放送再開された、アニメエトランゼ。


「シラカワ様が死んだああああぁぁぁぁ!!? いやああああぁぁぁぁ!!!」

「年始早々に人が死ぬアニメ」

「何時ものエトランゼだな!」


 淡々とアニメの感想を語る昴と春樹、そしてただ一人絶叫する聖子。

 アニメのエンディングも終了したので、テレビの電源を切る昴。


「つーか今回の作画滅茶苦茶気合入ってたな」

「作画監督金田さんだって」

「マジかよ本気出し過ぎだろエトランゼアニメスタッフ。最終決戦だからって事か?」

「もう三期終わるしなー。これが終わったら四期かそれとも新シリーズか……」

「……聖子は何してんの?」

「シラカワ様が死んだ……追悼コメする……来週から生きていけない」

「シラカワが居なくても俺が居るだろ?」

「そういうのいいから」

「ごめんなさい」


 夫婦漫才を始めた春樹と聖子。

 春樹が微妙に失言した気配を察し、昴は話題を転換する。


「つーかアトラクタードラゴンの効果滅茶苦茶だろ、どうやってカード化するんだよあんなの」

「5枚で1枚のカード扱いかぁ……」

「それはそれとして、あの効果のままだとアルトリウスで終わらないか? 結局黒文明な訳だし」

「おい兄貴、神を分解しようとするんじゃねえ! 流石に何かしらテコ入れするだろ多分きっとメイビー」

「カード化したら(ヴァンガード)(アサルト).で弔い合戦する!」

「おい大会常連デッキ持ち出すなやめろ死ぬ」

「なあ、マジレスして良いか? アトラクタードラゴンのデッキが(ヴァンガード)(アサルト).に勝てるビジョンが全く想像出来ないんだが」

「アレ絶対浪漫の類だよなぁ……確かに出せたら強いよな、出せたらな! ってタイプのカードになるオチが見える……」

「出すのを許してくれるようなのんびりしたデッキじゃねえんだよなぁ(ヴァンガード)(アサルト).は」

「まだ準備が終わって無いのに下準備中のフィールドを徹底的に荒らし尽くして、泣きながら命乞いするアトラクタードラゴンデッキ側を無慈悲にくびり殺す(ヴァンガード)(アサルト).ってなりそう」

「わかりみが深い」


 アニメキャラに感情移入する聖子と、淡々とカード効果に焦点を絞って談義する昴と春樹。

 カードが先かアニメが先か、というカードに対する向き方の違いが表れており、接し方も人それぞれという事が良く分かる構図である。


 柏木家エトランゼアニメ視聴の会は終了したので、そのまま流れでカードバトルを行い、食事の後にお開きとなった。

 昴が翌日仕事なので余り長くは滞在出来なかったが、昴達にとってこの一日は、とても充実したエトランゼライフとなったのであった。

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