おなら
外は秋晴れで、近くの公園ではちいさな人たちが何を考えているのか、楽しそうに走り回っている。
きっと暖かいのだろう。上がった体温を調節するために汗腺からは無垢な水分が吹き出して、疲れたらあの大きな木の陰で、一休みするのだろうか。
「なのにここはひんやりしていて、寒いね。」
格子の間から見える景色に救いを求めたのもつかの間であった、自分の背後から嫌に優しげな声が呼びかけた。
「ああ、寒い。寒いから出してくれ。」
「それは無理だ。」
四度目の懇願も上手くはいかず、うなだれた今は、私がこの地下室らしき場所に監禁されてから一日と半日ほど経ったであろう頃だ。
いつものように一週間会社に魂を献上した後、金曜日に花を咲かせて帰宅した次の日の朝。
責任が引っ張り上げてくれないから、重たい身体を深呼吸の息追いでぐいと持ち上げて、ルーチンである朝の散歩へと出かけた。
秋晴れらしい、しとやかで清潔な空気でいっぱいだった。そこらじゅうでかさかさ枯れ葉が風に踊らされて、冬を予感した。しかしどうやら生暖かい感じもして、なんだか変だなぁなんて、先週までの{いつも}と違う感覚を虫が知らせてきた。
つづく