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It's wonderful to finally meet you.  作者: 玲於奈
7/13

「You just wait3」

なし

京浜医科大学 総合診療科 准教授 横山 阿連(34歳)の場合



そのころ楽屋からスタンバイし

メインステージに向けて通路を歩く上杉 翔琉。


さきほど黒ジャンが登場し

開始10分前を宣告。



「構想3年。

 発表が決まってからのこの3か月は

 我武者羅に取り組んだ。

 いよいよだ。


 そして、私にとっても、あの出来事からはや6年。。。


 ついに、発表が始まる」



なぜ私が、トップバッターなのか


それはわからない。


年の順か。


若手からなのか。


そういえば、

先ほど、同室楽屋におられた先生も

変わっていた。



新進気鋭の若手学者。


横山 阿連氏、34歳。


自分で名付けて

私に自己紹介をしていた。


名付けて「食育 DE 准キョー」



彼は、

二人で六畳しかない

せまい楽屋で

熱く私に、これからの時代を

語っていた。


その

彼の野望とは、



「キウイが世界を救う」と。


なにがなんでも

キウイフルーツでは救えないでしょ。


ニュージーランドとかの

キウイって鳥かしら。


という私の

想定ずみのくだらないコメントを

軽くいなし


いつも自分の業務内容を

説明するときは

そうであるように。


さらさらと、

かいつまんで説明。



「翔琉さん、キウイフルーツで


 全国の(過敏性 腸症候群)で


 苦しむたくさんの人々を


 救うんですよ。」



何のことやらわからない。

あまりのとんちんかんな

私に。


時間もないので、

続きは、ウエブでと

逃げるかと思いきや。


さすが、熱い男、

横山 阿連。


少し物憂げに


「かつての私がそうであったように・・」


と言って、昔の過去から話始めた。


でも話し方は

ちょっとナルシスト入ってる?


と思いながらも

わらったりせず


彼の話を静かに聞いた。



若く育メン風。

長身かつ細身のシルバースーツを着こなす男。


そして、実際にイケメンで医者。


その彼が繰り出す、


これからの世間を驚かす


ホットなテーマは。



「熱いトイレへの想い」


なんとまあ


からかっているのか。


しかし聞くうちに

感嘆する。



先生ご自身の学生時代の


暗く長かった経験。


特に高校での「トイレへの想い」


毎日、毎時間の

トイレの壁ウオッチ。


そこに落書きされた


◎◎子 LOVE


字体から、油性ペンの種類まで

推測できるほど・・に詳しくなってしまう。


なぜ、彼は

この文字を何時間も見続けなくては

いけなかったのか。


改善策はなかったのか。


計算すれば


果たして、1日に何時間。


トータルすると1週間で何十時間もの

トイレでの幽閉。


まさに

生き地獄。


トイレに朝、何回も行く

ルーティーン。


学校に間に合うかどうかの

ぎりぎり感。

そして、その特異性ゆえに

毎日がスリルとサスペンスにあふれた日常。



横山先生が、かいつまんで

病状について説明。

それによると、

過敏性 腸症候群とは、

ストレスによる下痢や便秘。


これらは、その症状がありながら

検査をしても問題がなく

通勤通学の電車の中や、学習中、会議や仕事中に

激しく腹痛を起こす。


心理的なストレスを緩和すること、

それが命題のようだ。


人間関係や仕事、友人、家族間の問題など

心理的なストレスが原因。ストレスが腸の反射を高める。

緊張やストレスが原因にあるのは、この病気が、休暇中や睡眠中、

学校や会社から帰宅するときにはおこらないからである。


ひとしきり、過去の経験を話された後。


最後に先生は、演壇に立つ大統領のように



「私は憂いている。


 この病気は、このままでは、


 日本の学問、そして日本経済への深刻な事態となっていく。


 私は、それをなんとかしたいのだ」




「今でも日本の多くの若者たちが


 中学生、高校生が、


 若年性で、今では小学生もがこの病気で苦しんでいる」




「さらには、日本経済を支え、ストレス社会を生き抜く


 ビジネスマンも同じである。」


「私は、救いたいのだ」


「かつての私は、

 

 トイレに幽閉されていたも同然。


 まさに、トイレの中の鳥。

 

 そんな私が、多くの民を、私の治療法で救うのだ。」


果たして、あなたさまは、教祖様か。


あまりの迫力に、何も言えない私。



ここで、黒服がノックをして


「時間でーーーす」


とはいってきやがった。


まだ全貌を

聞きたかったが、時間となってしまった。


ちょっと宗教系?と

おもったりしつつも、その雰囲気を悟られぬよう

「続きはウエブでねえ」と

「楽しみにしているねえ」と

うすら笑い

いや、笑いがひきついっていたかもしれない。


そして、楽屋を後にした。

なし

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