「Don't give up!2」
なし
1時間ばかり過ぎた頃。
「はいっ。水分補給。
恒例の30分間走よっ」
ええっ。と思う間もなく
助手らによって
やおら、タイマーが素早く用意され
カウントダウンの用意。
カウント30:00の表示。
考える隙を与えない作戦か。
「はいっ。スタート」
研修生30人ほどが
一斉にスタートする。
デジャブー。
マラソンか、駅伝か。
あせらないように、あせらないように
自分に言い聞かせるも。
やはり、つられる。
勝負にこだわる青年男子率いる
先頭集団が
ぐいぐい、引っ張っていく。
おいおい有馬かよ。
話題の先行馬でもあるまいし。
10分して
周りの呼吸音がやたらと気になりだす。
なりふり構えない。
それだけ、ハードなのだろう。
そしてコーチはといえば
体育館センターど真ん中に
直立の倉島コーチ。
5分を過ぎ。
おもむろに叫び出す。
「くやしいのは一生。
どんなに悔やんでも、
どんなに後悔しても、
過去は変えられない。
だけど、未来は変えられる。
だから、いま、頑張ろう」
「苦しいのはいっしゅんだっああああ」
最後は、コーチも絶叫。
「さあっ。がんばるのよっ」
「自分の限界にちょうせんするのよっ」
その言葉を聞きながら、
なんで俺は今
走っているのか。
そして、今年あったことが
走馬灯のように
思い出されていく。
おいおい、
これって
心臓に負担がかかって
死ぬ間際って
ことかしら・・・
いやいやぜったい
違う。
ううん、ランナーズハイなのだ。
自分に納得させる。
なし




