「Don't give up!」
It's wonderful to finally meet you.
~ お噂はかねがね! ~ っていう訳らしいですぞ。
もしよければ、昨年の「Have more Guts!」 もっと元氣だせって意味らしいですよ。
去年と、おととしと、その前の、大晦日投了の物語を読んで楽しむのも一興らしいですぜ。
キャンプ むらど
主任コーチ 倉島 一平(53歳)の場合
50mのプールが楽に2つは
入るであろう体育館。
計ったように
体育館のほぼ中央、
そこに
仁王立ちの男性。
「はいっ。はいっ。はいっ」
やたらと長い腕で
手をたたきながら
男が叫ぶ。
「みなさんっ!!」
「おあつまりっ。」
やたらと小さい「つ」を 多用する人物。
赤い長シャツに
黒ジャージ。
「坊ちゃんかよ」
まわりがざわめく。
そうか、夏目漱石の・・
そういえば、
そんなキャラがいたなあと思いだす。
こいつはやばい。
目があったら負けだ。
男の逆鱗にふれないよう
急いで集合する。
「この講座を担当する倉島よ。
歴代の先輩は、私のことを
尊敬をこめて「くらっ」と
呼んでいるわ」
「名前の由来は、私の筋肉美にくらっくる
らしいわよ」
「はっ、はっ、はっああ」
自分でうけての大爆笑。
コーチ、腹をかかえて笑っている。
ざわざわざわと怪しい波が広がる。
まわりがざわめく。
情報通が再度、口をだす。
「あいつのシャトルランだか、
マラソンだかで
負傷者が続出らしいぜ」
そうなのか、そんな有名人なのか。
ざわめきを無視して
コーチは話し出す。
「今年も終わりよねえ」
「はい、そこの僕から、
左回りで
今年ブレイクした芸人、言っていくっ」
いきなりの質問にとまどう面々。
「はいっ。すぐに言うっ」
輪になっていて、さされた男から
順番にこたえていく。
にゃん・、いけざ・・・
倉島コーチ、自分が気にいらないか、?の芸人には
首をかしげる。
そして、しばらくいったところで
テレビを見ない。
いかにもという人でつまる。
しばらくの沈黙。
その沈黙を破るかのように
つまった奴の代わりに
コーチが、いきなり鼻歌を全力で歌う。
でた。
今年の大はやり。
小学生でも知っているあの芸人。
そして、
きた、決め台詞。
・・・
座が凍りつく。
一同沈黙。
コーチが悪態。
「おまんらっ。笑いなさいよっ」
と言って、思い出したのか
本人が大爆笑。
・・・
いたたまれない。
理解した。
歴代の先輩がいわんところを。
そして、この研修のややこしさを。
このファーストミィーティングだけでも
じゅうぶんな苦行。
「今度の研修は、気をつけろよ」
といった私より2,3歳上の先輩。
その言葉の意味が
文字通り
よくわかった。
しかしながらの後の祭り。
なぜ、年の瀬にこの仕打ちなのか。
悪いことをした罰ではない。
あくまでも研修。あくまでも新人研修に
すぎない。
県庁職員1年目の登竜門。
本来の研修に入るようだ。
体育的な意味合いをもつ
この講座。
まずは、ストレッチを念入りに行う。
あいかわらずのアンニュイな声。
「無駄な脂肪をおとすのよっ」
「楽なストレッチはないわよっ」
周りからは、苦闘の声が。
「体を苦しめて、苦しめて、
くるしめるのよっ」
ここは、筋トレ道場か。
まわりの面々の苦悶の表情。
倉島コーチは、さらに、
容赦なく背中を押したり、
足をひっぱったりする。
「さあ、次。パラレルランよ」
複数の助手によって、ラダーが出される。
「うごくっ、うごくっ、うごくっ。」
はしごの小さい升目に、
足がもつれそうになる。
転倒するものもいる。
「さあ、転ぶのを恐れて
スピードを緩めないっ」
開始30分。
もはや、皆目、研修の意味がわからなくなっている。
なし