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すべてへ  作者: 気象情報
12/15

12.十七年の“光原澪”(Merely because I love you)

 そして午後五時過ぎ、退院するだんになって、母親と未来が迎えに来た。

 たった半日の付き合いなのに、そして明日には退院するというのにやたら名残惜しそうに見送るワタナベさんは俺と未来に、駅前の塾で先生をしているから(どうりで俺らに混じっていられるはずだ)会いたくなったら入りなさい、そしたらうちの塾が儲かるから、なんて言ってきた。最後まで楽しい人だ。

 多分行くことにはならないだろうが、会えないわけじゃない、という妙な安心感があった。


 意外と早い時間に退院できたから、と母親は帰り道に俺を警察に連れて行き、予定を前倒しして調書作成のための事情聴取を受けた。とはいってもさほど時間はかからず実質十分か十五分くらいのもので、六時台には家に帰ることができた。


 家に帰ると、父親が何かごそごそやっている。

「ただいま、おかえり」

「おかえり、ただいま。久しぶりだな和也、大丈夫そうで良かった」

「うん、何ともない」

 俺がそう返すと父親は、頭が良くなったりはしてないのかそれは残念、と言って母親にたしなめられていた。

 そして、たしなめ終わった母親が言った。

「和也、いきなりで悪いんだけどね、お父さんとお母さん、明日から二泊三日で温泉めぐってくるから、よろしくね」

 もう知らされていたのだろう、未来はため息をついてこちらを見て、苦笑いした。

 ふと気がつくと、荷造りをしている父親は鼻歌なんか歌っている。

 うちの家族には、どうも辛気くささが足りない。


 夜遅くなって両親ともにもう寝てしまい、リビングで一緒に毎週見ている深夜番組を見ているときに、未来は言った。

「お父さんもお母さんも、もう少しゆっくりしてくれてもいいのにね」

「でも父さん、三週間も休みとれたんだろ?」

 だけど……、と未来は口ごもって、そこで会話は途切れてしまった。

 両親ともにまだ三十代、実はハタチの学生結婚。

 周りからひどく反対されて、でもその反対を押し切って結婚したのよ、といつか母親が話してくれた。

 こんな感じの、緩んだうちの家族が俺は好きだ。

 この環境で育ったからこそ俺は未来と仲も良くて、そういえば未来も俺と澪の背中を押してくれた。

 画面を見つめてけらけらと笑う楽しそうなその横顔に俺が、なぜかむやみにしみじみして感謝の念を送っていたことを、未来は知るよしもない。


 翌朝、ふたりで両親を見送ったあと未来が朝食をつくってくれた。フレンチトーストが作れるようになったのだという。作るというほどの手間ではない気もするが、そんなことはまあ言わない。

 まだ両親のこと愚痴りながら作る手さばきには意外と危なげもなく、出来上がりもなかなかだった。

「けっこうやるじゃん」

 食べながらそうほめてやると、未来はへへん、と胸を張る。でもすとんとしている。

「どうしたんだよ、いきなり料理なんか」

「いいじゃない。こういうのは女のコの仕事なの」

「そういう考え方は損するぞ」

 朝から食パン二枚分はきついんじゃないかなんて思っていたが、そんな話をしていたらいつのまにか平らげてしまっていて、ふと時計に目をやると八時半になっていた。

「和也」

「なんだ」

 立っている俺の前に洗い物の手を止め、またしても本来俺のもののはずのエプロン姿のままぴょこっ、と飛び出てきて、未来は言う。

「今日澪さんち、行くの」

「……行くよ」

 俺がためらいがちに言うと未来はにこっ、と笑って台所に戻り、特に何も言わないまま洗いものを再会した。

 いつでも行っていいんなら、今から行ってもいいかな。

 一秒でも早く、という気持ちがあった。一秒だなんて、陸上をしているとき以外に気にしたこともなかったのに。


 急ぎ目に身じたくをして出発しようとすると、未来に引きとめられた。

「和也、まだ早くない?」

「いいんだよ、別に」

 未来は曖昧な表情で笑う。しょうがないなあ、とでも言いたげだ。

 そんな間がちょっとあって、俺は言った。

「行きたい、とか言わないんだな。予定でもあるのか」

「ないよ」

 即答する。

「でもだって、あたしがついて行ったら思う存分いちゃいちゃできないじゃない」

「え、ちょっと、お前……」

「気、利かせてみた。えらいでしょ」

 いかにも得意そうに言ってのける未来の頭を、半分照れかくしもあって撫でてやる。

 やっぱり、何とも言えない気持ちよさそうな顔をする。

「ありがとう。行ってくるよ」

「いやに素直ね……行ってらっしゃい」

 車に気をつけてね、とあながちシャレにならないことを言ったが、なんだかおかしくて俺も未来も明るく笑った。

 いつのまにか未来も、どこかしらでは大人になっている。


 澪の家に着いてチャイムを鳴らしたが、ドアが開くこともなければ中でぱたぱたと走ってくる様子もなくて、しまったやっぱり早すぎたか、という結論に達しかけたころようやくゆっくりとドアが開いた。

「はぁい」

 なんとなく歯切れの悪い感じで、澪が顔を出す。

「おはよ、ごめん早かっ……」

「きゃっ?」

 どうやら本当に起きぬけに呼んでしまったらしく、澪はようやく我に返ったかのように声を上げた。

「あ、えーとその」

「や、ごめん。来ると思ってなかったから」

 そして澪は髪をちょっと撫でつけたり自分の身なり(紺のパジャマのワンピース!)と俺の顔を焦った様子で見比べたけど結局どうすることもできないまま、入って、と短く言った。

「待っててね、ちょっと」

 俺をリビングまで連れていったあと、澪はそう言って自室のドアを開けて駆けこんでいった。

 悪いことしたかな、と思ったけど、そんな姿にうかつにもちょっとほだされたりもした。


 少ししていつも通りの格好で澪が出てきたあと、これまたいつも通り紅茶を飲みながら病院でのことを中心に少し雑談をした。ワタナベさんの話では、「一度行ってみなくちゃね」と妙なプレッシャーをかけられた。検査の時にまず簡単な質問から始めるので曜日を聞かれて、事故ではなく夏休みのせいで三日もずれた曜日を言って看護師さんを少し慌てさせてしまったと話すと澪は意外なほど笑っていた。事故の話をされたくないのに無理に合わせているんじゃ、という不安はそれで吹き飛んだ。でも、ポケットに入れて持ってきたあの怪しい紙の話だけは、どうしてもできなかった。


 そんなこんなで十時を回って、お昼食べてくでしょ? と聞かれた流れで一緒に昼食を作ることになって、俺と澪は一緒に買い物に行くことになった。この前未来と行ったのと同じ感じだと言うが、貴司なら必ずこう茶化すだろう。付き合い始めから新婚さんみたいだな、と。

 でもお互いにそれほど大きな趣味があるわけではないから、こういうことでも共通の話題とかそういうものがあるのはすごく嬉しいし、楽しい。


 ふたりで献立を考えて買い物してふたりで作った料理はいつもと勝手が違って、お互い張り切りすぎていたのかもしれないが少し多く作りすぎてしまって、お腹いっぱいまで食べるはめになってしまったけど、それはそれで楽しかったりした。

 食べ終えてテレビを眺めながらふたりで話していたが、ふとリビングのローテーブルの上に置かれていた本が気になったので見せてもらうと、最近話題になっている、ベストセラーの青春小説だった。

「へえ……こういうの、読むんだ」

「キャラじゃないってこと?」

「いや、そういうわけじゃなくって」

 わかってる、と言った澪の声が、妙に明るく部屋に響いた。

 気をつかって明るく振る舞ってくれているのかな、と思い当たり、少し申し訳ない気持ちになる。

 その本を俺が読み始めると、澪はどこからか数学の問題集を取り出して解き始めたけど、やっぱり図書館のときのようにはあまり集中できていない様子で、何度も俺に話しかけてきた。会話が楽しければ楽しいだけ、心のどこかに違うものが積もっていく気がした。

 話したり読んだり話したり話したりしている間に四時が近くなって、俺はふと携帯が壊れたから保証で新しいのが取り寄せられるまでの間に使う代替機を受け取りに行くように言われていたのを思い出し、その旨を澪に告げた。

「ごめん、結構ショップ遠いからさ、そろそろ帰るよ」

 俺がそう言って立ち上がると、澪は少し寂しそうな顔をした。ちくり、と心が痛む。

「そっか……じゃあ、今夜には電話できるんだね」

「そうだね」

 そう言ってすぐに澪が作り直した笑顔は、さっきまでの元気な、過剰な笑顔とはまた違った感じの、いかにも作ったようなそれだった。

「じゃあ今夜、俺からかけるよ」

 玄関まで見送りに来てくれた澪にそう言って靴を履き、振り向く。

 またね、と言おうとしたとき、澪が突然俺のTシャツの袖をつかんだ。

「ねえ、明日もまた、会えるよね」

「大丈夫だよそんな。約束したろ?」

 澪はうつむいて、口をつぐむ。

「なあ、どうしたんだよ」

「もう少し……いて。まだ帰らないで」


 こんなわがままを言う澪は初めてで、そのことへの驚きと動揺、そして何より澪を不安にさせたくないという思いで、俺はもう一度リビングに戻った。

 澪は袖を放さないまま、ごめんなさい、と謝る。

 いつものように明るく、謝るなよ、なんて言うことはできなかったけど、携帯なんか、いま澪といられるなら明日でもいい。


 リビングに戻ったときようやく澪は袖を離して、ソファーの真ん中に小さく、浅く座った。

 俺はローテーブルの、さっきまでいた位置に戻る。

「ごめんね。私、おかしいよね」

「気にしないで。一緒にいたいんなら、一緒にいよう?」

 今度はうまく言えた。澪はまた小さく、ごめんね、とつぶやいた。

「大丈夫?」

「大丈夫」

「何かつらいことでもあったの?」

「ううん、大丈夫」

「お母さんは、いつ帰ってくるの?」

 さっきまでの反動か、沈んでしまった澪をなだめるためにいろいろと話す中で、俺はふとそんなことを聞いた。

 俺じゃなくても誰かがいれば不安も和らぐだろうから、という思いだった。でもその言葉を聞いた瞬間、澪はひどく、ひどく絶望した顔をして、泣き出してしまった。

俺はひどくうろたえる。

「え? ど、どしたの? なんか俺、やっちゃった?」

 そばまで行って、隣に座った。どちらかは座ってローテーブルのところやソファーの前にいるのが常だったから、ソファーに並んで座るなんてのは初めてになるんだけど、今はそれどころじゃない。

「ねえ……ねえ!」

 うつむいて両手で顔を覆っている澪の肩を揺する。しばらくしたあと、ぐちゃぐちゃの泣き顔をこちらに向けて澪はようやく、しぼり出すように言った。


「私……お母さん、いない」


驚かなかった、いや、驚けなかった。言っている意味が飲み込めなかった。

「詳しく……聞かせてくれる?」

 それだけの返事をするのにも、俺はひどく時間を要した。


「お母さんは、いたの。お母さんだけは、いたはずなの」

 少しだけ間があってから、澪はうつむいたまま口を開いた。俺は横から覗き込む形になっている。

「おじいちゃんもおばあちゃんも小さいころに会ったことがある気がするだけで、他の親戚も知らなくて、里帰りとかも、なくて……でもお母さんは、仕事が忙しいからって家にいないことのほうが多かったけど、いたはずなの。でもね、和也くんと初めて話したころにね、いなくなった。連絡も、つかなくなった。いなくなったら、もともといなかったようにも思えてきた。だからすごく……怖かった」

 話しているうちに澪は泣き止み、しだいに落ち着いてきたが相変わらずうつむいたままで、目もどことなくうつろだ。

「たまにあったお母さんへの電話もね、なくなった。自分で家のことはできるからね、そのまま毎日過ごしてた。そしたらこの前、お母さんのお給料、振り込まれてた」

 見て、と電話の置いてあるチェストの引き出しから貯金通帳を取り出してきて、澪は俺に見せた。

 名義人は……光原、怜。

 めくったページには一週間前に、ちゃんとひと月前と同じ金額が振り込まれていた。

 澪は元の位置に座り直して、だけどさっきより少し顔を上げて続けた。

「あんまりね、考えないようにしてた。でも最近、和也くんの身に悪いことが続いて、眠れなくなって、昨日もなかなか眠れなくて……いろいろ考えちゃったんだ。そしたら、考えついた」

 聞いてくれる? と澪はこちらに顔を向けた。俺は黙ってうなずく。

「ん……あのね、私は呪いに生かされてるんじゃないかな、って。中学生のころまではそうでもなかったけど、高校に上がってだんだん家の中のことが自分でできるようになってね、お母さんにそういうことで頼る必要がなくなった。必要だから、お母さんがいた。今は私ができることが増えて、お金だけが入ってくるようになった」

 ふと、先生に聞いた話を思い出した。

「先生は、お父さんと面談した記録が残ってる、って」

「多分その時は、私ができるだけ普通に生きていくために、お父さんがその時だけいたんだと思う。それで、つじつまを合わせるために、記憶からは抜け落ちた。知ってたはずの人が疑わなかったら、世界はそのまま流れていくでしょ?」

「そんなこと……」

「お母さんのことも言えなくて、おかしいって解ってるのにお母さんの話も普通にしてきた。私ずっと、和也くんとみんなに嘘ついてたの。私、こんな私嫌い」

 澪はまた少し涙を流しながら、かぶりを振ってうつむいた。

「そんな、そんな悪く言うなよ」

「でも、本当だもん。みんなにも迷惑かけて……」

「やめろよ。好きな人の悪口なんて、自分が言ってるのも聞きたくない」

 澪は驚いたような顔をした。涙がまたひとつこぼれて、それっきりになる。

「今まで言えなくたって、今言ってくれたじゃん。いいよ、もう」

「おかしいって、思わないの?」

「思うよ。でも、俺も貴司も亮も消えたりしてないってことは、呪いは解けかけてるんだとも思わない?」

 澪はうなずかずに、ありがとう、と言った。何もかもが詰まった、ありがとうだった。


 澪が落ち着くのを待って、俺は言った。

「俺も、澪に言えてなかったことがあるんだ。話して、いいかな?」

 いつも通りのトーンで、澪はうん、とうなずいた。

「澪のと比べたら、ちょっと独りよがりな話かもしれないけどさ」

 澪は黙ったままで、俺が体の横に置いている右手に、白い左手をそっと重ねた。

 ちゃんと伝えられるかはわからないけど、どうしても伝えなくちゃいけないことがある。


「俺さ、この前の夏祭りの時、対馬に好き、って言われたんだ。知ってた?」

 ううん、と首を横に振る澪にあまり動揺している様子がなくて、俺は少し安心した。対馬は吹っ切れたようだったので言っているかと思ったが違うようだ。やっぱり吹っ切れていないのか、それとも気をつかっていただけか。後のほうならずっといい。

「好きな人がいるからって、断った。もうとっくに澪のこと、好きだったから。まあ対馬は結構そのあたり、お見通しだったみたいだけど」

 澪は曖昧な表情で、声を発しないまま少し首を傾げた。重ねあった手が、少しだけ握られる。

「でも、万が一澪がいなかったら多分受けてた。オーケー、してた。対馬とは小学校のころからの付き合いで、昔は一番仲のいい女友達だった。中学入ってあんまり話さなくなったけど、それでも対馬以上に女子と仲良くなることって、なかった」

 澪は黙って聞いていてくれている。言葉をひとつひとつ、ていねいに受け取っていこうとしているような、注意深げな表情だ。

「小学校のころの修学旅行でね、夜中好きな人を言うっていうベタなイベントが部屋であったんだけど、そのとき俺、対馬の名前を出した。好きだってつもりはなかったけど、好き、ってところに一番近い人なら、対馬だったと思うから」

「冴は……冴は、知ってたの?」

「知らなかったと思う。でももし知ってたんなら全部、俺の微妙なそういう気持ちまで全部、解ってたんだと思う。告白したくらいじゃ好きにはなれないでしょ、って言ってたから。前言った、立花と付き合ってうまくいかなかったのと同じになるでしょ、って。やっぱり対馬は全部、解ってたのかもしれない」

 少し頬を緩めて澪は、重ねた手を少し滑らせ、指を絡めてきた。俺の話は、まだ続く。

「だけど澪がいてくれて、すごくよかった。立花はどっちかっていうとちゃきちゃきしたタイプだったから別れても仲良くいられたけど、対馬はそうはいかなかったと思う。いくらかはおとなしい感じだから、もっとぎくしゃくしてたと思う。好きな人にはなれなかったけど、大切な友達であることには変わりないから。それはきっと、澪がいてくれたおかげ。俺が、光原澪っていう本当に好きな人に出会えたおかげ。好きな人に出会えたのは、呪いのおかげ」

 俺たちを取り巻いている空気が、少し流れを変えた気がした。

「対馬と友達でいられること。貴司や亮ともっと仲良くなれたこと。灰原とちゃんと知り合えたこと。それに、こうして隣で澪といられること。全部呪いのおかげ……ってのは、ダメかな」

「でも、消えた人たちは」

「呪いが解けたときにどうにかなる、ってのは?」

 それは楽観的すぎるでしょ、と澪は言ったけど、ちゃんと笑ってくれていた。

 言いたいことは、きっと伝わった。伝わったなら、それでいい。

 多分もう澪と離れることはないだろう、そんな確信があった。


 窓から外を見ると、もうすでに暗くなり始めていた。

「ねえ」

 手を重ねたままで、澪は言った。

「今日はこのまま、一緒にいてよ」

 言って、重ねた手を少し握ってくる。

 即答はできなかったけど、俺はいいよ、とささやくように返事をした。


 澪に電話を借りて、まずは貴司に電話をかける。澪は電気をつけてカーテンを閉めていきながら、手間かけてごめんね、と言った。

「はい」

 相槌を打つ前に、貴司は出た。

「俺だ、斉藤だ」

「えーと、うん。何?」

 澪のつもりで出たらしい。口調に少し温度差があった。

「今日帰らないことになった。そこで、手伝ってもらいたいことがある」

「なんかしゃべり方おかしいぞ……何についてだ?」

「今日は親がいないからさ、未来がひとりになるんだ」

 彼女んちにお泊まりなのにシスコンか、と貴司は笑った。なんだかうまく反論できない。

「なんとかうまく言ってくれない?」

「うーん、凜に頼んでみようか。あいつの親、融通きくらしいから」

「頼むって、何を?」

 俺が聞くと、貴司は何言ってんだよ、という感じで答えた。

「凜がお前んちに泊まればいいじゃん。どうせ未来ちゃんだけなんだろ? 解決解決。凜もそのへんの事情はわかってるし」

「そういうことか……でも、いいのかな」

「お見舞いのときに仲良くなってたみたいだし、大丈夫だと思うよ」

「そうか」

「で、お前は亮んちに泊まることにしておく、と。俺んちだと親どうしのつながりがあるからな」

 貴司のここまでの気の回りようには、本当にいつも脱帽する。機転が利く、を地でいっている。

 感心しきりの俺に、あとさ、と貴司は付け加えた。

「そういうことしたいわけじゃないって解ってるけど、俺は別に行けるとこまで行っちゃっていいと思うよ?」

「うるせー」

 ははん、と笑って、礼を言ったあと電話を切った。

 受話器を置いた瞬間に、迷いがすべて消えていった気がした。


「ごはん、作るね」

 澪はそう言ってキッチンに入っていった。手伝おうとしたけど、やんわり断られた。感じなくていい負い目を感じているのかもしれない。でもそれだけじゃなくて、心が揺らいでいてとにかく何かしていたくもあるのかもしれない。

「ということは、毎食自分で作ってたの?」

 普通の会話をしようとして、そう俺は尋ねた。

「うん」

「そりゃ、上手にもなるはずだよ」

 端から眺める手さばきは自分のそれよりもずっと良く見えて俺はそんなことを言ったけど、なんだか今度は俺のほうが空回りしている気がして、それに気付いて少し、俺の言葉は重くなった。


 食事を終えてからの後片付けも手伝えずに、俺はソファーに座ってぼんやりしていた。

 俺はどうしてここにいるんだろう。それは、澪が引き止めたから。

 だったらここにいて、俺は何をすべきなんだろうか。

 何もしなくても、ひとりでいるよりは不安は和らぐ。でも、そんなことじゃない。

 そんな風にぼんやり考えている間に、結局澪はほとんど言葉を発することもなく後片付けを終えて、ごめんね、と言いながらキッチンを出てきた。今度は何がごめんなんだろう、と考えるひまもなく、澪は俺の隣にすとん、と座った。

 一気に体がこわばる。手を今回は体の前に出していたからさっきよりも近くに澪は座って、手を重ねられるようなスペースさえない。

 硬直したままの俺に、澪は言葉をかけた。

「もう聞かないんだね、呪いのこと」

 左を向いて澪の顔を見ようとしたが、あまりに近くてすぐに前に向き直ってしまう。

「言いたく、ないんだろ」

「少し」

 もう聞きたいこともないし、と思ったが、ふとあの紙のことを思い出した。

「でもごめん、ひとつだけいいかな」

 うん、と澪は力なく、だけど否定のニュアンスだけは込めずに返事をした。ポケットをまさぐって、ぼろぼろの紙を取り出す。

「これなんだけどさ、先生のころにも似た噂があったらしくて、その時に出回ったんだって」

 紙を手渡された澪は、ゆっくりと開いて目を落としている。

「知ってた? 心当たり、ない?」

「わからない……」

 もしかしたら知っているかも、と本気で思ってはいた。

 だけど今はそれを、信じるしかない。


 ごめん、と小さく言って、澪はその紙をまた俺に手渡した。

「澪が謝ることじゃない」

「わかってる」

 澪が座っているのとは反対側のソファーに紙を置いて、また間の悪い沈黙。

「ねえ」

 破ったのは、またも澪だった。

「いちばん古い記憶って、いつのことか覚えてる?」

 元気はなくても、暗くもない口調。少し安心して、俺は答える。

「どうだろうな、考えたこともなかった。でもなんか、未来が生まれたときのような気がする。俺が二歳のときだね」

「そう……私はね、わからないの。幼稚園のときの記憶もあるし、幼稚園に入る前のような気がする記憶もある。でもそれよりずっと、ずうっと前のことが、思い出せる気がするの」

「おなかの中とか、前世とか?」

 澪は微妙に表情を変えて直接には答えず、言った。

「私は呪いとして、ひょっとするとずっと生きてきたのかもって、さっきの読んで思った」

「不安にさせたなら、ごめん」

「違うの。呪いがいつからあったとしても、光原澪は十七歳だから。もしかしたら、前世ってのも間違いじゃないかも」

 俺は思考が追いつかなくなって考え込んだ、自分でもわかる、難しい顔をしている。

「さっきの紙にさ、あったよね。呪われた女の子があなたを吸い寄せる、って。私、自分でもどうして和也くんに声をかけて呼び出したのか、ずっと解らなかった。でも、ひょっとして私が呪いなんだったら、呪われているんだったら、それは呪いのせいだったのかもしれない」

 何か口を挟もうとした俺だけど、澪はそれを遮った。

「でも体育館裏で初めて話したときに、私は変わった。自分の中に何が起こったのかは解らなかったけど、和也くんのことを知って、助けてもらうまではいかなくても、私を変えてもらえる気がした。ふたりで話して、仲良くなって、こうして隣にいることは、全部私が、光原澪が、望んだことだったんだよ――」

 はっとさせられた俺が完全に黙ってしまうと、澪はすうっと体を傾けて、俺のほうにもたれかかってきた。

「すき」

 つぶやくようにそう言って、澪はそっと目を閉じる。

「俺も、好きだよ」

 その返事に言葉はなくて、少し間があって澪は寝息でそれに答えた。

 いちばん近くにある顔が、多少やつれているように感じた。

 ずっとまともに、眠れていなかったのかもしれない。


 しばらくは左肩に澪の優しい重みと温かさを感じていたが、澪の眠りが深くなっていくにしたがってだんだんと力は抜け、こちらにしなだれかかる具合も少し重くなってきた。何度か体勢を立て直そうとしてみたけどなんだか起こしてしまいそうでそれも悪い気がして、俺はソファーを下りて床に座り、澪には頭をクッションで支えて横たわらせた。

 ふと、ソファーの下にタオルケットが一枚あるのに気がついた。

 もしかしたら昨日もここでこうしていたのかもしれない。本を読んでテレビを眺め、寂しさと途方もない恐怖をごまかしつつ、こうして寝ていたのかもしれない、と思った。それを広げてかけてやると心地よさそうにくるまって、横に出ている右手をそっと握ると、言いようのない愛おしそうな顔をして、寝顔が少し微笑んだ。

 こちらに向けられたその愛らしい寝顔を見ながら、俺は思う。


 澪は本当に、呪われているのかもしれない。本当に、呪いなるものは存在するのかもしれない。

 認めたくはないけど、それも事実のひとつの選択肢だ。

 でも今、呪いではなく光原澪、俺の好きな光原澪としてここにいる以上、

 こうして触れていれば確かに温かいし、気持ちよさそうに寝息も立てて、

 ふとしたことで感情が動けば笑い、怒り、悲しみの涙だって流すだろう。


 んう、と小さく寝言を言って、きゅっ、と俺の手を握る澪は、間違いなく俺の好きな人。

 近くで見れば見るほど、少し疲れていても相変わらず、吸い込まれそうなほど整った顔。


 愛しい人のその唇に、そっと短く、キスをした。


 甘酸っぱいとかレモン味とかそんな感じじゃなくて、

 ただただ切なくなるほどに、なぜだか甘ったるい味がした。


 これで、おあいこだ――



 澪もおそらくそれに気付くことなく、少しだけ反応は示したがそのまま寝息を立て続けた。

 それから俺はただ、その寝顔をずっと見つめていた。


 しかし、その時だった。

 ぴいん、ぽおん、と静かな夜に似つかわしくない音が部屋に鳴り響いた。

 チャイムだ。でも澪は目を覚まさない。

 時計は、誰か人が訪ねてくるには非常識な、遅すぎる時間を指し示している。

 ためらいもあったが澪の手を放して、おそるおそる玄関に向かった。がちゃん、とロックを解除し、ドアを開ける。

 開けたそこには、男がひとり、立っていた。


「よお」


 ――浪野だ。


「遅くにすまない」

 おおよそ普通の高校生は使わない、堅苦しい言い回しで浪野はまず、そう謝った。

 でも、嫌味な感じはせず、かえって誠実な感じまでした。

「なんだよ」

「聞きたいことがあるんだ」

 俺は口を開かず、疑いと怒り、そして少しの恐怖が入り交じった視線で浪野を見た。

「どうして、光原から離れない」

 黙って見つめる浪野は長髪で、相変わらずの制服を少し着くずしていた。そういえばこんな感じの軽い奴だった気もするが、今俺を見つめているまなざしは真剣そのものだ。

「じゃあ先に、俺の質問に答えてくれないか」

「わかった」

「どうして、お前は消えたんだ」

 最高に突っ込んだ質問をしたつもりだったのだが、浪野は動揺する素振りも考える素振りも見せず、すぐさま答えた。

「光原が求めていたのは、俺じゃなかったんだよ。人が何かを求める限り、どこかで他人の邪魔になる。だからすべての願いが叶うことはなく、お互いに傷つけあうことになる。それは俺とお前にも言えることだ。それに、光原の心の痛みは、ある程度お前も知っているだろうが、きっとそれは俺が今、こうしてさまようことで味わっている痛みと、多分同じなんだよ」

「じゃあお前は今、ずっと……」

 まるで何かに操られているかのように、淀みなく長く浪野は話す。必死でその言葉のひとつひとつを受け取って、聞き返そうとしてみたけど、浪野はそれさえも遮って話し続ける。

「それは聞くな。今は知らないほうがいい。お前が消えない理由は、お前が光原の求めていたものかもしれないから。呪いが消えない理由は、まだそれが確実ではないから。それを今、お前らは確かめているんだろう。その不確実なぶんだけ、お前に痛みが降りかかっているんだろう。……これが俺の答えだ。これ以上、俺の中には何もない。それでは聞かせてほしい。どうして、あんな目にあってまで光原から離れない」

 直立不動のままで話す浪野の声は平坦で、トーンも低い。繰り返されたその問いかけの語尾も消え入る感じで、おおよそ何かを尋ねるときのそれではなかった。

 でも俺には答えがある。聞かれるまでもない、そのために今を生きていると言ってもいい、澪の隣を歩くための答えが。

「もうお前だって、解っているんじゃないか?」

 俺が前置き代わりに軽く問いかけると、浪野は一瞬、わずかに表情を緩めた。

「俺が求めているものも、澪かもしれないんだ。澪も、俺も、お前も、みんな本当は同じなんだ」

「……ありがとう、感謝する」

 言い終えて俺が口をつぐむやいなや浪野はそう礼を言って、背を向けて去っていった。


 本当に俺も、澪と同じだ。立花も対馬も、俺に好きをぶつけた時の気持ちはどんな建前や理性のかさに隠れていても、本物だったはずだ。気丈かつ明るく笑ってくれたふたりの気持ちを俺は傷つけることしかできずに、それと同じ程度にかは解らないが俺も確かに傷ついた。その時のことを思うと今でも、心のいちばん脆い部分が崩れそうにうずいて仕方ない。

 澪だって、それは同じだろう。それが、同じなのだろう。でも相手が“消えてしまう”ぶん、その痛みは人より強い。きっとそれが、呪いなのだろう。だから俺と澪の気持ちが本物になったとき、すべての痛みは治まり、呪いも解けるのではないだろうか。

「和也くん? 和也くん?」

 閉じたドアにロックをして、その場に立ちつくしつつそんなことを考えていると、どうして目覚めたのだろう、リビングのほうから早足でやってきた澪がそのまま、ためらうことなく俺に抱きついた。

「なっ……?」

「何か、あったの?」

 押し殺したような声で澪は尋ねる。

「なんでもないよ、大丈夫だ」

 その返答を聞いて、澪はいっそう強く俺を抱きしめて続けた。

「ん、でも……いや。いなくなったかと思った。消えちゃったかと思った。怖かった、怖かった」

「ご、ごめん」

 少し肩を震わせてさえいる澪に、俺はそうとしか言えなかった。

「怖かった……怖かったよう……」

 そう言ってさらに強く抱きしめてくる澪に、俺はもう何も言わずその場でじっと体を寄り添わせていた。

 俺も負けずにぎゅうっ、と抱くと、なんだか泣けそうな気持ちがあふれた。


 くたびれるほどにそうしていた後で、俺は澪の手を引いてリビングに戻った。

 また一緒にソファーに座ったけど、今度はさっきよりももっと近く、完全にくっついて座った。

「ごめんな、怖い思いさせて」

「うん、でも寝てたのは私だし」

 口ではそう言いながらも体は離れない。触れた体もまだ、震えていた。

「ごめん」

 澪は何も言わずにただ、こくり、とうなずいた。


「こんなに誰かと一緒にいたいって思ったの、初めて」

 しばらく経ってようやく落ち着いたのか、いつもの調子に戻って澪は言った。

 返事をするのも野暮な気がして黙っていたが、澪は気にしない。

 そのまま澪の言葉は流れていき、静かな闇に溶けていく。


 あのね、私、和也くんと話したあの時まではね、呪いとは別のところに光原澪がいるだなんて、信じられなかった。

 気付いたときには呪いとして生きていて、私に普通なんてどこにもなかった。


 自分がどうしてここにいるのか、わからなかった。

 友達はいたけど、噂からはかばってくれたけど、

 目の前で男の子が消えたのを見ると、みんな少しだけ、離れていっちゃうから。


 でも最近は、高校に入ってからは、違ってた。

 浪野くんのこともあったけど、だけどそれで、凜や冴と仲良くなったの。

 それでいろいろ話したり知ったりして、凜ののろけ話なんて聞いたりすると特にね、

 これまで自分にそんな感情がなかったことに気付いたの。

 そんなの当たり前だよね。呪いが男の子を遠ざけて、それで光原澪は、傷ついてきたわけだから。

 でもね、それも変わったの。

 初めて話したあの日にはとっくに、和也くんのことが好きだったの、きっと。


 すごく身勝手なお願いをしたのに、和也くんは優しくて、

 だから私の好きは、どんどん、どんどん強くなった。

 知らなかった。自分がここで生きてる理由をこんなにも、好きが支えてくれるなんて。

 こんなにも、和也くんと同じ世界にいられてよかったって思えるようになるなんて。


 みんなみんな、大好きになれたの。

 凜――そんなことあるわけないのに、「呪いなんかない!」って言ってくれて、

    あのひとことが私の支えだった……

 冴――凜みたいにはっきりとは言わなくてもいつも笑っていてくれて、

    私はこの人と友達なんだって、すごく思えて嬉しかった……

 有働先生――何もいらない、って思ってたから最初はおせっかいにも思えたけど、

       教室がちゃんと私の居場所になったのは、まずあの人のおかげ……

 児玉くん――ちょっと不思議なところもあるけど、それも多分いいところで、

       中学までの私を見てるのに、あんなに私によくしてくれた……

 木田くん――凜とすっごくお似合いで、だけどみんなのこともちゃんと考えてて、

       私にも普通に接してくれて、呪いじゃない私もいるんだって、思わせてくれた……

 未来ちゃん――こんな私のことをしたってくれて、まるで可愛い妹ができたみたいで、

        和也くんと一緒で優しくて、すごく私に元気をくれた……


 そして誰より、和也くん……


 私きっと、和也くんと出会うために呪いを背負って生きてきたんだよね。

 みんな大好き。大好き、大好き……。

 大好きだよ、ねえ、和也くん。

 世界で、いちばん――



 そうか、好きって、こういうことだったんだ――



 何度も口に出して、何度も澪の口から聞いて、何度も心で感じてきたけど、

 やっと、この手でつかまえられた気がした。


 すき、すき、ねえ、すき……

 小さく小さくなりながらもずっと続けられるその言葉のひとつひとつに、うん、うん、とずっと俺は応えていった。


 すき、すき……

 うん、うん……


 先に眠りについたのは、どっちだったんだろう。



 気がつくと朝だった。よくは思い出せないけど、多分寝たのは日付が変わっていないころだったはずで、八時半という時間を見るに、ずいぶんとまあ眠っていたものだ。

 俺はソファーに寝そべっていて、澪はいない。キッチンから物音といい匂いがする。

「澪?」

 ガスコンロの音で聞こえなかったようなので立ち上がって、キッチンに顔を出した。

「おはよ」

「あ、おはよう」

 すっかり見慣れたにっこりした表情が、そこにある。

「和也くん?」

 なに? と返事をする。澪は手を止めないままで、言う。

「覚えてる? 昨日の夜のこと……私が一度、起きたあと」

「覚えてないわけないじゃん」

 改めて思い出して、なんだか恥ずかしくなった。俺が左手の人差し指で口元をかくと、澪もそんな感じの表情に変わる。

「よかった、夢みたいだったから。言いたいこと言えて、和也くんが隣にいて、なんだかすごく、気持ちよくて」

「俺も、そう思う」

 気まずさではない、どことなくむずがゆい雰囲気が流れた。

「朝だから、コーヒーがいいかな」

 それを打ちやぶるように、すぐに澪が言う。

「そうだね」

 なぜか今までずっと、そうしてきたような気がした。

 そしてこれからずっと、こうしていけたらいいな、と思った。


 食事はゆっくりと、いつもよりさらに他愛ないことを話しながらすませたけど、片付けの途中、時計をちらちらと見ながら澪は言った。

「未来ちゃんのことは、大丈夫?」

 そうか。予定でいくと灰原が来てるんだったな。

「うーん、どうだろ」

「帰っておいでよ。きっと心配してるよ」

 そうしようかな……とまだ少し迷う俺に澪は、私は大丈夫だから、と付け加える。

 そのひとことで、俺は家に戻る決心をした。


「じゃあ、またね」

「またね」

 玄関まで見送りにきた澪の顔は、差し込む光に照らされて明るく輝いていた。

「今度は、ええと……」

「そうだ。今日中に携帯もとってくるから、夜には電話できるよ」

「わかった。電話する」

 ばいばい、と手を振って、玄関をくぐった。

 もう半分昼間の日差しが、俺を迎えてくれた。


ここのサブタイトルも気に入ってます。

自分の作ったキャラクターに恋できるか。この作品の私的裏テーマであり、同時に恋愛小説を書く上での命題だと僕は認識しています。


……最近ある友人に「お前にはついて行けない」と言われました。

ロマンを追い求めて強く生きていきます、うん。

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