これが王の実力
書き上がりました~。
前回の2日後のお話です。
トーラニア王国の軍のシステムはギルスによるととても簡素なものらしい。全兵力は5000。それを1000ごとに分けて(これを千人組というらしい)隊長をおく、さらにその5つの千人組をまとめる司令官をおいて完了。
おっと、まだその上に王様がいるんだった。
一昨日ギルスが言っていたこと、便宜上は武芸大会らしいがその内容は千人組の隊長たちと1対1で闘う、それだけだ。
司令官はもう70過ぎなので力で闘うことは出来ないが隊長たちを倒すだけで十分な結果は得られると俺はみている。
そして今日急遽開かれる武芸大会、千人組の隊長たちは一瞬、呆気にとられたらしいが二つ返事で参加を志願した。
なんせギルスに勝てば王になれるという豪華商品をつけたのだ食いつかないわけはない。
しかし、それは餌だ。ギルスは釣り人。はたして上手く釣れるか逃がすのか。
「これより!第一回武芸大会を開始する!審判は王補佐であるこのおr・・私が中立の立場からさせていただく!」
オオオオオーーッ!!!
非常に盛り上る会場。急ピッチで造ったため粗末な造りだが今日使用するにしては十分だ。
1回戦。最初の千人組隊長は槍使いのジュウ。
ギルスは武器を槍を選んだようだな、性根が悪いな全く。
「所定の位置についたな?では・・・はじめっ!」
始まりとともにジュウは構えを崩さないまま1歩ずつ前に進む。
「王様よぅ!動かなくていいのかい?もうすぐ俺の射程に入るぞぅ?」
1歩。
「入ったとたん、あんたの体は穴だらけになっちまうぜ?」
1歩。
「何故ならば俺の槍はまるで弓隊が一斉射したようn・・・」
ジュウが1歩踏み出ようとした、その瞬間ギルスの体は弓から矢がはなたれたように飛び出し、相手の槍を下に弾いてから自分の槍の先をジュウの喉元にピタリとつける。その動作は瞬き《まばたき》並みの早さであった。
「えっ!?・・・・ひっ」 ドサッ
ジュウは崩れ落ちた。あれ、あいつ漏らしてんのか?
「槍の腕は嘘ではないんだろうけども、無駄口が多いね。あと最初も喋ってる最中も油断しすぎだよ。なんというか、はじめっていったすぐにチャンスはあったんだけど、なんか喋りだしたんで聞いてやろうと思ったら自己紹介だったことは残念だったよ。」
「そこまで。」
会場は先ほどと違い静まりかえっている。
ギルスの強さが思った以上だったのか、それともまさか千人組の隊長がやられるとは思ってなかったのか、どちらかはわからないがどちらにせよこの大会は有効な手だったようだ。
「では、次の選手どうぞ。」
しかし、姿を見せない。
手元の資料を見てみるとそいつも槍使いだった。
(まぁ、あれをみてからじゃ、闘う気はうせるよな。)
「えー、なにか事情があると思うんですが棄権とみなします。
では、次の選手どうぞ。」
次はちゃんと現れた。
「ん~っ、ハシのやつは棄権したんだね?情けないやつだよ・・・。この僕!ルイーは違う!さぁ、武器を取ってください。華麗な剣使いの僕が相手です、陛下。」
(剣をとっても僕には到底かなわないだろうけどね。)
うわー、うぜぇ。気持ち悪っ。
ギルス、そいつは叩きのめしていいぞ。―まかせろ。
目の会話は成立したようだ。俺は中立だが、頑張れギルス。
「あれ?陛下、武器を・・・。」
「きなよ、素手でやってやるさ。」
「くっ・・・!いっ・・いくら僕といえども我慢の限界はありますよ?いいでしょう、この僕の!華麗な剣さばきを御覧あれ!」
(馬鹿にしやがって、この平民上がりがっ!)
「はじめっ!」
と同時にギルスの体がまた跳び、一気に相手の懐へ飛び込んだ・・・ようにみえたが、まるで予測していたかの如くルイーは剣を横に振り、それをギルスは体をひねってよけた。
「ふっ、よくやるじゃないか!少しはやれそうだね。」
「陛下こそ、よく避けれましたね・・・。」
普通のやつには今のはギルスが危ない状況になったように見えただろうが俺には見えた。ギルスは避ける瞬間、笑っていた。
つまり、余裕でよけることができたということ。
(確かに速いが僕の目で捉えることのできる範囲だ。次、次に今みたいに飛び込んできたら今度こそ・・。)
「君は今`今みたいに飛び込んできたら今度こそ´的なことを考えてるよね?顔にでてるよ。」
「えっ!?なんで僕の考えが・・・。」
「隙あり!」
ギルスは跳んだ。あいつめ、動揺させてから畳み掛けるとは。やっぱり性根の悪いやつだ。ルイーは慌てている。
「うわっ!」 ブン (あたらな・・・)
慌てた剣が当たるはずもなく、ギルスはなんなく避け、懐へ。そして相手の顎にめがけておもいっきり拳を突き上げた。
ルイーは`ぶぺ~っ´とかいいながら吹っ飛ぶ。
あちゃー、あれは歯の1本は折れてるな。
「君は僕を陛下と呼びながら心のなかで馬鹿にしてたね。顔に出てたよ。反省しておくように。」
無事に3回戦(実質2回戦)を終え、あと2人。
さっそく次の選手の資料をみる。
(あれっ?次のやつは武術がつかえないのか?そうか、頭で登り詰めたやか。さて、どうでるかな。)
4回戦。相手は千人組の頭脳、チースト。
やつはきちんと現れた。ん?なんか様子がおかしいな。
所定の位置につくと同時に跪く。
「陛下。私は陛下につくのが常識とみました。他の隊長はどうか知りませんが、私は陛下の下で働きとうございます。ですから、今回の私は陛下に勝ちを譲ります。」
「えっ、いいの!?じゃ、そうさせてもらうよ。」
やつはこの武芸大会の意味を理解している。使える家臣になりそうだが、まだ信用するに足りん。
しかし今はこちらも受け入れた方が良さそうだ。
「チースト、棄権を認める。こらからも王国のため頑張ってくれ。」
こうしておけばチーストはすんなり従ったぶん、他のやつと扱いが違うと兵たちにもわかるな。
「おい!ちょっとまて!」
なんだ?あのガチムチ野郎は。あっ 次の選手か。待ちきれなかったか?みたかんじこいつはバカってわかるわ。
「チースト!てめぇ、それでも千人組の隊長か!やすやすと負けを認めよって!俺は!断固拒否する!こんな頼りのない王などに国をまかせられるかぁ!」
「口先だけかい?僕にかかってきたら?次の対戦相手なんでしょ?もうやっちゃっていいよね?アラン。」
「さっきよりちょっと上くらいならな。」
「まかせてまかせて。なら、始めようか。」
「こっちからいくぞぉぉ!」
ガチムチ野郎のバンスは両手のでっかいこん棒を振り回しつつ間合いを詰める。
「ひゅー、当たったらただじゃすまないな、でも当たらないよ。」
「ぬぅん!」ブゥン「ふりゅっ!」ブゥン「はぁっ!」ブゥン
全て完璧に避けている。こらからも一生当たらないだろう。
しかしすごいのはギルスてはなくやつだ。あれだけ激しく動いておいてまだ一度も息が切れていない。さすが隊長といったところか。
「そろそろ決めちゃうよー。守りにはいったらー?」
「ふざけんなっ!(ブゥン)これが俺のっ!(ブゥン)スタイルなんだっ!(ブゥン)これをすり抜けてこられるかぁーっ!」
ブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥン
やつはでたらめに振り始めた、でも隙はない。
「・・・。」ギルスはじっとチャンスをうかがう。
ブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥン
「どうしたぁ!来てみろぉ!」まだだ。
ブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥン
ブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥンブゥン ブゥン・・・
そこだっ!
「ふげっ・・・。」
わずかな隙間を見つけたギルスはトップスピードで飛び込み、顔面に膝蹴りをぶちかます。倒れたやつにとどめの1発を腹に決めて
にっこりと笑顔で俺に言う。
「勝った!」
そりゃそうだよ。お前が負けるわけねぇよ。
俺も笑顔でこう答える。
「よくやった!」
予約投稿ってのやってみました。
便利ですねー。
さて次回はついにグアニスの軍が・・・!