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二人の国   作者: 扇子
始まり
19/26

ギルスの部屋

インフルエンザは敵!


再開して、一発目のこのお話。



  屋敷に帰ってきたけどアランとまだ会ってない。



  聞けば僕の仕事部屋である執務室にいるらしい。



(何のようかな?僕に仕事を直接渡すわけでもないだろうし。)



 〈ガチャッ〉



「帰ったよー!出迎えてくれたっていいじゃない・・ん?」



  アランはソファに座っていた。それは別にいい。

  だが、僕の椅子には山に行く前にアランが連れてきた青年、ソゥがいた。



「ギルス、山での報告は聞いたぞ。一応、お前にも聞いておこうと思ってここで待っていた。・・・さっ、ソファに座れ。」



「いや、僕の椅子・・・、なんであの人が座ってるの?」



  答えたのはソゥの方だった。



「なんや?ここ、王様の椅子やったんかいな。すまんけど、俺がもろた。部屋ごとな。詳しいことはアランさんに聞いてくれ。俺は忙しいさかいな。」



  ソゥは資料に目を通し、左にある紙の山にのせる。

  右に山積みのものはまだ手をつけていないものだろう。



  ソゥの発言は答えにはなっていないが、アランが座らせたものと分かりギルスは非難の目をアランに向ける。



「なんだ?その目は。仕事のできる奴に良い椅子と机と環境をくれてやっただけだ。」



「いや、でも僕の・・・。」



「『豚に真珠』という言葉を知っているか?」



「なっ・・・むむむ。」



  つまり、デスクワークがさっぱりの人間にここは不要、というわけか。アランめ・・・。

  思えばこの部屋にあった僕の私物がすべてなくなっている。



「僕の留守中に何てことを!」



「勘違いすんな。お前の私物は新しい部屋に移した。後で見に行くといい。なぁに、相応の部屋だと思うぞ。」



 いや、ニヤニヤしながら言われてもさぁ!?



「そんなの絶対・・・いいや。で、何だったっけ?」



 ちょっと引っ掛かるけど、ここは話を進めよう。



「あぁ、山の情勢をどう見たか聞きたいな。」



「そんなことか。そうだね・・・、一言で言うと大丈夫って感じかな。全ての山は共有財産ってことにしたし、部族同士の交流もこれから盛んになるだろうしね。食糧問題だってこちらから送ってやることにしたから・・いやっ、ちゃんと鉄製品とか大砲とかを生産してもらうことを条件に出したよ?」



  一瞬、アランの顔がものすごく歪んだので焦った。



「ならいい。これで村が襲われる心配はなくなって北側の開発ができるな。もう1つ、河賊はどうだった?」



「うん。なんかカッコ良かったよ。でかい洞窟にドックがあるし、砦もあったし。これからも僕たちの力になってくれるね。それと、向こうからの要望なんだけど、罪人や捕虜は遠慮なく送ってきてほしい、そうだよ。反抗的なやつは山の方で異民族たちに労力として送られるらしいけど、素直なやつは取り込んでるみたいだった。」



「そうか、考えておこう。お前から聞きたいことはあるか?」



「僕の椅子がとられてるんだけど、あいつってそんなに有能?僕はいなかったから分かんないんだけど。」



「有能もなにもあいつは凄いやつだな。何でもできる滅多にない人材だ。ただし、部下じゃなくて食客。居候させてもらってるから恩を返すという雇用の形なんだけどな。それに、あいつの弟子も結構やるやつらだ。汚職の件で処罰した内政官たちよりも何倍も有能だったぜ。」



「ほー。そんなに・・・。これじゃあ、僕の仕事はもうないんじゃないかな。」



「それがな、あるんだよ。軍事関係はな。」



「あっ、わかった。千人組隊長のやつらを操りきれないじゃない?」



「当たり。やっぱりお前かアドワ軍司令じゃないと止められないしまとめられない。今はこちらから攻めるときではないからな。あいつらも力を持て余してる状態になっている。何かお前から仕事を与えてやった方がいいんじゃないか?」



「そうだねー。兵の訓練だけじゃなくて力仕事とか治安維持活動でもしてもらおうかなぁ。河賊は別としても、まだ野盗はまだ結構いるだろうから。」



「特にチーストとルイーはお前に負けてから、そのことをかなり根に持っている。扱いに気をつけろ。アドワ軍司令が抑えているとはいえ反乱でも起こされたらたまらない。」



「大丈夫大丈夫。あと誰がいたっけ、あれからほとんど関わってないや。」



「はあ!?こういうのはな!人と人との関わりが重要なんだ!普通は軍の中で派閥とかあるんだぞ!?まぁ、お前はトップにいるからその下の派閥があろうがなかろうが関係ないが・・・それでも何かしておけ。たしか、ジュウとハシというやつだったと思うぞ。部下との友好的な関係を結んでこそ、上司であり王であるんだ。わかったな!」



「わかったよ。あれっ・・・ハシってやつは僕と闘わずに逃げたやつだよね。一度も顔を会わせたことがないかも。」



「馬鹿野郎!さっさと自分の部屋に戻って何か考えておけ!」



「自分の部屋ってったって・・・新しい部屋?」



「当たり前だ。前の部屋は完全にソゥにくれてやった。」



 ――――――――――――――――――――――――――――


  退出後、アランから聞いた新しい部屋の場所へ移動する。



「ちぇっ。アランめ。言いたいことずけずけと言っちゃってさ。 僕だってわざとできないふりしてるわけじゃないのに・・・。まぁ、軍関係で活躍してアッといわせて見せるさ。」



(たしか・・・ここの部屋か。)



「うーむ、見た感じ良くも悪くもない部屋だねー。」



  窓は小さい、部屋の大きさは前よりは小さいくらい、机はあんまり物を置けない広さ、椅子は微妙、ソファはグレードダウン。



「あっ、紙が置いてある。アランから?」



  実績によって、部屋を良くしてやる。


  アラン



「変な制度が僕に追加されたみたいだ・・・。」



  さて、豪華絢爛ごうかけんらんな部屋になる日は果たしてくるのか・・・。

久々にでてきた千人組隊長。

彼らは普段は兵の訓練などをしています。

が、今までの戦いで一度も連れていってもらってない隊長もいます。連れていってもらっているけど名が出なかった人もいます。


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