河賊と異民族 その④
はい、再開しましたー。
ちゃんと活動報告読んでくれていますかー?
投稿とかで、あれ?とおもったらまずそこを見ることをおすすめします。
河賊(トーラニア軍)本陣
「弁明の・・・余地もない・・・っ。」
ギルスの前には傷ついた族長〈ガス〉が膝まづいている。
「君、自分の失敗が何を意味するかわかってんの?」
「・・・・うぅ。」
「はぁ、本来はね。盆地で僕らが敵の騎兵と戦っている際に、側面または背面から攻めてもらおうと思ってたんだよ。わざわざ敵の有利な平面の土地を選んでね。でも、何?君たちは?せっかく花を持たせてやろうと思ったのになにやってんの?」
(まぁ、これはもう本陣を前に進めたからある程度はカバーできてんだけどね。)
「・・・わっ我々は敵の本陣をっ!」
「馬鹿だね。あれはフェイクだよ。ここから山道を1時間程度しか動いてないところにあるわけないだろ。事実、うちの斥候が打ち捨てられた敵陣を見つけた。つまり、罠にはまったんだよ。」
「なっ!?俺は俺は・・・・。」
「500の兵をあてにはしない。だから、鉱山で大人しくしていな。戦い後でそれなりの償いをしてもらうよ。」
ガスはすごすごと帰っていった。
「ギルス様、あれでいいので?」
「まぁ、終わりよければ全て良しってね。」
「はぁ・・・?」
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翌日 盆地前方の森 斥候
「おい、いたか?」
「いや、ここらにはいないようだ。」
「よし、もう少し前に出よう。そろそろ敵が動く頃らしい。」
「わかっ・・うがっ」 ドサッ
首もとには小さな矢が刺さっていた。
毒が塗ってあるのか、びくびく痙攣している。
「どうした!?・・・ひいっ!」
斥候は辛うじて逃げ切り、陣営にそれを報告した。
「遂に動き出した!でもなぁ、どうも少数で行動したやつは討たれていく。何か策はないかなぁ。」
手を挙げたのはバンキン。
「ギルス様、案があります。森に火を放つふりをしてはどうでしょう。やつらは森に潜み、共に生きています。森の木々をさぞ、大切に扱っていることでしょう。」
「よし、それでいこう。完全なふりなら問題はない。さて、僕ももう1つ布石を打っておくよ。」
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翌日
作戦は成功した。
様々な場所で同時に行った結果、凄まじい数のジュラ族を討ち取った。
しかし、ある方面だけ騙されず、逆にこちらの兵がやられた。
「つまり、そっちがゴメ族のいる方向って訳だね。」
「えっ、どうしてです?」
「ゴメ族はなかなか頭が切れる。おそらくジュラ族に罠と知らせたんだろうね。これでジュラ族がバカってことはわかった。」
「これだけ敵を討ってもまだ戦力差は大きいですな。これからどうします?まさか森の中を突っ切っていくわけでもないでしょう。」
「そらね。どうしよっかなー、っと考えなくてもあっちから来るよ。絶対ね。」
「はぁ・・・?」
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翌日
「ギルス様!斥候の知らせによりますとこの盆地へ敵が向かっているそうです!ギルス様は何故わかったのですか!?」
「ふふ、前回でジュラ族は減った。だから今度、前みたいなことをやられると動きたいけど防げない。ゴメ族はそんなもの罠だとわかりきっているから防げるけど動かない。そんなやつらの考えが行き着くのは、先に仕掛けて潰す!ってなるね。」
「おお、そういうことでしたか。もし、そうならなかったら?」
「ある程度は火の道筋を作ってから燃やす。まぁ、これでもやつらは攻めてくるだろうけどね。リスクが少ないのは前者だ。」
「では、迎撃にあたります!」
「僕も出るよ。異民族と思いっきり闘ってみたい。」
「ギルス様!?危険です!万一があっては!それに誰がここの指揮をとるのです!」
「君が指揮をとりなよ、バンキン。」
「そんな・・自分には!」
(とりたい)
「じゃっ、いってくるから!」
「あっ!ギルス様!!」
(よっしゃぁぁーっ!)
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戦場は盆地
盆地の端は中央と比べ、平らなところが少ないため騎兵は不利になる。それでも攻めてくるというのだから、よほど火を防ぎたいのだろう。
「さぁ!かかってこーーい!」
ドドドっと山道を駆けてきたのはたった200騎程度だった。
しかし、それ以外の馬の足音は聞こえる。
「あり?」
おおぉーーーーっ
なんと側面から攻めてきた。
しかも、鉱山方面からである。
そちらの方面から来るということはリト族の警戒網に引っ掛かることなく大軍を進めたか、打ち破ったかである。
多少の混乱はあったがベテラン兵の河賊はよく防いだ。
「くっ、よくやるなぁ!」
ギルスも進んで前に出て闘った。
本人曰く、異民族と本気で闘ってみたい、そうだ。
周りの兵は止めたが、それで止まる男ではない。
「でも、予想範囲内の力だよ!」
目の前の敵はあっさりと片付ける。
ドン、ドン、と砲の音が時折聞こえた。
(そうか、あいつらは足止めされてるのか。撃破はされてなくてよかった。でも、助けに行きたいけどこちらも精一杯なんだよねぇ。)
考え事をしつつ敵を斬り捨てる。
近づくと必ず殺されるものすごく強いやつと敵に思われたか、ギルスの周りに近づくものは減っていった。
「僕を外れ者にするなーっ!」
そういうときは自分から近づき、討つ。
ついには、ギルスの周りは全て逃げ、味方の兵のみになってしまった。
「ギルス様!本陣が危ない状況に!」
「何だって!?もう!なにやってんのさ!」
ギルスは急ぎ駆けつけた、が突如として背面に敵が現れる。
本陣に殺到していた一部の敵兵も引き返し、囲まれてしまった。
「ありゃ。やはり敵は賢い・・・。」
「のんきに言ってる場合ですか!お逃げください!」
「分かってるよ!これはピンチだ!」
「あぁ!バンキン様!助けてぇ!」
本陣ではバンキンは多方面より押し寄せる敵の対処に追われていた。
「くっ!小数といえどもこうも周りから攻められては!」
「バンキン様!ギルス様が!」
「なにぃ!?くそっ!これ以上割ける兵などいるか!どうすればいいんだ!」
ギルス達は善戦した。
それでも、数の差はどうしようもなくゆっくりと包囲の輪は小さくなってゆく。
「やっぱり数・・・なんだよね。」
「ギルス様!何を弱気になっているのです!まだチャンスは!」
「ふふ、諦めていないよ。ちゃんと前から手は打ってあるさ。」
「それはどういう・・・」
疑問を解消する前に鉱山方面の包囲が薄くなった。
リト族が鉱山の敵を退けてこちらに向かっているのが見えた。
「ギルス王!!我らリト族が今助けるぞ!!」
数百の兵にも関わらず、千の兵の勢いを出して、向かう敵を蹴散らし、ギルスに合流する。
「よく来たよ。タイミングが良すぎるくらいね。」
「ジュラ族が攻めてきたが元より、白兵戦でやつらは敵ではない!これで汚名は払拭できたか?」
「ふふ、充分!さて、残りも破るよ!」
「了解した!戦士たちよ!仇討ちだ!!」
その後の戦況はこちらの優勢のまま覆らなかった。
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河賊(トーラニア軍)本陣
ギルスの前には膝まづいた二人の男がいる。
一人はゴメ族族長。一人はジュラ族族長。
「さっきもみたような光景だね。」
「ぬぬぅ、さっさと殺せ!」
「我ら 敗者 死 望む。」
戦いの最後はこの二人と(捕虜)数百人を捕らえて終わった。
こちらの損害はトーラニア側だけで500。
少なくすんだといえる範囲だ。
「僕はね、君たちを皆殺しにするつもりなんてないのさ。ただ、山で仲良く暮らして貰いたい、それだけ。」
「何を!貴様ら平地の民は何度我らを滅ぼそうと仕掛けてきたことか!それを、今更!」
「待ちなよ。攻めたことがあるのは僕の国の敵だよ。グランスタっていってね。僕の国はトーラニア、一度も君たちをを攻めたことはないよ。」
「ぬぅ・・・しかし、貴様らは今回攻めてきたではないか」
「言ったはずだよ。僕は君たちに仲良くして貰いたいだけなんだ。争いをしないというのならこちらは一切の手を引くよ。」
「俺もリト族を代表して争いをしない意見に賛成する。」
打ち合わせ通りに事は進む。
「・・・ジュラ族 賛成。」
「なっ、おい。」
「争い 不要。」
「その通り、争いは不要だよ。族長さん決断してくれ。」
ここまでいくと拒否はできない、はず。
「・・・わかった。俺もゴメ族が滅ぶのは望まん。」
「ふふ、山がまた荒れなければ僕は攻めないよ。約束しよう。」
鉱山の資源を横流ししてもらうことを条件にしてリト族の〈なるべく穏便に〉という要求を、ギルスはこなした。
これにて山の変は収まり、ギルス達は大量の戦利品を持って帰還する。
これから1時間後にもう1つ予約投稿しています。
番外編ですので本編にはまったく関係ありません。
結構おもしろいとおもいますよ。
3/21修正。
大きなところに変化はないです。