始めの第一歩
一応、アランが金髪、ギルスが黒髪です。
※初期の話は段落やスペースをあんまり考慮できていません。いずれ直しますが・・・今は我慢していただきたい。
252年 グランスタ王国 中央部 王都グラント グラント城
100年余り続くグランスタ王国、その王であるギラーヌス・ジン・グランスタは病の悪化により命が潰えようとしていた。
王には4人の息子がいるが誰もこの国を背負えるほどの器ではないことは王はよくわかっていた。王がもっとも恐れていること、それは家督争い、つまり兄弟同士の争いにより国が乱れることであった。彼は残った力を振り絞り遺言書をしたため力尽きた、跡継ぎの名を書くところで・・・。
王の死後、遺言に従い3年間の兄弟同士の争いを禁じたが、もはや争いは回避できない。その争いがおきるという波紋が国中に広がり、戦乱の世がおとずれる、そんな噂が国中を混乱させた。
255年 グランスタ王国 極東部 トーラニア領 領主マカベンの屋敷
目が覚めた。
(地面が冷たい・・ここは・・・そうだ、独房だったな。)
狭い鉄格子の窓を見るともう朝日が照っていた。
唐突に看守が独房に近づき、叫ぶ。
「出ろ!御領主様が直々に判決を下される。」
計画スタート。
謁見の間のような感じがするところへ連れられた。領主のマカベンが床よりも1段高い場所におり、その後ろの大きめの窓ガラスからさす光はとても眩しい。
「貴様は何故のろし台で火を焚いた?」
笑顔で尋ねる、しかし顔にはでてないがやつの心に余裕はないようだ。
「野宿をしようと思いまして火を焚いたのです、いやぁーまさかあれがのろし台だとはおもいませんでしたので。」
「嘘をつけ!あれは合図なのだろう?盗賊の仲間をよんでこの街をめちゃくちゃにするための!」
マカベンは熱くなっているが今の俺はむしろ冷めている。
「えー、目撃者の情報によりますとこやつにはもう1人仲間がおるようで、ただいま捜索中です。」
「ほぅ、盗賊どもの先遣隊は2人か。引き続き捜索せよ。ふふっ、仲間は薄情だなぁ?貴様を残して1人で逃げてしまっているぞ?」
ここまで計画通り、ギルス うまくやってくれよ。
「領主様、あなたはなにか勘違いをしています。俺たちは盗賊なんかじゃない。それにあいつは1人で逃げたりはしません。ただ待っているのです。行動する時間まで。」
窓ガラスからの眩しさがなくなり、シルエットがうつる。
窓ガラスが割れ、黒い物体が破片ともに飛び出してきた。
その黒い物体は男、右手にナイフを持っている。
「なっ!?しっ 侵入しyあがぁぁぁぁっ・・・」
瞬く間に領主の首元を裂き、ナイフ腹に突き立てて蹴り飛ばす。俺の隣に滑り込んできた。汚い。臭い。ピクピクしている。何故こっちに蹴り飛ばす必要があったのかあいつに目で尋ねる。
「おまたせ、アラン。」
あいつは俺が目で尋ねたこととは違う答えを返したが今は気にしない。
「いいタイミングだったぜ、ギルス。さぁ 例の一言をいってやれ。」
「わかってるよ。えーっと、衛兵に使用人、家臣の皆さん 僕たちは前の領主を倒しました、なので僕が新しい領主です。あと・・えーっ、王国に対して独立宣言をします 以上!」
「意外だな・・・。」
国王補佐のアランは国王ギルスの隣でこうつぶやく。
「そだね、僕たちに反対するやつらがでてくるっていうアランの予想ははずれ。むしろ喜ばれてたしなぁ。`国王ギルスばんざーい´だってさ、まったくうれしいこといってくれるよね。」
あれから3日たった、だいたいのこの領地もといこの国土全体の様子や内政の状況がわかった。
「人事と軍事、国民のことはお前にまかせた。俺は国の管理運営、外交を整えてみるよ。」「おっけー、まかされて!」
ギルスは人を見る目がある。人事、軍事についても会計以外はまかせていいだろう。カリスマ性もあるので国民の心なぞすぐにつかんでみせるに違いない。
これも前の領主が圧政をおこなっていたがために可能なことでもある(あれでも軍人だったので軍の装備と練度はまともだった)。やつも王都の様子をみて自分の領地で反乱がおきることをなにより気にしていた、だから俺なんかがのろし台で焚き火していたことにも敏感に反応し自ら俺を処分しようとした。
「さて、俺も仕事に戻るか。」
ギルスが人をまわしてくるまでは領土の問題をやるとしよう。
いくらでもやることはあるのだ。
グランスタ王国 東部 東都アーセン アーセン城
「トーラニア領が独立だとぉ?おろかな!そんなことをすれば我々の軍が討伐しにいくことをわかってやっているのか?前の領主は殺され、王を名乗っているやつは家柄も名誉もない青年2人ときたか。そんなものこの俺が潰してくれよう!用意を!」
王の長男のグアニスは自室で報告をききそう叫ぶ。
「おまちくだされ、閣下。お父上の遺言の期限はあと3ヶ月、他の兄弟様が期限より先に閣下のお留守を狙い攻めてくるやもしれません。ここはどうか他の者に5000程度を任せ派遣して叩くべきかと」
「ふむぅ、それもそうだ。しかし、これはチャンスだ。2000程だしてその不届き者たちを殺せ。誰を出すかは貴様が決めろ。」
「無茶です!向こうには5000程度の軍があります!2000など・・・。」
「考えてもみろ、いきなり領主が殺され、代わってやってきたのは得体の知れぬ青年だ。そんなのに軍人が従うとでも?俺はそいつに従うのは1000程度とみている。おそらく戦意もない。こちらはあの王国軍なのだからな。やつらも死にたくはないだろう。それに少数で反乱を制したことは他の兄弟にも俺の軍の強さを知らしめるいい活躍の場となる。わかったか?ただちに用意しろ。」
「・・・・はい。準備に3日、行軍に5日かかると思われます。」
「かまわん。日程なぞどうでもいい、ようは結果だ。」
「ははっ」
(トーラニア領の前の領主はたしか俺の近くで屁をこきやがったので左遷したやつだったな。そんなやつの残した軍がまともなわけがない。そんなことより俺は3ヶ月先のことを考えねばならんのだ。さっさと終わらしてもらいたいものだな。)
不定期になるかもです、1週間に1話が目標。一応次回は登場人物紹介と地理の勉強を予定しております。いざ作品を書いてみると頭の中がスッキリしていいですね。