15-35.黄金騎士団出陣(3)、小さな勇者
※2016/12/12 誤字修正しました。
※今回はサトゥー視点ではありません。
「『身体強化』『剛力』『俊敏』『集中』」
少年騎士マリエンテールが、スキルによる自己強化を行う。
相対する漆黒の上級魔族による攻撃を警戒していた少年騎士だったが、上級魔族は少年騎士を愉快そうに眺めるだけで、攻撃するそぶりをまるで見せなかった。
「どういうつもりか知らないが、その油断を後悔しろ!」
『準備はできたカ? ワガハイ退屈』
瞬動で接近した少年騎士が、上級魔族の間合いに入る寸前で静止し、直角にコースを変更する。
だが、上級魔族はフェイントに乗ることなく、少年騎士を眺めるばかりだ。
真横から瞬動で接近を始めた少年騎士が「増速」とコマンドワードを唱えると、手にしていた聖剣が輝き、少年の走る速度を五割増しまで引き上げる。
少年の行動に、上級魔族が僅かに目を細めた。
上級魔族にとっては、この程度の速度差など、静止しているのも同然。
少年騎士の最期を想像し、上級魔族が嫌らしく口角を上げた。
「加速陣」
少年騎士の前に光る輪が生まれ、そこを通過した少年騎士が爆発的に加速する。
それは上級魔族の動体視力を以ってしても、見失いかねないほどの速度だった。
しかも、少年騎士の攻撃は威力を求めた大ぶりの斬撃ではなく、速度を最優先した突き技だ。
だが、それでも――。
『単純加速は等速と変わらヌ? ワガハイ嘲笑』
――輪郭がぶれるほどの速さで襲撃した少年騎士を、上級魔族は勘だけで迎撃してみせた。
漆黒の尻尾ではね飛ばされた少年騎士が、石畳を砕きながらバウンドし、一軒の本屋の書架に激突して動きを止めた。
砕けた書架と古い本から溢れたもうもうとした埃で、少年騎士の姿が隠れる。
『さあ、もっト楽しませロ、ワガハイ期待』
普通なら上級魔族のカウンター攻撃を受けて生きているはずがない。
良くて、半死半生の重体だろう。
それが常識なのに、上級魔族は揺るぐことなく少年騎士が消えた本屋から視線を動かさない。
果たして――青い輝きが白い埃の合間から飛び出してきた。
「うぉおおおおおおおお!」
少年騎士の雄叫びに応えて、彼の持つ聖剣が青い輝きを放つ。
二度目の突撃は上級魔族にカウンターされることなく届き、それを防いだ暗赤色の大剣と激突して青と赤の火花を散らす。
『孤軍奮闘、ワガハイ憐憫』
両手で聖剣を持つ少年騎士を見下ろして、上級魔族が空いている片腕を振り上げる。
その毒爪には禍々しい輝きに濡れていた。
「――一人じゃないぜ!」
広場の間を瞬動で駆け抜けた美丈夫が、赤い魔刃の光を棚引かせながら上級魔族に斬りかかる。
上級魔族が乱入者を尻尾で薙ぎ払おうとするも、金髪の美丈夫はその全てを巧みな連続攻撃で捌ききった。
「キゴーリ様!」
「よう、マリエンテール。待たせたな!」
少年騎士の援軍に現れたのは、レベル40を誇るセーリュー市最強の騎士。
そして――。
豪雷が上級魔族を襲う。
「へへっ、お前さんが時間を稼いでくれたからな、雷爺の本気の一撃だぜ」
「これがリンドルフ様の魔滅落雷」
雷爺という愛称で親しまれる筆頭魔法使いリンドルフ氏の雷撃に、さしもの上級魔族も動きを止める。
『痺れる驚き、ワガハイ歓喜』
上級魔族が胸を張ると、黒く焦げていた皮膚が飛び散り、無傷の身体が表に現れる。
不意打ちの上級雷魔法による攻撃も、上級魔族への有効打にならないようだ。
『返礼迅速、ワガハイ速攻』
上級魔族の角から放たれた漆黒の雷が、城の尖塔で杖を構える雷爺へと伸びる。
だが、その手前に現れた光の壁が、魔法を防ぐ。
――都市核による防御壁だ。
自分の攻撃が防がれたにも拘わらず、上級魔族が愉快そうに光の壁を見つめる。
光の壁の向こうには魔力砲を準備した兵士達の姿やフル装備の騎士達の姿もあった。
『面白い玩具ダ、ワガハイ招集』
上級魔族が一つ吼えると、その足下に漆黒の魔法陣が生まれる。
「まずい、止めるぞマリエンテール卿」
「はい!」
二人の騎士が青と赤の光を曳きながら、上級魔族へと襲いかかった。
◇
「こ、このっ! 尻尾だけじゃなく鱗まで自在かっ!」
「マリエンテール! 避けろ!」
上級魔族の体表の鱗が変形し、少年騎士の腹を襲う。
そこに金髪の美丈夫が割って入った。
「キゴーリ様!」
「この程度、金剛身で防げる。手を休めるな、なんとしてでもヤツを止めろ!」
美丈夫の鎧と身体は鱗に抉られ、その口からは赤い血が咳と共に零れる。
「はい!」
涙を堪えながら、聖剣を振る少年騎士の努力も、城からの必死の援護も、やがて徒労へと変わる。
『さあ絶望を振りまケ。ワガハイ推奨』
魔族の足下から現れたのは様々な異形の魔族達の姿だった。
無数の下級魔族と蟲に乗った中級魔族の騎蟲士達が、広場に広がる魔法陣から湧き上がる。
翼を持った下級魔族達は空を舞い、戯れに落下しては家々を砕いて嗤う。
「魔界の蓋が開いたみたいだぜ」
口元から血を零しながら、美丈夫が昏い瞳で周囲を見回す。
領軍の幹部でもある彼には、これだけの大軍勢を相手に戦える戦力がセーリュー伯爵領にない事もまた理解していた。
「あ、諦めるのはマダです! 瞬き一つの時間でも、刹那でもいい。僅かな時間を稼ぐんです!」
少年騎士が美丈夫を励ます。
その姿を魔族達は面白い見世物だというようにニタニタと笑いながら包囲する。
「――稼いでどうする。王家の援軍など来ない。来ても、その頃には全て滅んだあとだ」
「目を覚ませキゴーリ!」
熱い拳が諦めに沈む美丈夫を揺り起こす。
「王国ではありません――クロ殿が来ます。姉様が必ず彼を動かしてくれるはずです」
その言葉に、美丈夫の心に僅かな希望が点る。
「クロ――勇者の従者か」
そして魔族達と騎士達の絶望を奏でる第二ラウンドが始まった。
◇
「マーサさん、孤児院の皆は大丈夫かな」
「大丈夫よ、あそこはお城並に頑丈だって、騎士ソーン様が言ってたから」
宿の地下にある避難壕の片隅で、小間使いの幼女ユニと宿の娘マーサが小さな声で不安を紛らわせる。
ここには宿の客だけでなく、周辺の家々の人達も避難していた。
一際大きな落雷の音が響く。
それを境に、屋外の物音が静かになっていった。
「もしかしたら、魔物を撃退できたんじゃないか?」
「ちょっと見てこようか?」
「おい! 止めておけ!」
「ちょっと顔を出すだけだって」
避難していた男の一人が、周りの制止を振り切って地下の扉を開けて顔を出す。
「おい、外はどうだ?」
止めていた男も外は気になるらしく、黙った男に状況を尋ねる。
だが、男は黙して語らず、ドサリと上から何かを投げ落としてきた。
「痛ってぇな。なんだコレ? べたべたして――うわぁああああああああ」
男は自分が持っていたのが、外を覗いていた男の首だと知って、悲鳴を上げて投げ捨てる。
上からは首を失った男の血しぶきと、遺体が落ちてきた。
悲鳴と怒号に支配される地下室に、更なる恐怖がやってくる。
ベリベリと音を立てて天井――宿の床が剥がされて陽光が明るく照らす。
その光の中に顔を覗かせたのは、黒い二本の竿――否、巨大な昆虫の触角だった。
触角が男の一人に触れるやいなや、剥がされた天井から巨大なカマドウマの目が現れ、ギロリと人々を捉えた。
触角が部屋の隅にいたマーサとユニに巻き付く。
「ぎあぁああああああ、助けてお父さん、お母さん、助けて助けて助けて助けて」
「た、助けて――サトゥーさん」
マーサとユニが悲鳴をあげるが、触角に挑んだのは宿の夫婦だけだった。
その必死の抵抗も、もう一つの触角の餌食になる事を志願する結果だけに終わる。
「ユニを離せ、なのです!」
彼方から飛来した青く輝く光弾が、二つの触角を打ち抜く。
そして、触角から空中に解放された四人を、光弾に遅れて現れた白い影が攫う。
「リュリュ! ユニ達を任せたのです」
――LYURYURYUUU。
白い竜から飛び降りたのは、黄金の鎧に身を包んだ小さな騎士。
「今必殺の魔刃突――」
黄金騎士は技名の途中で、カマドウマの黒い体に激突する。
赤黒く光るカマドウマの防御壁を一瞬で打ち破り、鋼よりも硬い体表すら紙のように貫いた。
「成敗、なのです!」
空に突き上げた黄金の剣からは、青い輝きが伸び上がる。
「ゆ、勇者様?」
「小さな勇者様だ」
宿の地下から出てきた人々が、黄金騎士を見て誰に言うでもなく口にする。
――LYURYURYUUU。
空を旋回する白い竜が、新たなる敵の接近を報告してきた。
「リュリュ! ユニ達を先に下に降ろすのです」
――LYURYURYUUU。
黄金騎士が指示すると、宿の一家と小間使いを手に掴んでいた白い下級竜が地上へと降りる。
ふわりとした優しい降下だ。
「ケガはないのです?」
「は、はい、ありがとう――なのです? も、もしかして」
正解を言い当てようとしたユニに、黄金騎士がお口チャックのジェスチャーでそれを止める。
もちろん、ユニは昭和日本のジェスチャーなど知らなかったが、聡く「口外無用」だと解釈し、言葉を止めた。
「勇者様、お名前を教えてください」
「ポチの名前は黄金騎士イエローなのです!」
「黄金騎士イエロー様! あたし達を助けてくれてありがとう!」
ユニは心の中で「言ってる! 言っちゃってるよ、ポチちゃん!」と激しくツッコミながらも、表面では冷や汗と苦笑いだけで堪える。
そして、一際大きな声で「黄金騎士イエロー」と黄金騎士の偽名を周囲に喧伝した。
なかなか苦労性な幼女である。
「他の人は来てないの?」
「ゼナは迷宮の方に行っちゃったのです。ポチはこれからリュリュと一緒に、あっちの魔族を倒してくるのですよ」
「魔族を倒してきてくれるのですね! 黄金騎士イエロー様!」
再びの友人の失言に頭痛を覚えながらも、大きな声で周囲の人達に黄金騎士の行動を伝える。
肩で息をするユニの健気な努力も、天然な黄金騎士には伝わっておらず、かわいく首を傾げるだけで終わっていた。
「それじゃ、行ってくるのです! お土産はご主人様と来た時に持ってくるのです!」
手を振りながら去っていく友人に、ユニは手を振り返す。
「フォローありがとう、ユニちゃん」
「え、サト――」
聞き覚えのある声に顔を見上げたが、そこにいたのは彼女の知らない顔だった。
だけど、ユニの頭を優しく撫でるのは、記憶にある彼のモノだ。
「はい、今度は普通に泊まりにきてください」
「そうだね。きっとそうするよ」
その謎の人物は人々を集めると、土魔法で地下避難所を作り出し、強力な結界を張ってくれた。
それは、素人目に見ても頑丈そうで、魔王でも壊せないという彼の太鼓判を信じたくなるほどの立派さだった。
◇
『もう終わりカ? ワガハイ不満』
上級魔族の前で荒い息を吐く少年騎士の聖剣からは青い光が失われ、彼の背後に庇われる魔法兵の少女達もまた身動きができないほど魔力尽き疲労困憊していた。
未だに魔法が使えるのは、風魔法使いの少女が一人だけだ。
一緒に戦っていた美丈夫こと騎士キゴーリも大怪我を負って退場し、廃屋の陰でガルレオン神殿の副神官長ネビネンによる必死の治療を施され命を繋いでいた。
「…… ■■■■ 気槌」
少女が決死の思いで放った風魔法が、上級魔族に届く事なく霧散してしまう。
『構成が甘イ。ワガハイ採点』
地面に両手をついて絶望する少女魔法使いの姿に、上級魔族が愉悦に緩ませた瞳で見下ろす。
人々の絶望と恐怖が彼ら魔族のご馳走なのだ。
それを楽しむ為に、彼らは相手が死なないように嬲り続ける。
「…… ■■ 気槌」
空の一角に現れた銀色の騎士が、詠唱短縮で高速化した風魔法を唱える。
さきほどと同じ結果をもたらすと思われた魔法は、上級魔族に届き、その巨体を数歩後ろに下がらせるほどの威力を発揮した。
「≪踊れ≫ 風の小剣!」
護国の聖剣クラウソラスを思わせる聖句を受けて、白銀騎士の手から放たれた七本の小剣がシャラシャラと涼やかな音を奏でながら風に舞う。
青い光の尾を曳きながら、猛禽のように上級魔族に襲いかかる。
『王祖ヤマトの弟子カ? ワガハイ歓喜』
一つ一つが熟練の剣士のように激しく巧みに襲いかかるが、上級魔族はそれすらも楽しげに捌いていく。
「≪纏え≫ 風の小剣!」
『聖句が二つ? ワガハイ仰天』
聖句は一本に付き一つ。
それは神授の聖剣にすら適用される絶対のルール。
だが、それを聞いたら、小剣の製作者である黒髪の少年は一笑に付すだろう。
ただ純粋に、複数の回路を並列するのが困難だっただけだと。
真空の刃を広げた小剣が、見えない刃で上級魔族をジワジワと追い詰める。
だが、それでも、人と魔族の差は歴然としていた。
空を舞う聖剣達が幾ら傷を付けようとも、未だに決定打にはほど遠い。
白銀の騎士が起死回生の攻撃魔法を詠唱し始める。
『クカカカカ、黒き血に宿る毒で苦しメ。ワガハイ愉快』
飛び散る上級魔族の血を吸い込んだ兵士達が、血反吐を吐いて石畳を転がる。
それを見た白銀の騎士が、兜の奥で唇を噛む。
風の範囲回復魔法で、同僚達を解毒したい気持ちを意思の力でねじ伏せる。
今、彼女がするべきは、上級魔族の撃退だ。
そして、後は発動句を唱えるだけのところまで、呪文が完成した。
最後の発動句を唱える前に、白銀の騎士が次の一手を打つ。
「≪満たせ≫ 風の小剣!」
三度唱えられた聖句を受けて、七本の小剣が眩く輝き――あろう事か、内側から弾けて青い粒子となって散ってしまった。
『耐えきれなかったカ? ワガハイ嘲笑』
「天嵐」
嘲笑う上級魔族を気にも留めずに、白銀の騎士が発動直前で保留していた上級風魔法の最後の発動句を唱えきった。
上級魔族を中心に嵐のように風が吹き荒れ、風の中に生まれた黄金色の光の軌跡が、上級魔族を嵐の鳥篭に閉じ込める。
内側からの漆黒の拳の連打も、黄金の鳥篭を歪めるだけで、砕くにはいたらない。
それは精霊魔法で創られるガルーダの秘技を風魔法に移植してもらった彼女のためだけの魔法だ。
『クハハハ! ワガハイ愉快』
黄金の鳥篭の中で、嵐の中に生まれた真空の刃が上級魔族を責め苛む。
それだけの攻撃でも、人の魔法が上級魔族を倒すには至らない。普通なら――。
その嵐のなかにキラキラと青い輝きが瞬くのが見えた。
嵐はやがて様相を変え、青い輝きを煌めかせる別の魔法へと進化していく。
『ワガハイを倒すためニ、神授の聖剣を犠牲にしたノカ! ワガハイ称賛』
聖剣の粉で削られた上級魔族が、靄になって嵐の中に消えていく。
「サトゥーさんの用意してくれた魔法や道具のお陰です」
誰に聞かせるでもなく、白銀の騎士が嵐の残滓に向かって呟く。
その傍らに白い下級竜に乗った黄金騎士が到着した。
「ゼナ――じゃなかったのです。えーっと、えーっと」
「白銀騎士エアーですよ。黄金騎士イエローさん」
「そうだったのです! ポチはそう言いたかったのですよ!」
額に手を当てて、先ほどのユニと同じ気分を味わった白銀騎士エアーだったが、すぐに気を取り直して、上級風魔法にある治癒を周囲に施す。
「他の魔族の人達はポチとリュリュが全部倒したのです」
「さすがですね」
軽く言っているが空を飛ぶ複数の中級魔族を短時間で殲滅できる者はシガ王国広しといえど、そう多くない。
「魔王はまだ出てこないのです?」
黄金騎士が可愛く首を傾げながら、物騒な発言をする。
「ええ、これで終わりのはずですよ」
そんなに簡単に出てこられたら、人々は安心して生活する事すらできないだろう。
魔法による応急処置を済ませた二人は、地上へと降下する。
「よく頑張りましたね。ユーケル」
「ね、姉様?」
「私は勇者ナナシの従者、白銀騎士エアーです。あなたの姉ではありません。いいですね?」
「はい! 姉――いえ、エアー殿」
姉弟の会話を後ろで眺めていた黄金騎士の耳がぴくりと動く。
「――誰かが呼んでいるのです」
「イエロー?」
「ちょっと行ってくるのです」
白竜の背に乗った黄金騎士が空を舞う。
そして、やってきたのは、セーリュー市内にある神殿の裏庭だった。
◇
『来たわね――小さな勇者』
裏庭にはハチミツ色の髪をした幼女が、花園の中心で花冠を編んでいた。
幼女が歳不相応に微笑む。
「ポチは黄金騎士イエローなのです。勇者はご主人様なのですよ?」
『いいえ、あなたは「真の勇者」なの。みんな秘密にしているだけ』
「そうなのです?」
疑うことを知らない素直な黄金騎士が、首を傾げつつ幼女の言葉に納得の色を見せる。
『ええ、そうなのです。だから勇者には魔王を倒してほしいのです』
「悪い魔王なのです? ご主人様は悪くない魔王は倒したらダメって言っていたのです?」
黄金騎士の脳裏に、主人と一緒に戦った迷宮地下での戦いが過ぎった。
『とっても悪いイタチの魔王だから大丈夫です。倒したら、ご主人様が褒めてくれますよ』
「それなら頑張るのです! すぐにゼナを呼んでくるのです」
『いいえ、それでは間に合いません。向こうでは私の勇者が悪しき魔王に殺されそうになっているのです』
「それは大変なのです」
黄金騎士がそう言って、騎竜の背に立ち上がると、幼女が満足そうに微笑む。
この場に黄金騎士の仲間達がいたら、幼女に向けて臨戦態勢を取りそうな笑顔だ。
『すぐに、行ってくれますね?』
「はいなのです」
だが、疑う事を知らない純粋な黄金騎士は、幼女の願いを快諾してしまう。
『戦場への門を開きます』
黄金騎士と白竜の前に神殿の門によく似たゲートが開かれる。
切り取られた空間の向こうには白く染まる広大な廃墟が見えた。
『行きなさい小さな勇者。そして私の勇者を救いなさい』
「はいなのです! ポチは頑張るのですよ!」
黄金騎士は明るく答えると、白竜と共に戦場へと身を翻した。
※次回更新は 12/18(日) の予定です。
※次回はイタチ帝国のターン!
※アニメ化についてのたくさんの祝福の言葉ありがとうございます!
※昨日発売されたデスマ新刊9巻は全編書き下ろしエピソードで、いつもより4万文字多い18万文字の大ボリュームでお届けしております。
書籍にご興味のない方も、宜しかったらBOOKWALKER等で冒頭だけでもご覧下さい。
また、コミカライズ版4巻も同時発売しておりますので、そちらも宜しくなのです。







