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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
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SS:ルルと食材買出し

※年末年始特別号です。
※今回は普通に箸休め回です(12章中盤付近のお話です)。

「あれ? ルル、朝早いんだね」
「おはようございます、ご主人様」

 着替えの手を止めてご主人様に朝の挨拶をする。
 早いと言っているけれど、夜中に起きた時もご主人様はベッドに居なかったから、今日も寝てらっしゃらないかもしれません。

 過労で倒れるご主人様が想像できないけど、母だって急に倒れたもの。
 私が言うのは僭越だけど、心を鬼にして睡眠を取るように言わないと!

「ご主人様――」
「ルル、着替えの途中だよ? 目のやり場に困るから、下着だけでもちゃんと着てくれないかい?」

 ――え?

 シタギ?

 ギギギと音が聞こえそうなぎこちない動きで視線を下げる。

 アレハ、サッキ、キヨウトシテタ、ぶらじゃー。

 私は胸を押さえて床にしゃがむ。
 ああ、顔が熱い。

 ご主人様に、私みたいな醜女の裸を見せちゃうなんて……お目汚しにもほどがある。

「ご、ごめんなさい。ご主人様、こんなものみせちゃって」
「ああ、すまない。ちょっと寝不足で反応が遅れちゃってね。それに眼福だったから、謝るならオレの方だよ」

 後ろを向いたご主人様が、優しくそう言ってくれた。

 私は慌ててブラジャーを付ける。最近バストアップ体操が効いてきたのか、少し大きくなってサイズが合わなくなってきた。
 今度アリサに頼んでサイズを調整して貰わないと。

「ルル、アリサが起きたら、この包みを渡しておいてくれ。危ないから子供達が包みを開けないように注意してね」
「はい、判りました」

 ご主人様から受け取った包みを、一時的に自分の妖精鞄に入れる。
 アリサの鞄に入れておきたい所だけど、自分の妖精鞄以外は出し入れができないから仕方ない。

 私に手を振って部屋を出て行くご主人様。

 ――あっ! もしかして、お腹が減ったのかも。
 通いのメイドさんが来る時間はもう少し後だから、私が作らないと!

 私は急いでエプロンを掴んで、ご主人様の後を追った。





「本当に梅粥で良かったんですか?」
「ああ、胃に優しいし、何よりルルの料理は美味しいからね」

 えへへへー、誉められちゃいました。

「そうだ、この時間なら王都の正門近くの通りで朝市をやってるんだけど、行ってみるかい?」

 ご主人様のお誘いに、壁に掛かったご主人様お手製の時計を確認する。
 皆が起きて来るまで二時間あるから――大丈夫よね?

「はい! 行ってみたいです」
「じゃあ、これを食べたら出発するから、ちゃんとした服を来ておいで」

 ――え?

 あああ……。また、やっちゃいました。
 下着姿にエプロンだけなんて、はしたないにもほどがあります。
 これじゃ、痴女です。

 私は反省しながら、慌てて部屋に駆け戻って着替えを済ませました。





「やっぱり王都だけあって、品数が豊富だね」
「はい! 目移りしちゃいます」

 調味料も一杯あるし、見たことのない食材が一杯で、どう使うか考えるだけでうきうきしてくる。
 できれば、エルフの里に行く前みたいに、ご主人様と二人で色々と料理を研究できたらいいのに……なんて、贅沢ですよね。

「あっ、ご主人様、あれって小さいけどマグロじゃないですか?」
「本当だ、見に行こう、ルル」

 ご主人様が嬉しそうに微笑んで私の手を引いて走り出した。
 ご主人様ってば、本当にマグロが好きなんだから。

 私はだらしなく緩む頬に繋いでいない方の手で押さえて、束の間の幸せを堪能しました。





 買い物を済ませ、ご主人様と屋台の横のベンチに腰掛けて軽食を戴きます。
 沢山歩いたせいか、挽いたばかりの蕎麦の香りが食欲をそそります。

「蕎麦掻は初めて食べたけど、意外に美味しいね」
「はい。前に食べたお蕎麦と違って頼りないですけど、これも美味しいですね」

 私は初めてだったけど、物知りなご主人様はご存知だったみたいです。

 王都にはまだまだ私の知らない料理が一杯みたい。
 迷宮都市で戴いたお小遣いが使い切れないほど溜まっているので、食べ歩きしてみるのもいいかもしれません。
 ご主人様と二人っきりで、なんて贅沢はいいません。
 皆一緒に美味しいお店をいっぱい探検して、楽しみたいです。

 色んな土地の色々な料理を食べて、今度はその料理を別の土地の誰かに振舞ってあげる。
 最近、そんな事を夢見る時があります。

 奴隷の身には過ぎた夢かもしれないけど、いつかお金を貯めて実現できたらいいな。

 そして、その時、私の横には――。
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