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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
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SS:戦利品

※活動報告にアップしていたSSの再掲載です。
 フロアマスター討伐後、蔦の館に滞在していた頃のお話です。
「それで、どれを残すか決まったかい?」
「やっぱ、定番だけど『物品鑑定』がいいと思う。まったく3つともアタリ宝珠だと迷うわよね~」

 フロアマスター撃破後に出現した宝箱は大中小の3つ。
 昔話みたいに、どれかを開けたら他の2つが消えると思ったオレとアリサをよそに、タマがさっさと3つとも解錠して開けてしまった。
 迷宮で宝箱を見つけたときは、タマが担当していたそうなので、慌てるアリサを見て首を傾げていた。
 なお、宝箱に罠などは仕掛けられていなかった。

 それはともかく、蔦の館の居間に広げられた戦利品の仕分けを続ける。

 どうせオークション行きといえばそれまでなのだが、先に目録を作っておく事は必要だろう。
 それに何より、戦利品の確認というのは楽しいものなのだから。

 宝箱の中には、中層と同じく3つの宝珠があり、「物品鑑定」「水魔法」「麻痺耐性」の3種類が入っていた。
 密かに「詠唱」の宝珠を期待していたのだが、空振りだったようだ。

 今回見つかった3つの宝珠は、どれもアタリの部類で、特に「物品鑑定」はレア中のレアらしい。
 盾役のナナか回復役のミーアに「麻痺耐性」を持たせるか、盾役のナナか後衛のルルに「水魔法」を持たせるか、斥候のタマか料理番のルル、物知りのアリサに「物品鑑定」を持たせるかで大いに議論を戦わせていた。

 結局、ルルが「物品鑑定」を持っていれば食材の安全が確保できるという事で、指名できる戦利品には「物品鑑定」を選び、ルルに使わせる事に決まった。
 まったく、選ぶ基準が食事と言うのが、食いしん坊なウチの子達らしいよね。

「他は微妙な装備ばっかよね~」
「アリサ、その判断は基準がおかしいと再考を促します」

 アリサの決め付けにナナの反論が入った。
 確かに、特筆するほどの性能の物はないが、それなりに使えるラインナップだと思う。
 魔法の武器だけでもアダマンタイト製の戦鎚ウォーハンマーに、ミスリルの短剣、顔面樹の大弓、蟷螂の蛮刀、雷晶杖、麻痺棘槍の6つもあったし、普通の武具でも黒鋼の片手斧や銀の小剣などが4つほど入っていた。

「確かにいつものチート装備が異常なのよね~ そりゃ、戦術プランを幾つも練って準備に準備を重ねたけどさ、レベルが9つも上の敵相手に無傷で勝利できるとか普通はないもんね」
「ケガすき~?」
「痛いのはダメなのです! 辛いのですよ?」
「変態?」
「ちっが~う!」

 危うくアリサがマゾ認定される所だったが、無傷なのはいい事じゃないか。
 あと70レベルほど上げたら、魔王クラスが来ても安心だ。アリサの話だと狗頭や猪王は別格だったみたいだから、あと50レベルくらい上げるだけでも十分かもしれない。

 今回は武器関係に偏ったのか、防具は少なかった。
 ミスリルで作られた雷手鎧という魔法の鎧と金剛貝の大盾以外は、頑丈なだけの普通の防具ばかりだ。

 雷手鎧は、烏賊のドロップ品だけあって10本の触手が生えていて、装着者への攻撃を自動で防御してくれる優れものだ。先端からスタンガンの様に電撃も出せる機能まで付いていた。
 全身鎧なので、装備者を選びそうだったが影人(シャドウ)族のセオル氏によると、迷宮産の魔法の鎧は着用者に合わせて大きさを自動調整してくれるらしい。
 久々にファンタジーっぽいアイテムを見た気がする。むしろ、ゲームっぽいかも。
 もっとも、ゲームと違って自動調整にも制限があり、せいぜいプラマイ20%ほどの範囲で調整してくれるだけなので、レリリルくらい小柄だと装備できない。

 金剛貝の大盾というのが軽い割りに頑丈で、魔力を通すと対魔法防御の膜を張れるので中層を攻略する盾役には嬉しいかもしれない。
 金剛貝自体はミーアのレベル上げのときに乱獲したので、沢山ストレージに眠っているので自作してみよう。
 他には、鱗恐竜のスケイルメイルや、装甲蛙の皮鎧などが入っていた。

「サトゥー」
「ポチも見て欲しいのです!」
「タマも~?」

 振り返ると、年少組の3人が指輪や王冠、イヤリングにネックレスを「これでもか!」というくらいゴテゴテと身に着けてポーズを取っている。
 満面の笑みの3人が可愛かったので、「みんなお姫様みたいだよ」とリップサービスしたら、珍しく照れた3人がクネクネとアリサみたいなリアクションを取っていた。

 宝石や装飾品は、普通に貴金属の類でさほど精巧な装飾でも無いのだが、宝石の粒も大きいし地金の価値だけでも結構な額になるだろう。
 装飾品の中にはアミュレット類もあったのだが、特定属性の耐性+1%とか微妙な性能の物ばかりだった。複数を装備するとかしたら、また違うのだろうか?

「このマントは狂牙虎の毛皮でしょうか? あの虎は魔法の効きが悪かったですから、これもそういった効果があるのでしょうか?」

 リザが持ち上げているマントは、彼女の見立て通り狂牙虎の毛皮製の品だ。防刃に優れるが、魔法への耐性アップなどの効果は無いようだ。

 他にも種類の違うマントが数枚と血色蜘蛛糸のローブや袖や襟にファーが付いたローブなども入っていた。

 それにしても、この戦利品を用意したのは迷宮の主(ダンジョンマスター)なのだろうか?

 アリサやセオル氏に尋ねてみたが、2人共知らないようだった。
 今度、本人に会った時にでも聞いてみよう。



 アリサが戦利品の紹介をする度に、会場に集まった群衆が沸く。

「じゃーん! これが、今回の目玉! 『雷手鎧』よ! 材質はミスリル製とありふれているけど、この触手が凄いのよ!」
「「「おおおお!」」」

 いや、君ら「凄い」の説明前にどよめくのは止めないか?

「なんと! 鎧の着用者への攻撃を勝手に動いて防御してくれるのよ!」
「「おおお!」」

 あれ? 期待した内容じゃなかったのか、声が減った。

 結構便利だけど、MPの上限が常時100ポイント減るらしいので、魔法使いには使いにくい品かもしれない。

 結局アリサが目玉だと宣言した鎧よりも、アダマンタイト製の戦鎚ウォーハンマーや金剛貝の大盾の方が人気だった。

 後日、自作した金剛貝の大盾をクロとして迷宮都市内の武具店に売りに行ったら、買い取れないと言われて委託販売になった。

 何日かの宣伝の後に、探索者ギルド前の広場でオークションが開かれ、赤鉄証の探索者が結構な値段で落札していた。
 金剛貝はあと百枚くらいあるのだが、値崩れしそうなので自重しておく。

 なお、金剛貝の大盾を売ったお金は、隊長さんや職人長屋の面々との宴会に使い切った。
 なぜか、見知らぬ探索者達が大勢参加していたが、楽しかったので良しとしよう。
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