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デスマーチからはじまる異世界狂想曲 作者:愛七ひろ
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2-8.悪魔の迷宮(1)

注意!暴力的な表現があります!
虫が嫌いな方はご注意ください。

※3/15 誤字修正しました。
※8/16 誤字修正しました。
 サトゥーです。シティアドベンチャーかと思ったらダンジョンアタック物に急変してしまってついていけないサトゥーです。

 迷宮が簡単に作られたのはいいとして出口は街中ですか?

 何年かしたら冒険者ギルドでも出来そうです。


 ◇


 マップで確認するが「悪魔の迷宮、最下層」と表示されるだけで、通路は表示されない。
 ……さすがに、そう都合よくないか。

 獣娘達が不安そうにしている。
 まず、こっちだな。

「オレはサトゥー。行商人だ」

「猫にぇす」「犬なのでふ」「蜥蜴です」
 犬娘も猫娘も言葉がつっかえる。蜥蜴娘は途中に擦過音が混じる。

 ウースだけで無く、それ以前の主人からもそう呼ばれていたらしい。犬娘と猫娘は子供のころから奴隷だったらしいが蜥蜴娘は大人になってから奴隷になったらしくちゃんと名前があった。ただし長い上に擦過音の混じる発音しにくい名前だ。

 結局、呼びやすい名前を付けて欲しいと頼まれたので「ポチ」「タマ」「リザ」と付けた。ペット扱いするな! と怒られそうだが、普通の名前を付けると呼び間違える自信があるので迷宮を出るまでだし勘弁して貰おう。
 リザは蜥蜴(リザード)からでは無く本名の最初の2文字をカットしただけだ。

 さて脱出前に、獣娘達の治療からだな。
 鞄から布と水筒、傷薬の軟膏を取り出す。軟膏は錬金セットの完成品見本の中の1つだ。見本なので量が少ないが全部使えば足りるだろう。

「この布と水筒の水で傷口を洗って消毒しろ。その後で傷薬を塗って布を巻いておけ。消毒したときの布を使うなよ?」

 真新しい布などを渡された獣娘達が困惑している。
 そうそう、始めは普通に話していたが命令口調じゃないと喋るたびに戸惑われるのでこんな感じになった。小さい頃、親戚のチビ達の子守をしていた時に戻ったようだ。

「どうした? 治療している間は後ろを向いておくから安心しろ」

 どうも羞恥ではなく、上等な布や傷薬を奴隷に与える事自体が珍しいらしい。

「ありがと、なのです。後ろ向かなくて大丈夫、なのです」
「きれいな布。 嬉し~」
「ご主人さまが亡くなったので代金を払えません。迷宮から脱出するのに薬や水はとっていおいた方が……その……良いのでは……」

 聞き取りにくい言葉は適当に脳内変換する。いいよね?

 ポチとタマは貫頭衣の腰を縛っている麻紐を解くと躊躇なく裸になって、治療を始める。
 リザは考えてしまうタイプなのか躊躇していたが、気にせずに使うように『命令』すると他の2人と同じように治療を始めた。

 治療が終わるのを見計らって焼き菓子を3人に配る。焼き菓子といっても手のひらサイズのが1人3個だ。十分腹が膨れるはず。ゼナさんと食べ歩きした時に食べ切れなかった残りだ。食べさしでは無い。

 ポチがよだれを垂らさんばかりに見つめてるが誰も食べない。

「毒は入ってないから食べなさい」

 許可を貰ってからしか食べないのか。やっぱ奴隷は虐げられてるんだな~。
 ポチが(むせ)たので水筒を渡してやる。

「取らないからゆっくり食べなさい」

 微妙に子守な気分だ……。


 ◇


 マップをもう一度確認する。やはりこの部屋以外は表示されない。
 ……魔法の効果が効かないのか、効果が切れたのか……。

 メニューを開いて「全マップ探査」の魔法を使う。この魔法は簡単に使えるのに~。

「悪魔の迷宮」の全貌が表示された。
 やっぱイージーモードっていいよね!

 迷宮というより蟻の巣という感じか?
 木の根状に分岐した通路の先に部屋があり、そこからまた木の根状に通路が分岐している。立体交差したり他の部屋に繋がっていたり間道があったりするのは迷宮っぽい。

 ざっと検索すると人間は109名。そのうち7名が亜人だ。残り102名が人族で4分の一くらいが奴隷のようだ。

 ガルレオンの美中年神官は、かなり離れた位置にいる。合流できるとしたら出口付近か。個人的には死んで欲しくない人材だが、放置しても生き延びそうだから会えたらラッキーくらいでいいだろう。

 腕魔族が検索に引っかからない。最深部にいかにもな部屋があるから、そこに居るのかと思ったんだが……。
 ヘタに先に倒して迷宮が崩落とかしたらシャレにならないから、こいつも放置だな。

 敵は10~20レベル程の範囲の虫系の魔物か。最初の検索では20匹ほどだったのが検索しなおす(たび)に増えて、いまでは100を超えている。種類も蛙やヘビなどが追加されていた。

 通路で挟まれたら不味いな、獣娘達にも武器を用意するか。
 よし、通路の影で見つけたことにして適当な槍や剣をストレージから出そう。

 そう決めて通路の方に向かうと、獣娘達が慌てて追いかけてきた。

「捨てないで! 何でもするよ!」
「置いてかないで!」
「旦那様、捨石にされてもかまいません、連れて行ってください。お願いします」

 必死に引きとめられてしまった。それでも誰も服を掴んでこなかったのは奴隷としての経験か調教か?

「不安にさせたね。通路の様子をみようとしただけだよ。見捨てないから安心して」

 なるべく優しく言う。そんな事言われても安心できないとは思うが、言わないよりはいいだろう。
 3人娘が食べ終わるのを待っている間に、鞄から短剣と魔法短銃を取り出して装備しておく。

 戦闘系のスキルを持っているのはリザだけで「槍」スキルを持っている。流石に鞄から槍を取り出せないので短剣をもう一本とりだしてリザに渡しておく。奴隷に武器を持たせるのが意外なのか躊躇していたが押し付けた。

 オレが前衛を引き受け、リザには背後からの不意打ちを受けた時の対処を頼んだ。リザは自分が先頭に行くと言ったが後ろを任せる。
 レーダーがある以上、不意打ちなんて無いんだが、役割を与えておけば不安も少し紛れるだろう。

 オレ、タマ、ポチ、リザの順だ。オレが命令するまで戦闘に参加しないように強い口調で『命令』しておいた。レベルが2~3なのでヘタに攻撃を受けたら一撃で死んでしまうだろう。

 実質、護衛ミッションだな。


 ◇


 通路は足元も石壁になっている。当然発光していた石畳もないので暗い。幸い? 数メートルおきに光る石柱があるので洞窟の陰影が不気味なものの歩くのは問題ない。
 石柱は腰くらいまでの高さがある。嫌らしい事に光は胸くらいまでしか届かないように工夫されているので天井は真っ暗だ。

 恐らく、不安を煽るための演出だろう。
 悪魔らしい嫌な()り方だ。

 通路が完全に真っ暗だと部屋に篭って出てこなくなるから、その対策でもあるのかもしれない。

「タマ、何か通路の先に見えたら小声で教えて。ポチ、何か変な臭いや物音がしたら教えて。リザ、後ろの警戒は任せた。でも後ろを気にしすぎて遅れないように」
「「「はい」」」

 まだ不安そうだが、いい返事だ。

>「指揮スキルを得た」
>「編成スキルを得た」

 レーダーに敵影が映る。かなり先だ。

「通路の向こうから血の臭い、なのです」

 ポチが言う。
 直線距離は近いけど、道なりに500メートルは先なんだが。

 ポチを誉めて頭を撫でる。ペットみたいな扱いだがシッポがパタパタ振られているから嬉しいんだろう。

 近づきながら敵をマップ経由で調べる。レベル20で特殊能力なし。攻撃は体当たりと噛み付き。1匹だけで次の部屋にいるようだ。
 ちょっと思いついて3人のステータスや能力値をメモしておく、経験値欄があったのにはちょっと引いた……ほんとゲームかよ。経験値は%表示なので具体的な数値はわからないが、次レベルまでの目安が判るのは便利だ。マップ内の他の人の経験値は見えないみたいだからパーティー限定なのか? それとも何か条件でもあるのだろうか?

 部屋から漏れる明かりが見えてきた。

 3人を待たせて部屋を覗き込む。こちらに気がついていないのか昆虫形の敵が『何か』を無心に食べている。だから……グロ耐性ないって言ったじゃん。

 咀嚼音が止むまで待ってから魔法短銃で狙撃する。
 一撃目は後ろ足の関節部分に当たる。当たった部分から千切れ飛んだ。

 巨大なカマドウマ(・・・・・)の魔物を反撃する余裕もあたえず連射で倒す。

 まったく、巨大カマドウマのくせに砂漠以外に現れるとは……。

「すごい、なのです」
「すごい」
「旦那さまは、魔法使い様なのでしょうか?」

 ポチとタマは単純にはしゃいでいるがリザは疑問に思ったようだ。

「これは魔法の武器なんだよ。誰にも言わないように!」

 ニヤリと悪い笑みをしながら釘を刺しておく。魔法短銃を持ってポーズをつけるのも忘れない。
 ポチとリザは真剣に頷いたが、タマは「あいっ」と嬉しそうに答えたので迷宮をでるときにもう一度釘を刺さなければ。

 首輪の鎖が邪魔なのだろう。タマが鎖を持つ手を持て余している。
 そうだ、これで切るか。

 リザを呼んで首輪につながっている鎖を横に引っ張らせて、それを魔法短銃で撃ちぬいて切る。
 ポチとタマのも同じように切る……が2人とも怖かったのか耳がペタンとなっている。
 鎖は袋に入れてポチに持たせる。

 最初の攻撃で千切れたカマドウマの足が2メートル程だったので即席の槍に仕立てる事にした。
 武器作成スキルをレベル1まで取得する。

 足先の爪の部分がぐらぐら動くので、木片と革紐を取り出して動かないように固定する。切断面から緑色の体液が出ていたので止血したときに使った布を再利用して縛っておいた。

 カマドウマの槍をリザを渡そうとしたら……リザはカマドウマの頭の接合部分にナイフを突き立てて何か作業をしていた。

 腹減ったのか?

「リザ、そんなの食べたら腹壊すぞ」
「ち、違います。魔物なら魔核(コア)を持っているはずなので回収しようと思って……」

 魔核(コア)

>称号「蟲殺し」を得た
※獣娘の容姿についての描写は意図的に削除しています。
「耳と尻尾だけが獣」とかから「某狩りゲームのお供みたいに直立する獣」まで、読者の好きにイメージしてください。
 公式見解が気になる方は活動報告に埋もれている「よくある質問」という見出しを探して貰えばすぐに見つかります。


 獣娘のターン! ……というほど活躍してない気もしますが。

 普通の魔物登場です。悪魔は殺さなかったのにカマドウマだと瞬殺の主人公。虫を殺すのは抵抗ないんですね~。

 獣娘達の言葉は普通の人の言葉と変えていたんですが、誤字チェックしたときに読みにくかったので修正しました。

 主人公は、管理職だったので部下への指示だしには慣れています。本編には登場しませんが、弟妹が3人も居たので年下の扱いにも慣れているのです。

※7/6 「ほんとゲームかよ。」から後を加筆しました。

※今回の未入手スキル
 「子守」「懐柔」「護衛」
+注意+
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