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SS:アリサと悪魔の箱

今回はサトゥー視点ではありません。

ルル視点のショートストーリーです。


※1/2 誤字修正しました。


 今日はお館の中庭で「ばーべきゅー」です。


「くぅ、焼けたての肉の香りがたまんない」

「たらららり~」「のです!」


 タマちゃん、よほど嬉しいのか「たまらない」って言えてません。ちょっと歌でも歌っているようで可愛いです。

 でも、リザさんが、真剣な表情で骨付き肉の焼け具合を注視してて、ちょっと怖いです。

 ご主人様が肉串を沢山用意してくれていたので、みんなお腹一杯食べていました。



 今日の試作品は、プリンです。

 とても美味しいのですが、「からめるそーす」というのが満足いかないそうで、ご主人様が苦戦中です。


「う~ん、ダメね。甘いだけで、苦味がぜんぜんないわよ」

「美味しい」


 私やミーアちゃんは美味しく感じているのだけど、ご主人様やアリサは満足していないようです。アリサったら、文句を言いながらも、全部ペロリと平らげています。さっき、ポチちゃん達と張り合って、「ちゃーはん」の大食い対決してなかったかしら?


 育ち盛りだから食欲はあるのだろうけど、あんなに食べて大丈夫かしら?



 下町の乾物屋さんで買ってきた昆布を見て、ご主人様が褒めてくれました。ちょっと高かったから迷いましたけど買って良かったです。勧めてくれた店主さんには、明日、お礼を言いに行きます。

 だって、ご主人様が満面の笑みで褒めてくれただけじゃなく、「はぐ」の後に、頭まで撫でてくれたんですから。


 えへへ~、今日はお風呂でも頭を洗わないんです。


「やっぱ、カニ鍋は最高よね~ でも、こんなカニフォークよく手に入ったわね」

「ああ、それならさっき、作ったやつだよ」

「くう、このチートヤロウめ、でも許す。やっぱ、コレが無いとカニを食べてる気がしないわよね~」


 アリサの言う通り、このフォークだとカニのお肉を上手く取れます。

 カニは美味しいけど、みんな静かです。ミーアちゃんが、ちょっと寂しそうですけど、ご主人様がミーアちゃん専用に作った「ぴらふ」をモクモクと食べています。


「ミーア、ピラフも一口ちょーだい」

「アリサ、食べ過ぎ」

「仕方ないじゃない、美味しいのがいけないのよ~♪」


 本当に食べすぎじゃない?



 ご主人様が居間に持ち込んだ、丸い板を棒で木箱とつなげた様な魔法道具を見て、アリサが一目散に部屋から逃げだしました。

 びっくりです。アリサって、あんなに素早く動けたんですね。


 ご主人様に指示されたポチちゃんとタマちゃんが、アリサを捕まえて戻ってきました。アリサがあんなに嫌がるなんて、あの魔法道具は何なのかしら? ご主人様が持ってきたものだから、悪い道具じゃないと思うのだけど。


「じゃあ、次、ポチね」

「はい、なのです」


 あの台に乗ると、円盤に付いた針が回るみたいです。針に触ろうとして、タマちゃんが怒られてました。


「ちょい、重いけど標準の範囲内かな。種族が違うからBMIを出しても意味はないだろうけど、体重の推移はメモしておかないとね」


 タイジュウですか? 聞いた事の無い言葉ですが、その言葉を聞いたとたん、何故だか後ろに一歩下がってしまっていました。


「次はルルね」

「は、はい」


 ちょっと躊躇いましたけど、思い切って飛び乗ります。


「そんなに、勢いをつけなくても、そっと乗ってね」

「はい、すみません」

「別に謝らなくてもいいよ。ルルは標準より、少し軽めだね。食事の時に、もう少し肉類や乳製品を食べたほうがいいかな」


 ご主人様の表情を見る限り、合格だったようでホッとしました。


「いや~、その悪魔の機械には二度と乗らないと死んだ婆っちゃと約束したの~」


 約束も何も、アリサのお婆さまはアリサが生まれる前に亡くなっていたはずなのだけど?

 ご主人様に、「観念して乗れ」と言われてるのに抵抗しています。最後に、ご主人様がアリサを抱えたまま乗って、数字を調べた後に、アリサを降ろしてから、もう一度数字を調べています。

 初めは何をしているのかな? と思っていたんですけど、ご主人さまは凄いです、2度の計測結果の差を求める事でアリサの体重を調べてた事に気がつきました。


「アリサ」

「うう、汚されちゃった……」

「やかましい、軽肥満だ。明日からしばらく肉抜きに御代わり禁止。もちろん間食やおやつもダメだぞ」


 だから食べすぎよ、って注意したのに。

 ポチちゃんやタマちゃんまで、この世の終わりみたいな顔をしているのは、どうしてかしら? リザさんやミーアちゃんまで、アリサに黙祷をしているわ。


「オレも食事制限に付き合ってやるから、1ヶ月後に5キロダウンを目標にやるぞ」

「だ、ダイエットなんて嫌いよ~~~~」


 アリサの叫びが哀しく響く、そんな午後でした。


 追伸。


 ご主人様が用意した「のんかろりー」食品のお陰で、アリサの「だいえっと」は無事に推移しているみたいです。

 無邪気に応援している、ポチちゃんやミーアちゃんも、少しふっくらとしてきた気がします。わたしも注意しないといけませんね。今日のばすとあっぷ体操はいつもの倍、いいえ3倍やる事にします!


2013/07/25に活動報告に投稿したSSの再収録です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ちゃんと男子の欲望を書いてる所が素敵です [気になる点] 数年前の事ですし、もう認識は改められてるかもしれませんが、太るのは糖質の取りすぎなので肉を抜くのはちょっと違うかなと。実際糖質制限…
[一言] 体重計だけど、アナログ時計のように回転する針の付いた物より、分銅を使う台秤の方が雰囲気でそう。 戦後から昭和半ばまでは、身近なところでは銭湯や米屋でも見かけたそうです。 家庭の座布団のような…
[一言] 「くぅ、焼けたての肉の香りがたまんない」 →「くぅ、焼きたての肉の香りがたまんない」
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