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Tear   作者: 隻原 伽藍
第一章 傷『SCAR』
3/8

第三節 感覚

何故か、もう500アクセスいただきました…。

もう毎日アクセス解析見るのが楽しみですね…

足を止めて見ていただいた方々に感謝します。ありがとう!

夕飯はシチューにした。

あまりこんだものを作りたくなかったのと、みんながあまり食べることの無いものと、思ったら自然とこれしか思い付かなかった。

人参を煮崩して、さらにそこから具材を入れて煮る。

甘いシチューを糖類をあまり使わずに食べる方法として、インターネットに載っていたレシピを活用してみた。私なりにうまくできたと思った。

…実は、最近体重が増えてしまって、糖類や脂肪分をとりすぎたくないと思ってこの方法にしたのは零時さんやお兄ちゃんには内緒だ。

「ただいまー。あ、成美さん、ありがとうございます。」

と、零時さんが帰ってきた。何故か年下にもさん付けするのだが、前に止めてくれと頼んだとき、2時間くらい説教されたことがある。

年下でも、しっかりした言語を話すことが大切だとかなんとか…。正直、あまり覚えていない。

「あ、お兄ちゃん呼んでくるね。」

私は二階の防音室である、兄の部屋に行った。

そして、簡単にノックして声をかけた。

「お兄ちゃーん?」



  ◆  ◆  ◆



「お兄ちゃーん?」

呼ぶ声が聞こえて作業を止めた。そういえば、夕飯がまだだった。

「あぁ、わかった…」

少し言葉につまる。いつも通りここに持ってきてもらうか、一階にいってみんなで食べるか。

「下で食べるよ。用意してくれ。」

パソコンを落として立ち上がる。少しまだ目眩がするが、対したことではない。

「わかったー。」

と、妹が離れたことを確認し携帯を開いた。


Twitter……

cross shadow「すいません、宣言通りあげることが難しそうなので報告に来ました…」

未来日「大丈夫ですか?」

カルマ「病気?」

未来「気にしないでー(^o^)/」

カゲロウ「宣言は破るものです!」

隼「カゲロウさんwww」

cross shadow「みなさん、ありがとうございます!」

道化師「気にしちゃ負けだよ?w」

カルマ「道化師さん、落ちをとらないでください!w」

ミリン。「え、ちょwwww」

カゲロウ「ほら、ミリンさん困ってますよ?道化師さん、どうする?ww」

道化師「え、ちょwwww僕のせいww(..)

未来「どう考えてもそうだね」

未来日「そだねー」

道化師「す、すいませんでしたー」

隼「こっちみんなwwww」

cross shadow「では、ご飯食べてきますねー」

カゲロウ「りだってらー」

     ・

     ・

     ・


携帯の電源を消して、一階に向かう。

すごく久しぶりにみんなで食べるような気がする。実際、いつも一人で食べるから二階に持ってきてもらっていた。多分半年ぶりだろうか。

一階に降りるとすぐにリビングに向かう。その時、木戸さんの鞄が玄関に置きっぱなしだったので、てにもって木戸さんの部屋の前においておいた。

後でいっておけば大丈夫だろう。

リビングに入るといい香りがした。

懐かしいような、何かが痛むような…何故か、そんな感覚だった。

「あ、はい。お兄ちゃんの分。」

成美が作ったのだろう。木戸さんはさっき帰ってきたばかりのようだし。自分は部屋にこもりきりだった。妹以外作る人もいなかった。

「おかえり。木戸さん。」

木戸さんに声をかけると、「ただいま。」と微笑みながら木戸さんは言った。この人はいまだに未婚なのに、俺と成美をあずかり、養ってくれている。少し引け目が感じないわけではない。

「いただきまーす。」

咲夜は先に食べ始める。下で食べるときはいつも一番早い。ただし、いつも一番食べるので食べ終わるのは遅い。

一口食べると、いつも食べているより甘いシチューだった。…多分、人参を煮崩したあとにさらに具材を入れて煮込んだ物だろう。

「うまいな。」

咲夜は素直に感想をのべた。スプーンがいつもより早く進む。食べていくうちに、何か懐かしさと痛みを感じるようになった。

……なんだろうか。これは。

…昔、同じものを食べた気がする。

そうだ。何時だ?この味ではないにしろ、ほとんど同じものだったはずだ。



…………あのときだ。



関原伽凛の家に始めていった、あのとき。

たまたまお昼時だったから、伽凛が手料理を振る舞ってくれたのだ。その時もシチューだった。

普通より、甘いシチュー。

人参の鮮やかな色をした、シチューだった。

今となっては、思い出すのも辛い。

下らない事を駄弁っていたあのときも…

学校で一緒に食べた昼食の時も…

いつも慰めてくれていた、言葉も…

あの笑顔も、髪の色も…あの…


……俺を庇って死んだ、最期も…。


一皿食べきったが、食欲は失せていた。

平静を装い、席をたった。

「ごちそうさま。美味しかったよ。」

オレはそう言って、リビングから出る。とりあえず、一人になりたかった。誰にも見られない場所にいたかった。幸い、夜に人気がない場所を知っていた。

(…いつもの丘に行こう。)

咲夜はパーカーをはおって外に出た。



  ◆  ◆  ◆



夜は嫌いだ。

あの仄暗い闇の中に、自分の親しい人が消えていってしまう…。

そんな気がするから。

夜の空を見上げながら、水樹は思った。

「ずっと……明るければいいのに…。」

そしたら消えることなく、姿を見て追っていけるから。

夜の町は明るくも暗くもない。ただ、作業のように街頭が照らしている。

それらを眺めていた水樹は突然明かりに照らされた黒い影を見つけた。近くを力なくとぼとぼと歩いている。

「……………咲夜?」

喪服のように黒い服を着た、咲夜が山の方向に歩いていった。不思議に思ったが、心配になり簡単に着替えて外に出た。


咲夜を追跡していくと、山の中の墓場に入っていった。明かりは少なく、黒い服の咲夜は見えづらかった。さらに、坂道のため疲れがすぐにたまる。

「………」

無音でずんずんと咲夜は登っていく。少しずつ離されていく。ペンライトでも持ってきておいた方がよかったなぁ…と水樹は思った。

そして、少し立ち止まり休憩していると、

「……動くな。」

そう言われ、驚いた。誰の声かはわからなかったが、知らない男の人だと言うことは確かだった。そして、首筋にヒヤリと冷たい金属の感触がする。

「ヒヒ…久しぶりの女だ……」

男はそう呟くと水樹に抱きついた。

水樹は金属の感触が強く押し付けられた恐怖で動けない。その間に男は胸の辺りをまさぐるように、触る。

だが、そこまでしかされなかった。

ビスッと、音が響いた。

「ヒッ……」

男が小さな悲鳴をあげる。光が男を照らし出した。持っていたのは金属の延べ棒のようなものだった。光源の方には黒い喪服のようなパーカーを羽織った咲夜がいた。何か黒いものを持っている。

「…そんな感情モノでここを汚すな。」

容赦なく引き金が引かれ、ビスッビスッと音がなった。男は弾が当たって痛がっている。水樹は咲夜から、敵意と憎悪以外の感情を感じられなかった。

何回撃たれたかわからないが、男はついに逃げ出し始めた。

「ひっ、ひぃぃっっ!」

みっともない声をあげてそのまま走り去っていった。

そして、光はこちらに向いた。

「……水樹か?」

と、ライトを消して、弱いカンテラのような懐中電灯をつけて咲夜が確認するように言った。

「…う、うん。」

気まずさのあまり、ごまかすこともできずに頷いた。明かりは周りを照らし出して、暗さをまぎらわせていた。

「咲夜くんが心配で……」

「…家まで送る。…来い。」

咲夜が怒っているようにぶっきらぼうになって、水樹に言った。フードを被った咲夜に手を握られ、坂を下っていく。少しだけドキドキする。フードのせいで顔はよく見えないが手に伝わる感触から、水樹は優しく握ってくれている、と感じ取った。そして、手が少し震えていることも。

「咲夜くん…?」

「………」

だが、話しかけようとしてもほとんど無視されて自然と無言になってしまった。ペースを合わせてくれているようで歩くのはそこまで辛くなかった。少し前に聞いた話だが、咲夜は登山等をよくしていたらしい。

唯一、中学時代の事でこれだけは話してくれた。それ以外ははぐらかされたり、話題を変えられたりされ、わからなかった。

ようやく、山を下りきりいつものコンクリートの道に戻った。いつもの道が何故か明るく感じる。咲夜が突然立ち止まった。水樹は怪訝そうに咲夜を見た。

「……オレはお前の家を知らない」

「え?」

水樹は咲夜が立ち止まった理由を知った。ただ単に私の家にいくみちを知らなかったからのようだ。それで先頭を歩こうとしていたのかと、少しあきれる。

「ぷっ…あはは…」

思わず笑ってしまう。早く聞けばよかったのにとか、口を開かなかった理由はなんだとか、そんなことをひっくるめて、笑った。

「ははっ、いやすまん。前を歩いてくれるか?」

つられたように咲夜も笑った。その笑みは少し寂しそうではあったが笑ってくれた。

「そんじゃま、私の家に向けてしゅっぱーつ!」

冗談めかして水樹が言うと、咲夜も冗談めかして「おー」と、言った。


歩いている途中は他愛のない高校生なら当たり前な事をしゃべっていた。そして、家がそろそろ近づいてきた。

「あ、もうちょっとでつくからここまででいいよ。」

先頭にたって歩いていた水樹は立ち止まり、咲夜に言った。

「いや、家まで送るよ。流石にあんなことがあったあとじゃ、またいつくるかわからないからさ。」

咲夜は心配そうに言った。その目は本当に心配しているように見えた。いつも冷たいイメージを持ってしまいがちだが、やはりやさしいのだなぁと水樹は思った。

「うぅん。もう見えてるんだ。ほら、あそこの家。」

自分の家に指をさした。咲夜は納得したように後ろを向いた。チラリ、と咲夜が私を見た気がしたのは気のせいだろう。

「そうか。なら、おやすみ。」

そして歩き出した。一つの迷いなくまた来た道を戻っていく。何故か、水樹は咲夜がそのまま消えてしまうのかも知れないと、思ってしまった。

「咲夜くん!」

何故か、呼び止めてしまった。不安の塊に押し潰されそうになった。

「……どうした?」

振り返り、咲夜が水樹に対して問い返した。含みのない静かな声だった。

「………ごめん、ちょっと顔見せて」

そう言うと咲夜は目の前まで歩いてきて、こちらの顔をのぞきこんだ。顔は心配そうだった。

「本当にどうした?」

「……っ…」

水樹は小さくなにかを言ったようだが、咲夜はよく聞き取れなかった。

「ごめん、聞き取れなかった。もう一度頼む。」

「…明日も会えるよね…?いなくなったりしないよね…?」

水樹が不安そうな声音で咲夜に聞いてきた。咲夜は、苦笑を漏らした。咲夜は水樹が少し震えているように見えた。

「あぁ、会えるさ。大丈夫だ。急に消えたりしない。」

咲夜がそう言うと、水樹は笑った。表裏がなく明るい…例えるならひまわりのようだった。

「ごめんねっ?変なこと聞いて。」

少し照れ笑いして、水樹は謝った。咲夜は少し驚いていたが、気にしても仕方がないと思い、あえてなにも言わずに流した。

「…それじゃぁ、おやすみ。」

「おやすみ……」

二人は、そういってわかれる。

水樹は家に入るとため息をついた。

なんであんなことを言ったのだろう?

不思議だった。親友である飛鳥にもこんな感情を…いや、心を見せたことはなかった。

何故かはわからないまま、水樹は床についた。

また明日に、咲夜と会えることを信じて。


えー…次の更新はー…多分クリスマスくらいになります。まぁ、私じたい忙しいので不定期の更新ですが、よろしくお願いいたします。

感想や、アドバイスを受け付けていますのでそちらも書いていただけると嬉しいです。

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