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三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


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25.すねる先輩と、再会に弾む心

「じゃあ今日は染色剤の買い付けに行こうか。今後はお使いにも出てほしいし」


翌朝、セシル先輩から元気よく告げられた。


ここにあるものはすべて、セシル先輩がお店で原料を買い付けたものを加工してもらっているらしい。

 当たり前だけれど、質が色の染まり具合に直結する。質の悪いもので染めれば、灰汁やくすみの原因になる。


(——加工前の原料は見たことないからちょっとワクワクするかも)


ついてこようとする何人もの護衛をようやく二人に絞って、出発した。

 もっと遠い場所なのかと思ったら、馬車で15分と歩いても行けそうなくらいの近場だった。


古びた石畳の道沿いに、その染色剤屋はひっそりと佇んでいた。


建物は、時の流れを感じさせる古びた石造りで、壁には蔦が絡まり、屋根は苔むした瓦で葺かれている。

 店の入り口には、様々な色に染まった布や糸が風に揺られ、まるで虹の架け橋のように、訪れる者の目を引く。


軒先には、手書きの看板が掲げられている。

 看板の下には、様々な色の染色剤が詰められた瓶や壺が、棚に整然と並べられており、その隣には、染色剤の原料となる植物や鉱物などが、乾燥させられた状態で並べられていた。


「メイおばさーん、こんちわー」


セシル先輩が扉をバーンとあけ放って、大声で呼びかけた。

 ちょっと恥ずかしい。


(——一緒に来たと思われたくない……かも)


「おばさんて言うなっていってるだろっ!」


福々しい姿のおばさまが、店の奥から怒鳴り散らしながら飛び出してきた。


「あら、ルナちゃんじゃないの」


「えっ??? あの時ストールをくださったおばさまですね!!」


「ええ、そうよ。あの時のネックレスまだ大切につけているわ」


メイさんの指先で、革ひもに包まれた蜂蜜色のガラスが、太陽のようにポカポカな光を放って、輝いていた。


大切にしてもらっている事が嬉しく、あれから起こった沢山の出来事を話すうち、時間を忘れ、ついでにセシル先輩のこともすっかり忘れてしまった。


「ねーそろそろ無視しないでよー。原料買い付けに来たじゃーん。まだー」


ずっと無視されて少々すねたらしきセシル先輩がとうとう我慢できなくなったようで、口を挟んできた。


「あ、ごめんなさい、セシル先輩。メイさん、今日は原材料を買い付けに来たんです。見せていただけませんか?」


「そうだったのね、久しぶりに会ったから楽しくなっちゃったわ。あの失礼な奴の言うことなんか、聞かなくてもいいのよ」


おばさん、と言われたのが癇に障っているようで、セシル先輩に対しては妙に冷ややかだった。


「まぁ、そういわずに」


「ルナちゃんがそういうなら、いいけどね」


しぶしぶといった様子で、メイさんが奥の部屋の原料倉庫へ案内してくれた。


「店頭の商品を購入するわけではないのですね」


「そうだよ、毎回、倉庫の中にあるものから、選んで売ってもらってるんだ。教授が交渉したおかげ。ただし、目利きは自分たちでしないといけないから、ルナちゃんも目を鍛えないとね」


「大丈夫よ、ルナちゃんには私がついてるから」


メイさんがスッと隣についてくれた。セシル先輩はすごーく嫌そうな顔をしている。


「さ、あんな奴はほっといて、選んじゃいましょ。ルナちゃんはどれくらい知ってるの?」


「ええと、私は……」

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