表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三原色信仰の国を追われた無色の花嫁は、帝国で世界を彩る   作者: りっちょまん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/48

【閑話】 緑の淑女の使用人達は浮足立つ

「ね、あのお嬢様みた?」


「みたみた! おキレイな方よね。私、あんな月の精みたいな方、初めて見たわ」


年若い使用人の間で、昨夜のお嬢様の話が飛び交っていた。それも無理はない。


緑の淑女(ダーマインヴェルデ)は、歴代の王妃様が、ご結婚前の教育のためにお住まいになる建物だ。

「ようやくあの第一皇子殿下が落ち着かれるのだわ」とか、気が早い者は「いつ婚約式をあげられるの」など、そこかしこで話している。


声を潜めているつもりでも、天井の高い部屋では反響して内容が筒抜けである。


「自分の仕える主について、どのような立場で話しているのです。そろそろ口を閉じなさい。次に見つけた時は、罰を与えます」


注意されたメイドはビクッと肩をすくませ、そそくさと立ち去って行った。けれど、また別の場所でコソコソと話を再開するのは目に見えている。


「どうにかなりませんか、コスタンツァ。私も注意するのに少々疲れてしまいましたよ」


「申し訳ございません、ベルナール様。けれど、わたくしも少々期待しているのは確かなことですわ」


コスタンツァはふふ、と微笑んだ。


「突然、殿下が緑の淑女(ダーマインヴェルデ)に少女を迎え入れたいとおっしゃられた時は、それはもう肝が冷えましたが。どんな方が来るかと戦々恐々としていましたが、とても素敵なお嬢様でしたね。

 少々、何か抱えてらっしゃるのは間違いないでしょうけれど、マナーにしても、十分な教養を身に着けておられるようですわ。

昨日からの振る舞いは、高位貴族のそれに違いありませんもの。平民のようにふるまっているのは、なにか訳があるのですわ」


「コスタンツァまで何を言い出すのです。我々は主である方を断じる資格を持っておりませんよ」


「でもベルナール様、貴方だって、薄々気づいているでしょう。殿下がお嬢様を見る目に、単なる保護者以上の感情が芽生え始めていることに。気づいていないとは、言わせませんわ」


腰に手を当て、横目で睨む彼女には、嘘はつけない。


「ぐっ……ええ、私も気づいておりました。けれど、お嬢様のほうには、まだ知人に対する感謝以上の感情はないでしょう。

 我々が騒いでは、うまくいくものもうまくいかなくなってしまう。それは貴女もよくわかるでしょう。ですから、余計な噂や揶揄がお二人の耳に入らぬよう、引き締めて徹底しなければ。

コスタンツァ、よいですね?」


「ええ、それには異論はございませんわ。……とはいえ、早くお二人のお子様を拝見したいものですね、ベルナール様」


(コスタンツァ……?)


口には出さなかったが、侍女頭まで浮足立っている分、自分がしっかりしなければならん。

 ベルナールは固い決意を胸に、その場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ