【閑話】 第一皇子の訪問
いつもお読みいただきありがとうございます。
ストックがなくなってしまい、いままでよりゆっくり更新となりそうです。
ですが、今月中に完結目指して頑張ります!できれば50話までには。。。
「皇子殿下、このような時間にレディの部屋へのご訪問は、恐れながらいかがなものかと存じますよ」
足早に『緑の淑女』の廊下を歩く私に追いすがるように、ベルナールとコスタンツァがついてくる。
「少し様子を確かめたらすぐに退散するから、大丈夫大丈夫。二人がついていれば問題も起こらないだろうし」
クスクス笑う私に、コスタンツァが怒りを隠せない様子だ。
「皇子殿下、いえ、おぼっちゃま! このコスタンツァの目の黒いうちは、このような狼藉は許しませんよ!」
「ぼっちゃんはよしてくれよ、コスタンツァ。ちょっとだけだからさ。グレンも一緒だし。ほら、それにもう着いたよ」
言い合いしている内に、彼女の部屋の前についた。
ノックをしてみるものの返事がなく、応答がない。
おかしいと思ったところ、中から侍女が顔を出した。
「こ、これは皇子殿下。このようなお時間になにかございましたか。お嬢様はお疲れだったのか、もうお眠りになっておりますため、お静かに願います」
「そうか、それは残念だ。明日の打ち合わせがしたかったのだけれど。今日が初日だ、疲れが出たんだろうね」
(——寝ているならしょうがない、また後日、訪ねるとしよう。寝顔をみたかったけれど、コスタンツァとベルナールは撒けないよな)
サッと踵を返すと、王宮へ戻るべく帰路についた。
◇
馬車に揺られながら、私は口を開く。
「グレン、そろそろラントン嬢の調べはついたのかな」
「は、殿下。それが、耳を疑うような報告が上がってきたもので、再度裏を取っておりまして。もう数日お時間をいただきたく」
「そう、まぁ、なんとなく想像通りかな。とはいえグレン、報告を怠るなといったはずだけど。主に聞かれる前に途中経過を報告することを怠ったら、お前であっても処分の対象なのは、わきまえていてね。あと二日あげるから、必ず報告をあげろ」
グレンの背中が震えたように見えたが、仕方ないことだ。友人であっても、そこは間違えてはいけないのだから。
(——あぁ、ラントン嬢。改めて見てみたら、息をのむくらい美しかったな。陽光を浴びてキラキラと輝く銀髪、どこまでも透き通った瞳、私の手で折れそうなくらい細い腰に……。いや、何を考えているんだ僕は)
彼女のことで頭がいっぱいになったのを振り払うように、別の話題に切り替えた。




