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【閑話】 モントローズ侯爵の追跡
「なに!? 目撃証言なしだと。そんな馬鹿な。本当に御者に訊ねたのか? そもそも身分確認しているはずだろう!?」
執務室で捜索隊から、夜行馬車の御者の聞き取り報告をきいたが、ルナリスの足跡を辿ることはできなかった。
「訳アリの客ばかりで身分確認しないというのが、暗黙の了解だそうです。年頃の若い娘で一人旅というのは、覚えがないと申しておりました」
「瞳の色も確認した上でか」
「面倒に巻き込まれるのが嫌で、極力見ないようにしているとか。どういたしますか、侯爵様」
なんということだ、ルナリス、一体どこへ消えてしまった……。
「——念のために、セレニータ帝国に潜入してこい。なるべく目立たず、少数で行ってくるんだ。もしセレニータ帝国に行っていれば、リマントンに何か手がかりがあるかもしれない。何もなければ、即時帰国せよ」
頭が痛い。早く見つけて、あのバカ息子と結婚させねばならないのに、どこへ行くんだ、ルナリス。




