【閑話】 第一皇子の当惑
赤い旗と共に駆け込んできた騎士から、直接報告書を受け取った。 内容は――カラーリス王国から『無色の乙女』が入国した、というものだった。
この騎士が直接見たという話だが、一瞬のことで本当に無色だったか、自信はないとのこと。 もしかしたら銀色の可能性も……と、報告しながら小声になり俯き始める騎士に声をかけた。
「いや、間違いでもいい。よく報告してくれた。一番困るのは、可能性があるのに勝手な判断で報告しないことだ。もし間違いだったとしても、其方を罰したりなどはしない」
下がってよく休むようにと伝え、彼を退室させた。
入れ替わるように、近衛騎士のグレン・ライハルトが近づいてきた。
「殿下、大変なことになりましたなぁ」
野性味溢れる顔つきのグレンが、面白そうに笑った。
「お前、いい根性してる。私は急なことで頭がついていかないよ」
きれいに伸ばした淡い金髪と、金灰色の瞳を持つセレニータ帝国第一皇子――レオナルド・ディ・ルミナーレは、端正な顔を両手でごしごしと擦り、頭を抱えた。
「皇家にとっては、待ち望んでいたと言ってもいい事態だ」
「無色の乙女、ですか。帝国の上層部しか詳細は知らないとかで、私も詳しくは知らされていないのですが、何がすごいのでしょうか」
「あぁ、グレンも知らないのか。無色の乙ネには、『光』が見え、そして『触れる』ことができるんだよ」
「はい? 光に触れる?」
訳がわからない、という顔でグレンが首を傾げている。
(……可愛くないな。無色の乙女の来訪は非常に喜ばしいことだが)
いや、ここで悩んでもしょうがない。
「とりあえず父上に報告……いや、事実確認をしてからだな」
よし、と膝を打ち、立ち上がった。
「グレン、街に出るぞ」
「……はい? 殿下、正気ですか?」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!




