***朝の布団事情を教えます***
寒い朝。
目覚ましの音。
容赦のない電子音に薄っすらと覚めかけた意識。
誰だ、こんな時間に、こんな物を鳴らすように仕向けた奴は。
犯人は言わずと知れた自分自身。
頭から被っていた布団から手を出した途端隙間から布団の中で暖められた空気が逃げて行き、代わりに雪女の吐く冷たい吐息が体を凍えさせ、目覚ましを止めるために布団から出した腕は一瞬で表面が凍り付いたようにその体温を奪われた。
伸ばした手の指先で目覚まし時計のアラームを切り、凍傷で指の感覚が無くなる前に急いで布団の中に戻し、腕を出したときに開けた穴の隙間からこれ以上空気が漏れ出ないように丁寧に閉じる。
戻した手を揉み解し、滞った血流の回復を試みる。
大丈夫。
ホッとした途端、再び意識がユックリと遠ざかって行く。
階下から春のヒバリの鳴き声が微かに聞こえて心地いい。
「祐ちゃん! 祐! コラ祐介‼」
「……まだ寝ているのかなぁ。 もう!朝ご飯冷めちゃうじゃない」
キッチンで朝食の支度をしていたお母さんは、そうブツブツと言いながらキッチンから廊下に出て祐介の部屋のある2階へ上がる階段を登って行く。
<スラリと伸びた若々しい脚>
部屋の前で大声を上げようと思って、息を吸って止めた。
<決して大きいとは言えないが、小さくもなく、形のいい張りのある胸の稜線>
思いっきりドアをノックしようとして上げた拳をジッと見つめてから降ろす。
<少女のように輝く大きな瞳>
コンコンと軽~くノックしてから、そーっとドアノブを握ってユックリと音を立てないように開けて部屋に入る。
高1男子にしては殺風景な部屋。
ベッドの下を覗いてみたけれど、雑誌どころかゴミや埃も落ちてはいない。
絨毯の上にトンビ座りすると、勉強机に引っ掛けられているコロコロを見て
“まるで女の子の部屋ね”
“まっ、そういうふうに育てたのは私か……”
小さく呟いたとき母のヤンチャな脳に何かが閃き、盛り上がった布団を見てキラリと眼を輝かせ口角を上げたまま、滑り込むようにソーッとマットレスと毛布の隙間に体を入れた。
布団の隙間から急に冷たい外気が入って来たことで気がつくと、暗い布団の中で目をキラキラと輝かせて僕の顔を見ている侵入者。
「祐くんのお布団って、あったかいネ」
侵入者は寝ている僕の胸に、冷たい手を当てて言った。
「おまえ、ここで何をしている……」
「お布団の中だから、私も寝るの。いけないかしら?」
「駄目に決まっているだろう。もう朝だ」
「じゃあ、違う事、する?」
「……」
僕はしばらくの沈黙の後、だあーっ‼っと声を上げて籠っていた布団から飛び出して言った。
「おまえ、母親のくせに何考えてるんだ!??」と。
僕の言葉に対して母は答えた。
「何って、朝ご飯に、する?って言いたかったんだけど、イケなかったかしら」と。
「あ、朝ご飯……」
思いもよらぬ回答に、唖然とする僕に母は追い打ちをかけた。
「あらヤダ、祐くん、何だと思ったの? アラッ、立っているわよ」
母の言葉に、慌てて前を隠す。
「不思議ねぇ、今までベッドから抜け出せなかった祐くんが、一瞬で床に立っている」
「そっちか!?」
「えっ? なにか違うところが立っていたの?」
「立ってないっ‼」
つい今の今までタイトルが決まりませんでした(;^_^A
やはりタイトルは小説の顔ですので安直に付ける訳にもいかず、昨日から悩み続けました。
好いタイトルになれば良いのですが、それは内容次第……いやいやココで落ち込んでいてはイケませんよね(^^ゞ
絶対に好いタイトルにするぞー! オーッ‼
明日もまた投稿しますので是非読んでみてくださいね(⋈◍>◡<◍)。✧♡