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花咲く王国で恋をしない ~乙女ゲームの世界のヒロインに転生した元男ですが、何をすればよい?~  作者: 水無月 黒
終章 卒業後編

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第四話 内乱3

リアクションありがとうございました。

「最初に考えなければならないのが、王城を守る防御魔法の突破方法だ。」


 話がどんどん進んで行きます。

 最初は内乱(クーデター)への対応の意識合わせから始めるのかなと思っていましたが、それは最初から決まっていました。

 内乱(クーデター)は完全に叩き潰す。

 容赦は一切ありません。

 ラバグルト公爵やサラバンド公爵がここにいないのは、最初からこれが内乱(クーデター)を潰すための軍議だったからでしょう。

 第一王子派も第二王子派も表向きは沈黙を保っています。

 裏では対内乱(カウンタークーデター)を支援して内乱(クーデター)を潰す気満々のようですが。

 国を乱すだけの馬鹿げた騒ぎはさっさと終わらせたいというのが本音でしょう。

 ただし、簡単なことではありません。

 まず、国王陛下の安全を優先するため、あまり強引に攻めることができません。

 そして、防御魔法によって守られている王城に攻め入る方法を見つけなければなりません。

 これらの条件が大きな壁となっています。

 特に、王城の防御魔法はこの国の最後の砦であり、簡単に突破できたらそれはそれで困ります。

 あまり時間をかけて攻略しても国王陛下の身の安全が脅かされますし、防御魔法を打ち破れるだけの攻撃が可能だったとしても、そんなものを実行したらどれほどの被害が出るか予想もできません。

 こっそり侵入して一気に制圧することが理想なのですが、なかなかそう上手くは行きません。


「城内に入り込める隠し通路の類はないのか?」


 ガザニア先輩がニゲラ殿下に問います。

 こちらの優位の一つは、王族の協力が得られることです。

 王城ならば、非常時に脱出するための隠し通路の一つや二つあってもおかしくありません。

 幽閉されていた王妃様は知らず、国王陛下が犯人に教えることの無い秘密の通路をニゲラ殿下やアイビー殿下が知っていれば、相手の意表を突くことができます。


「隠し通路は幾つか知っているが、防御魔法が発動すると通れなくなる。部分的に魔法を解除して通る方法があったとしても、内側からしか操作できないだろう。」

「外から入る方法があったとして、兄上が知らないのなら知っているのは父上――国王陛下だけです。」


 ごもっともです。

 完璧な防御に穴をあける意味はないですし、王城から脱出する目的なら内から外に出る手段さえあれば事足ります。

 王城が乗っ取られるなんて、想定外(イレギュラー)過ぎる事態への対処なんて、考えてある方が不思議です。

 でも、困りましたね。

 スマートな解決策がないと、事態が長引きます。

 現在王城が封鎖されていて国政がストップしてしまっているから、あまり長引くとあちこちに支障が出ます。

 政情不安に付け込んでフリュイテ侯爵を嗾けたような連中が暗躍するかも知れません。

 それに、長引くほどに国王陛下の安否が心配になってきます。

 最大の人質である国王陛下をおいそれと害するとは思いませんが、何時まで経っても第一王子派の貴族が参加表明をしなければ内乱(クーデター)の失敗を悟るでしょう。

 内乱(クーデター)が失敗すれば、首謀者、実行犯は確実に処刑されます。フリュイテ侯爵家は取りつぶしになるでしょう。

 そこまで悟ってしまえば、死なば諸共と人質を殺してしまうかもしれません。

 今、国王陛下にお亡くなりになられると、少々困ったことになってしまいます。

 現在この国には王太子がいません。

 そして、王子は二人います。

 第一王子派、第二王子派とそれぞれの王子を推す勢力がそれぞれあって、無視できない力を持っています。

 今国王陛下がお亡くなりになられると、順当に行けば次期国王はニゲラ殿下ですが、どちらが王位を継いでも不満を持つ勢力が出ます。

 国王陛下が指名した王太子が王位を継ぐのならばまだ納得もしますが、現状でどちらの王子が即位しても反発する貴族が大勢います。

 最悪、内乱(クーデター)が終わっても、内戦が始まってしまいます。

 ラバグルト公爵がフリュイテ侯爵の誘いに乗らなかったのも、内乱(クーデター)に乗じてニゲラ殿下を王位に就けても、王位の簒奪だと主張する第二王子派との諍いが避けられないからでしょう。

 正しい手順を踏んで王位を継がなければ、政情不安になって国が乱れる。

 国に責任を持つ大貴族ほど、そのようなことは避けたいのでしょう。

 そのためには、一刻も早く国王陛下を救出したいのですが、その第一歩で躓いてしまっています。

 ちょっと困ったことになりました。

 強力な魔法で強引に突破するか、防御魔法の特性を調べながら時間をかけて解除するか、強行突破は諦めて交渉で何とかして国王陛下を開放してもらうか。

 いずれにしても困難で、リスクを伴います。

 そんな風に、現状を少し他人事のように分析していたのですが……


()()魔法は使えるか?」


 ニゲラ殿下が突然私に向かってそんなことを言い出しました。

 いきなり私に振りますか!

 ()()魔法とはもちろん、収束陽光撃(ソル)のことですね。はい、分かっていますよ。

 私、回復要員としてではなく、攻城兵器として呼ばれたんですか!?

 あの場にいた面々が何人も同席しているし、誤魔化しようもありません。


「条件さえ整えば使えると思います。ただ、魔法の性質上対象を上から貫通して焼き尽くす感じになります。それに、効果範囲を絞ることにも限界があります。」


 収束陽光撃(ソル)は広範囲から集めた太陽光を収束したもので、攻撃に使用する光は魔法ではありません。

 王城の防御魔法があらゆる魔法攻撃を防ぐものだとしても、ただの太陽光は防げないはず。

 太陽光までシャットアウトしてしまったら、王城内は真っ暗闇になってしまいます。

 間違いなく効果はあると思うのですが、とても派手な魔法です。

 いきなり周囲が暗くなりますからね。こっそりと使うことはできません。

 そして、あまり加減もできません。

 上から降り注ぐ攻撃なので、屋内の対象を攻撃するには天井をぶち抜く必要があります。

 効果範囲もある程度は絞ることができますが、遠距離から確実に対象を捕らえるにはある程度の範囲を攻撃する必要があります。

 屋外で直接視認できれば位置を調整しながら最低限の太さの光線で対象を撃ち抜くこともできるのですが。

 照準に時間がかかるので動かない対象限定で、うっかり顔を出した犯人を狙い撃つことはできませんけれど。


――パサリ


 その時、カランセがどこからか取り出した紙を広げました。

 これって……王都の見取り図?

 国家機密じゃないですか!?


「防御魔法を発生させる魔法装置は東西南北のこの場所、それらに魔力を供給する動力部が中央のこの場所に、全て王城の地下に設置されています。」


 カランセがいつもと違う軍人口調で言います。

 それにしても……似合いません。カランセの軍服も軍人口調も何だか違和感があります。

 カランセの本業が軍人だったとしても、街の情報屋の姿の方が馴染んでいるのでしょう。

 それはともかく、装置が地下にあるというのは悪い知らせです。

 収束陽光撃(ソル)で地下を狙うのはかなり大事です。林間学校でやったような、地面が融解するほどの熱量を叩き込む必要があります。

 しかも、その熱量を地面に届けるために、上に建っている王城をぶち破って穴をあける必要があります。

 王城には国王陛下への謁見で一度入っただけで詳しくは知りませんが、確か四階くらいまであったはずです。

 そんなことができるかと言われれば、実行可能です。林間学校の時に、魔物ごとその下の地面を溶岩に変えた実績があります。

 王城がどれほど堅固な作りをしていたとしても、耐えられるものではありません。

 そして、その進路上に存在する人も物も全て燃えるか溶けるか蒸発してしまうでしょう。

 王城地下の魔法装置を収束陽光撃(ソル)で破壊すれば、王城を守る防御魔法を破ることができるでしょう。

 でも、その射線上に人質が捕らわれていたりしたら……


 国王陛下蒸発(物理)


 最悪です。

 王城の防御魔法が攻撃魔法を防ぐと言うなら、おそらくは直接的な攻撃魔法以外の魔法も通さないでしょう。

 試してみないと分かりませんが、望遠鏡方式で王城の窓の中を覗くことはできても、ファイバースコープ方式で障害物の裏側まで確認したり、光探査(スキャン)の探査光を侵入させることはできない可能性が高いでしょう。

 つまり、国王陛下やその他の人質の安全を確認したうえで攻撃することができません。

 とてもリスクが高いのです。

 だと言うのに……


「ここには貴賓室がある。陛下が軟禁されている恐れがあるな。」

「こちらには柱があります。下手に壊すと王城の一部が崩れる恐れがあります。」


 どうして収束陽光撃(ソル)で攻撃する前提で議論を進めているのですか!


「中央の動力部を狙った方が人的被害の危険性は減るな。玉座と宝物庫が破壊されるだろうが。」

「国宝が幾つか失われるのは痛いですが、この状況で陛下を玉座に座らせておくことは無いでしょう。」


 国宝を弁償しろとか言われても無理ですからね!

……ハッ!

 まさか、うっかり国王陛下を巻き込んでしまったら、その責任を私に押し付けたりしないでしょうね?

 私は貴族社会では最下層です。学生時代の、「学園内では学生は平等」と言う建前さえもうありません。

 下っ端に責任を押し付けて尻尾切りをするのはどこの世界でもよくあることです。

 国王陛下を死なせてしまった罪で処刑するとか言われたら……全力で逃げます。

 もう、マキシマムレーザーを全力でぶっ放す所存です。

 そんな事態にならないように、もう少し穏便な方法を考えてもらいたいところですが、私も良い方法を思い付かないのでどうしようもありません。


「えーと、射線は真上からだけでなく、多少角度を付けることができます。」


 私にできることと言えば、今はこれが精いっぱいです。

 せめて、一番被害の少ない方法を考えるだけです。


「あの~」


 その時、白熱する議論を繰り広げている皆に、おずおずと話しかける者がいました。

 ケールです。


「たぶん、王城に入ること、できます。」


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