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TSして自由なVtuber生活!  作者: ae


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36『【#オンライブ夏祭り】オレこれマジで歌うの??【オンライブ歌祭り/宵あかり視点】part1』

【#オンライブ夏祭り】オレこれマジで歌うの??【オンライブ歌祭り/宵あかり視点】

⤴958 ⤵ ➦共有 ≡₊保存 …

宵 あかり

チャンネル登録者数 11.9万人

15,052 人が視聴中・0分前にライブ配信開始

#オンライブ夏祭り #アカリウム #オンライブ

宵あかり視点です。たぶん公式視点(@ONLive)から見た方がいいと思います。



【たぶん公式視点見た方がいいで草】

【マジで歌うの?じゃないんだよなぁ】

【お前の歌を聴きに来てるやつもいるという事実から目を背けるな】

【実際この中で歌えるんか宵】

【むしろお前と見たい】


『いよいよオンライブ夏祭り最後の企画、歌祭りの開幕だよっ! 開会式に引き続きメインパーソナリティは私、春乃(はるの)(さくら)と――』

『解説の永遠(とわ)遥歌(はるか)でお送りする。わーぱちぱち』

『ぱちぱちーっじゃなくて解説!? ハルも司会者でしょ!?』


 こ、これが生のさくはるか…!

 場所は変わり、ここはオンライブ夏祭りのために用意されたというスタジオだ。先程までオレが配信に使っていた場所よりもかなり広く、しかも3Dモデルがあるわけでもないのにステージまで用意されているという気合の入りっぷり…この企画にどれだけ本気なのかがよーく分かる。

 桜ちゃんと永遠さんはそのステージ上から配信を行っていて、つまりはライバーとスタッフさん含めオレ達全員から視線を送られているわけなのだが、これといって緊張しているようには見えない。さすがオンライブ一期生、イベント慣れしているらしい。…正直オレはここから先、仮に何度経験しようが慣れる気しないけど…。


『リスナーの人達を退屈させないためにも解説は必須』

『そ、そうかな…?』

『間違いない。今年は誰が優勝するのか、気合い入れていこう』

『優勝!? いや、あのねハル、これは勝ち負けがつくものじゃなくってね?』

『優勝者には桜の声で起こしてくれる目覚まし時計をプレゼント』

『いつ作ったのそれ!? あ、桜の花のマークが入っててちょっと可愛い…』

『ちなみに特別賞も……』


 まぁ、そんな話はさておき…オンライブ歌祭り、始まってしまいました…(絶望)

 徹夜でブーストされていたテンションも今はもうどこへやら。控室での遭遇戦や、やたら他の先輩にも話しかけられたリハーサルを経て、もはや残ったのは眠っていない分の疲れと怠さのみと来ている。あといつもの腹痛。てかやたらお菓子で餌付けしようとしてきたり、先輩達はオレをペットか何かだと勘違いしてる節があると思う。

 生歌楽しみ! なんて言ってたがそんな余裕はもはやない。あるわけがない。せめて自分の出番までに精神統一でもして、なんとか心を落ち着かせるべきだろう。でなきゃこの大人数の前で歌うどころか、ステージに立つことすらできそうにない。…わざわざオレ視点の方を見に来てくれた人達には本当に申し訳ないが、この配信中はほとんど黙っていることになってしまいそうだ。


 まぁでもこいつらオレの他に推しがいるような連中ばかりな感じもするし、どちらかと言えばオレが何かやらかさないか見に来てるのがほとんどだと思われるのであんまり気にしなくてもいい気もする。そもそも文字通り死活問題だしな、こいつらも快く許してくれるだろう!


(推し達の歌に集中できないのは惜しいけど…仕方ない。こんな所でやらかすよりマシだ!)


 推しの生歌の誘惑になんて負けないぞ、今回ばかりはオレの決意は固いんだからな! 

 …とかなんとか、この時点ではごちゃごちゃと言っていたのだが。


『じゃあいくよーっ!』


『うおぉおぉん!!! ゆいな!!! ちゃん!!!!』


【一人目から限界オタクになってるじゃねーか!】

【なんか静かにしてるなと思ったらこれだよ】

【知 っ て た】

【三期生からか】

【ゆいなちゃん歌うっま…】

【叫ぶな厄介オタク】

【他のライバーの配信でも声聞こえてくるの草】


 正直さ、生歌なんて聞いちゃったら我慢できるわけないよね。というか、精神統一した程度でこのステージに立てるわけなくない?? オレのノミの心臓を舐めるなよ!


『歌上手くて絵も上手いオタクに優しいギャルとか過積載すぎるぅ…すこすこ…』


【過積載はお前もなんだよなぁ…】

【ゆいなちゃんのかっこいい声ヤバいな…】

【宵溶けてない?これまだ一人目だよ??】

【生で聞いたらこうもなろう】


 で、そしたらもう楽しむしかないわけで。どうしたってオレの出番はやってくるのだ。ならその時まで一秒でも長くこのイベントを全力で楽しみたい!


『ふふ、緊張してしまいますね。それでは…精一杯歌わせて頂きます』


(ほのか)ちゃん声エッッッド…』


 仄ちゃんはもう歌い出しから声が甘いを通り越してエッッッな感じだった。うう…おせいそ…。


【こら!!!】

【ド直球すぎるだろ】

【でも正直わかる】

【これは宵が正しいよ】

江戸えど は、東京の旧称であり、1603年から1867年まで江戸幕府が置かれていた都市である】

【解説助かる】



『練習はしてきた。私を見ていてくれ』


秋風(あきかぜ)さんしゅごい……』

『うん。こーよー、すごく練習したって言ってたから良かった』


【こーよーいいね】

【百々ちゃと宵これ隣同士!?!】

【ちょくちょく話してたからたぶんそう】

【こーよー上手すぎないのが安心感あってすこ】

【この声の貫通度から察するに両隣は百々ちゃと仄ちゃん】

【どんどん語彙が死んでってるなこいつ…】



『もうジャイ〇ンとは言わせぬからなっ! ゆくぞ…!』


『い、今のっ! 今の聴いてた!? ねぇ百々(もも)ちゃ!』

『もちろん。ふふ、まおー様の努力の成果』

『すごいねっ…!』


【宵ステイ】

【まおー様マジで歌上手くなったな】

【ガチでここ最近はずっと歌ってたからね】

【宵の話し方がちっちゃい子すぎて可愛く見えてきた…】

【もう親子じゃないこの二人??】

【ももよいは親子】



『ん、私の番。……ふふ』


『あっあっ、い、今百々ちゃオレの方見て笑ったくない?? えっ、もしかしてオレ推しに認知されてる…?』


【されてないわけないだろ!】

【今まで百々ちゃとコラボしてたのは誰だったんですかね…】

【自分が誰か思い出せ】

【百々ちゃ相変わらず歌が上手すぎる】

【わりとマジで永遠さんクラスだな…】

【これ百々ちゃ匂わせでは??】

【匂わせどころか直球でしょ】



『次は…おっ、ついに来たね!』

『楽しみ』

『ハルも? 私も歌配信、何度か見たことあったから楽しみなんだー!』

『果たして桜の目覚まし時計を手に入れることができるのか…乞うご期待』

『えっ本当に渡す気!?』


 はえー…次の人は随分と期待されているらしい。えっと、タイムテーブルだと次の人は…


『それでは、次の人! 三期生、(よい)あかりちゃんですっ』


 宵あかり…宵あかりか。………オレじゃねーか!?!


『あかりなら絶対大丈夫。いつもみたいに、楽しく歌ってくればいい』

『そ、そうだな! あかりなら大丈夫だ』

『あかりちゃんの生歌…』

『うむ、獣王(ししおう)もじゃが、あかりも我の師匠じゃからな。少なくとも歌なら心配いるまい』

『ガンバ! あかりちゃん!』


 いってらっしゃい、と優しく微笑む百々ちゃ達三期生のみんなに送り出され、ステージへと向かう。途中、控室でエンカウントした一期生の幽世(かくりよ)(いざな)さんをはじめ、何人かの先輩に「頑張って」だの「期待してる」だの、にこやかに声を掛けられた。腹痛が加速する。おえっ…。

 なんとか持ち直して説明されていた通りにPCを操作して準備しつつ、チラッと前へ視線を向ければ…


(………め、めっちゃ見られてる…!)


 危うく悲鳴が出そうになったがなんとか堪え、即座にPCの画面に視線を戻す。オンライブのライバー全員と、スタッフさん達。それだけの視線が集まっているのだ。百々ちゃ達は大丈夫だと言ってたけど何も大丈夫じゃないとたった今確信した。

 今している準備だってかなり簡単なもので引き延ばせるものではないし、そもそも延ばした所で稼げる時間なんてごく僅かなものだろう。


『準備は大丈夫そうかな? じゃああかりちゃん、お願いします!』


 …などと考えているうちに準備も終わり、手にはマイクが握られていた。目線を上げられない。怖すぎる。だがこのまま下を向いて歌うわけにもいかない。

 せっ、せめて、よく知っている人なら…。そう思い、三期生のみんながいる席の方に目を向ける。返ってくるのはなぜだか期待に溢れた視線ばかり。再びバッと目を逸らす。


(そ、そんな目で見ないでくれよ…推すのには慣れてても推されるのには慣れてないんだよぉ…)


 もう諦めて、歌えないと正直に言ってしまおうか。そんなことを考え出した時、送られてくる視線の一つが、他のそれとは少し違うことに遅れて気が付く。

 勇気を出して一瞬、ほんの一瞬だけ上げた視線の先。そこには、この場で…いや、ともすればこの世界で、母親を除き唯一、オレが安心して話せる彼女の姿があった。


 …みんなを見なくてもいい。向ける先は、そこだけでいい。それなら、いつもの、二人で歌っている時と同じだ。


 もう一度。次は完全に…目線を、前へ向ける。薄っすらした目元の隈。少し鋭いけれど、優しげな目。


 視線がぶつかる。けれど逸らさない。


『い、行きますっ!』


 音楽が流れ始める。

 逸らすことのない視線の先で…もう一度彼女が大丈夫と言ってくれたような気がした。

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