121『作戦会議パートをしっかり描く作品は以下略』
【オンライブ】第100回因幡会議【因幡白兎】
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因幡 白兎
チャンネル登録者数 77.9万人
22,883 人が視聴中・0分前にライブ配信開始
#因幡の国 #オンライブ
※本配信では切り抜きはご遠慮ください
こんな夜分遅くに失礼いたします…
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因幡白兎配信スケジュール更新
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◇
『そ、それでは第100回因幡会議を始めさせていただきますっ!』
【88888888】
¥1,780
【かれこれこの会議も100回目かぁ…】
【反省と合わせると200回やってるんだよなこれ…】
【こいついつも会議してるな】
¥2,000
【コラボ以外は基本会議か反省会をしてるうさぎ】
¥500
【ブラック企業も真っ青の会議開始時間】
¥1,780
【こんなド深夜に会議始めるな】
今の時刻は深夜の二時。普段なら私もここまで遅くから配信をすることはほとんどないし、リスナーの人たちがそう言うのも無理はない時間だ。
『す、すみません…! でもこの時間から始めたのにはちゃんと訳があって…こ、こちらのツイートを見てください…!』
─────────────────────────────
● 宵あかり☆オンライブ三期生✓ @ON_Akari_Yoi ・2時間 …
配信あざました!
寝る
o〇 95 ↺ 78 ♥ 3901 □ ↑
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【宵じゃん】
【宵のツイート??】
【終生のライバル来たな】
【宵が寝てからじゃないとできない会議ということは…?】
『は、はい…今日は宵あかりさんとゲームセンターへ行く件について会議をしたいと思います…! 念のためこのツイートからさらに二時間待ったので宵さんは確実に寝てるはずです…! それとこの配信はアーカイブに残しません! 切り抜きもできればご遠慮頂ければと思います…!』
¥5,000
【ちゃんと安全マージンとっててえらいぞ因幡!】
¥1,800
【SNSの寝る報告は情報としての信憑性あまりにも低くない??】
【ちゃんとスパイ送り込んで確かめろ】
¥999
【スパイ因幡を雇え】
【まぁさすがにこの時間はもう寝てるでしょ宵】
【アーカイブ残さない+切り抜き禁止はかなり本気だな?】
【後で見ようと思ってたけど今見なきゃ…】
『ご、ごめんなさい…! スパイ因幡は検討させていただきます…そ、それでは気を取り直して、まずは会議に出席するメンバーを紹介させていただきます…常任理事因幡の五人です…!』
それぞれ「つよい因幡」「かしこい因幡」「おとなな因幡」「あきらめ因幡」というタスキをかけた、四人の因幡白兎の立ち絵を画面に出す。最後に私が今動かしているアバターに「いつもの因幡」というタスキの画像を置いた。
当然だが、他の因幡も私自身だ。実際に四人も他の人がいたら私は一言も喋れなくなってしまう。彼女たちはこうしてVtuberになる前からよく心の中で行っていた一人会議のメンバーに立ち絵を与えているだけ…でも、これがあるだけで結構心強く感じるものだった。
『なお、よわい因幡はいつもの因幡と役割が被っていたためクビになりました…そのため新たにあきらめ因幡をお迎えしています…』
¥10,000
【常任理事因幡とかいうパワーワードで毎回笑う】
【相変わらず小学生レベルの名付け方してるな…】
¥4,848
【よわい因幡…お前と会議したかった】
¥700
【諦め因幡弱い因幡も似たようなもんだろ!】
¥2,900
【いつもの因幡も明日は我が身じゃない?】
【世知辛いねぇ…】
【なんで毎回そういうダメそうな因幡を加えるんだよ】
¥2,424
【いい加減舐めプやめてつよい因幡のみ妥協なししろ】
『──よくぞ聞いてくれました! この私、かしこい因幡がお答えしましょう!』
スイッチを切り替えるように、かしこい因幡の声色とマインド、そしてその考えを心の中から表へと出力する。その際、かしこい因幡の立ち絵を得意げな表情に変えることも忘れない。
昔はここまで上手く切り替えることはできなかったが、因幡白兎という極限の環境が私を強くしたのだろう。その後の気疲れこそ凄まじいが、実際の人前なら10分ほどの時間、ソロでの配信でなら数時間は心の中の私たちを表へと出せるようになった。
『みなさん、なぜこれまで私たち因幡というか弱い存在が生き残ってこれたのだと思いますか? それは多様性があったからです! 多様性のない生物や組織はいつか必ず破滅を迎えます。それはこれまでの歴史を見ても明らかなことなのです!』
【おお…!】
【なるほど!】
【さすがはかしこい因幡だ】
【かしこい因幡はかしこいなぁ】
【声までかしこそう】
【(拍手を送る因幡たち)】
【当然のように複数形なのやめてね】
『さ、さっそく議題についてですが…し、新人のあきらめ因幡は何か意見はありますか…?』
『…諦めましょう。この勝負、私たちに勝ち目はありません』
『そ、そんな…!』
あきらめ因幡の言葉にいつもの私は大きなショックを受ける。そんな私を見かねてだろうか、つよい因幡が声を上げた。
『なんという弱腰! そんなでは勝てるものも勝てないでしょう!』
そうだそうだと他の因幡たちやコメントもヤジを飛ばす。しかしそんな中、おとなな因幡が『静かに』と、決して大きくはなく、しかし全ての因幡たちに響く声で言った。
『まずはあきらめ最後まで話を聞こう。さぁ、続けて』
さすが、誘さんの影響を最も強く受けているおとなな因幡はとても大人だ。ヤジが止むと、あきらめ因幡は大きくため息をついてから話を再開した。
『皆さんは宵さんと夏華さんとのコラボを見てどのような感想を持ちましたか?』
『さすが私のライバルに相応しいと思いました』
『さ、さすがつよい因幡は心もつよいですね…』
『ライバル…果たして彼女はライバルなのでしょうか?』
¥1,780
【(騒めく因幡たち)】
【そこに気がつくとは…】
¥4,000
【諦め因幡こいつ結構優秀そうだな】
¥5,500
【諦めてるおかげで物事を冷静に見れるんだろうか】
【どうでもいいけど役割次第でしっかり声出せるんだよな因幡】
【これをコラボでもできればな…】
『そ、それは私も本当にそう思います…』
『それで、果たして本当にライバルなのかとはどういうことかな?』
『…宵さんの実力は既に私たちをはるかに上回っているということです。これではもうライバルではなく上位者…そしてそうであるならば、もはや潔く諦めるしか…』
私自身、それはずっと思っていたことだった。確かに初めてコラボした時、宵さんと私の実力は拮抗していたと思う。しかし今ではどうだろうか。宵さんは他のメンバーとのコラボを通してメキメキと成長していった。宵さんと私、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い…。
『…………』
私たちの間に重苦しい空気が漂う。もはや負けを認めて諦めるしかないのだろうか…しかしその時。
『…一つ、策を思いつきました』
かしこい因幡が沈黙を破ったのだった。
『かしこい因幡…!』
『さすがかしこい因幡です!』
『やっぱり最後にモノを言うのはかしこさなのですね…』
『では聞かせてもらおう、かしこい因幡の意見を』
『誘さんから貸してもらった漫画にこう書いてありました。勝負を短い時間に区切り、自分の能力のみを見せつけることで、相手に負けた気分にさせることができると。私たちも同じことをするのです!』
【うん…うん??】
【いざな随分古い漫画貸してんな】
¥6,200
【内容はともかくあの沈黙の中意見を出せることをまず一番に評価したい】
【ファーストペンギン因幡】
【伊達にあの世は見てなさそう】
先ほどおとなな因幡に怒られたことを鑑みて、私たちは言いたい言葉を一旦飲み込み、かしこい因幡の言葉を待つ。
『具体的には宵さんと合流してからゲームセンターへ着くまでの道のり。そこに私たちの全力を注ぎます。おとなな因幡が現実へ顕現できる最大時間10分…その時間が勝負です』
『つまり、私に宵さんを倒せ、と?』
『…はい』
かしこい因幡の、結局は人任せな(まぁ自分だけど)策に私を含む他の因幡たちは顔を顰める。しかし反論しないのはそれしか手段らしい手段がないからだ。今この場において、実行可能な現実的策を出しているのはかしこい因幡だけなのだから。因幡たちが固唾を呑んで見守る中、おとなな因幡が再び口を開いた。
『分かった。私が彼女と…宵さんと決着をつけるよ』
『お、おとなな因幡…!』
¥2,000
【大人な因幡かっこよ】
¥5,000
【会議最初期メンバーなだけはあるよな大人因幡】
¥10,000
【なんで宵と因幡って関わると自然とバトル漫画の構文になるんだよ!】
【"最強"の戦績、ゲーセン(ここ)に着くまでに刻む!!】
【勝てよ大人な因幡さん】
『おとなであることはつよいということなのかもしれません…』
『ま、待ってください、私はまだこの会議に必要なはずです!』
『つ、つよい因幡の処遇はまた後で考えるとして…しょ、勝負に勝った後も、宵さんのことは一緒券でその…無理矢理誘ってしまったわけですし…大人としてちゃんと宵さんを楽しませてあげることも大切ではないかと…』
私たちの会議は続く。後詰や、サイドウェポン、それに宵さんに楽しんでもらうにはどうすればいいかなど、考えることは他にも山のようにあるからだ。しかしそれは苦ではない。なぜならこの時は間違いなく、全ての因幡が勝ちを確信していたのだから。…そう、この時は…。
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