119『【3D配信】あかりちゃんと一緒券その2【宵あかり/夏華向日葵】part3』
¥4,141
【宵絵楽しみ】
¥5,000
【なんやかんや配信で絵描くの初めてか宵】
¥1,800
【意外と上手かったらどうしよう…】
【宵は意外性に満ちてるしありえる】
【オタクは誰でも一度はイラスト描いてみようと頑張るからな…】
【何描いてんのオタクく~ん?】
【ひまの期待に満ちた視線が刺さる】
『別にオタクがみんな絵を練習するわけじゃないからな! すっごい偏見だしハードル上げるのやめろ!』
特にハードルの方! オタクへの偏見なんてこの際どうでもいいけどそっちは本当にオレの命に関わるから!
¥1,000
【偏見に?マーク付いてなくてえらい】
¥2,500
【ついに偏見という言葉を学んだ宵あかり】
【また一つ大人になったな宵…】
¥5,999
【慌てっぷりを全身で表現するの幼女みが深くてすき】
【運営が宵を追い詰める性癖になった理由の一つ】
【ド下手でも美味しいし上手くても美味しいから気にせず描いていけ】
うう…夏華先輩のキラキラな瞳が痛い…ぶんぶんと振られている尻尾が見えるかのようだ。いっそボールとか投げたら取りに行くのに夢中になって忘れてくれたりしないかな…? でもボールなんてここにはないし夏華先輩も大型犬っぽいだけで大型犬じゃないんだよな…。
『と、とってこーい…』
『??』
『あっ、すいません何でもありません…』
とうとう犬耳まで見えてきたのでついエアボール投げをしてしまった。当然オレの考えていることが夏華先輩に伝わっているわけもなく、かわいい顔で首を傾げられてしまう。
¥500
【何やってんだこいつ…】
¥2,000
【へなちょこ投球フォームたすかる】
【いきなりどうした宵】
¥7,000
【こいつ先輩を犬扱いしてない??】
【あっとってこいってそういう!?】
¥1,699
【確かにひまは大型犬っぽさあるけどお前!】
¥3,900
【おもしれー女…】
【ひまは犬じゃない!人間なんだ…!】
¥50,000
【【悲報】宵あかりさん、先輩を犬扱いして突然とってこいしてしまう】
『ち、ちがっ…! そ、そう! とってこーいってしてもらえたら嬉しいと思って…わん…』
な、なに言ってんだオレ!? いやしかし先輩を犬扱いする失礼なやつになるよりはオレが犬になる方がずっとマシのはず…! オレ自身が犬になることだ…!
『えっ?? じゃ、じゃあ…えっと…とってこーい?』
夏華先輩が絵を描くための道具が詰まったバッグから丸いスポンジを取り出すと、大層困惑しながらもそれをオレの後ろ目掛けて投げた。軽いのであまり飛ばず、ぽとりと近くの床に落下する。
『……わん…』
『あ、ありがとうあかりちゃん』
【わん…(最弱)】
【わん…(もうどうにでもなれ)】
【わん…(絶望)】
【わん…(残身)】
¥11,111
【わん一つから色々と感じ取りすぎだろ】
¥4,560
【この弱弱しいわん…が多くのオンライブメンバーを狂わせる…】
【宵ッヌ】
¥1,200
【ひまを困惑させるとはこやつ中々やりおる…】
一応自ら犬を名乗ったので一鳴き入れつつスポンジを拾い上げ、夏華先輩に手渡す。少しの間そのスポンジを見つめていた夏華先輩だったが…。
『わんわーん!!』
『えっ、え??』
『ひまちゃんもとってこーいしてほしいわん! わんわーん!!』
え、ええ…? いきなり夏華先輩がさっきまでの勢いを取り戻してそんなことを言う。い、いや、もしかするとこの空気を何とかしてくれようとしたのかもしれない。犬をやるならばここまでやらないとダメだったということだろう。こ、これがオンライブ最強の陽キャの成せる技…! ごめんなさい夏華先輩…そしてありがとう! オレ、もっと全力で犬として頑張る!
『わんわん!!』
『わ、わん!』
『あっ、頭の中の呼び方も夏華先輩じゃなくてひまちゃんでいいよ』
『あっ、はい』
¥900
【だからあっはいじゃないが??】
¥200
【なんで吠え合ってるのこの人?たち…】
¥2,700
【頭の中の呼び方ってなんだよ!】
¥10,000
【これまでのあらすじ:いきなり宵が犬になっていきなりひまも犬になった】
【あらすじ何も分からないから助からない】
¥7,800
【やはりターン制バトルか…】
【ひまドッグわしゃわしゃしたい】
【宵犬お腹いっぱい食べさせたい】
¥5,000
【いきなり犬になっていきなり戻るな】
【いったい何を見せられてるんだ俺たちは…】
【頭おかしくなりそう】
言われるがまま、しばらく夏華先輩…
『ひまちゃんでいいよ』
…じゃなくて、ひまちゃんと交互にスポンジでとってこーいをして現実逃避していたオレだったが、とうとう観念して何本かある筆のうちの一本を、迷いながらも手に取った。ひまちゃんが使っていた筆と似ているやつを選んだのできっと間違ってはいないはず…。そして次のステップ、真っ白なキャンバスの前で途方にくれる。そこまで大きいキャンバスではないはずなのに、ここいっぱいに絵を描くなんて想像できないほどに大きく感じる。そもそも絵を描くこと自体、学校の授業では選んでいないのでかなり久しぶりだった。ひまちゃんが描いてくれたような、キャラクターのイラストはオレには描けないし、リアルな感じのイラストも無理だし…な、何を描けば…?
『思うまま、感じるままでいいんだよ。もしあかりちゃんの絵を馬鹿にする人がいたら私が出て行って向日葵の養分にするから安心して』
『お、思うまま…感じるまま…うーん…』
【ヒマワリの養分にする!?!?】
【良い向日葵が育ちそうですね…】
【だから向日葵ってあんな大きく育つのか】
¥1,932
【向日葵の下には屍体が埋まつてゐる】
【つよい】
【ひまにしては珍しく口調が落ち着いてるのがガチ感ある】
そう言われれば言われるほど難しく感じる…! どっちかって言うとオレは具体的にこうしてって言われる方がずっと楽なんだよぉ…!
そんな具合にしばらく悩んだが答えは出ず。オレはとりあえずたくさんある絵の具の中からオレンジ色と黄色…これもなんちゃらイエローとかなんちゃらオレンジって付いてる似たような色がめっちゃある…を取り出して、パレットに出した。夏華先輩っぽい色、というチョイスだ。そのことに気がついた夏華先輩が嬉しそうな声を出す。
『私の色だね!』
『あっ、えと…そ、そうです…』
二色の絵の具をパレットに出すと、夏華先輩とリスナーさんたちに見守られながら、オレはオレンジ色と黄色を何となく交互に渦になるように塗っていく。同じ筆で描いていたので色が混じりあって、途中からは初めの二色とは違う色が渦の中に出来ていた。
『こうして…それでこんな感じに…』
初めはこの場を乗り切るために描き始めた絵だったが、描いてみると意外と楽しいなぁと思う。絵の具の香りはなんだか落ち着くし、混ざって段々と変わっていく色も面白い。気がつけば、キャンバスいっぱいに、少しずつ色合いの違う大きな渦が広がっていた。
『完成…かな…?』
『ふふふ…楽しそうに描いてたね?』
『えと…正直やってみるとすっごく楽しかった…です』
『でしょ! 絵を描くのって楽しいよね!! 私も完成したよ、見て!』
夏華先輩のキャンバスにはたくさんの色があった。一番大部分を占めているのは暗い紺色で、それを背景に様々な色の線が流れている。中心の白い線に、他の線の色が混ざって、キャンバスの下に行くほど綺麗に色付いていた。
『じゃあ、交換ね!』
『あっ、は、はい…!』
それぞれが描いた絵を交換する。夏華先輩はオレの絵を真剣な表情で眺めていたが、しばらくすると眩しいくらいの笑顔でオレの方へと向き直り…
『今日あかりちゃんに貸してた道具、あかりちゃんにあげる!!』
…と、急にそんなことを言った。
『え、あ…ええ??』
『今日配信を見てくれたみんな、ありがとうございました!! 私とあかりちゃんの芸術への道はこれからも続いていくから応援よろしくねっ!』
『私とあかりちゃんの!?!?』
なんか勝手に行く道を決められたんですが!?!?
『というわけで、また次回お会いしましょう! あかりちゃん、じゃなーをよろしく!』
『ああもうっ! じゃなー!!』
配信が始まったときよりも輝きを増した笑顔を向ける夏華先輩に負けて、やけくそ気味にじゃなーを放つ。今日は本当に驚いたり、戸惑ったり、最後まで予想外のことばかりだ。…まぁ正直楽しかった部分もあったことは否定しないけど!
でもこれ今後も続くって言うのはさすがに冗談だよね…? オレは考えていることが表情に出やすいらしいので、そのまま今の表情をひまちゃんへと向ける。彼女は、さっきと変わらない満開の向日葵のような笑顔で、オレの方を見つめ返していたのだった。
◇
この配信は終了しました
【3D配信】あかりちゃんと一緒券その2【宵あかり/夏華向日葵】
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宵 あかり
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