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TSして自由なVtuber生活!  作者: ae


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147/160

117『【3D配信】あかりちゃんと一緒券その2【宵あかり/夏華向日葵】part1』

「──といった形で、今後はこれまで以上にお忙しくなってしまうかと思いますが…どうぞよろしくお願いいたします」


 永遠(とわ)さんの刺さりすぎるオリジナル曲を聴き、喉が枯れてしまうくらい泣いてしまってから三日ほど。ここ数日はすごく慌てた様子のママに病院へ連れていかれたり、百々(もも)ちゃや(ほのか)ちゃんをはじめとする同期のみんなにも大げさなくらいに心配されまくったりと、配信や学校もお休みしたはずなのに普段以上に騒がしい日々を送っていた。

 そして今、オレはオンライブの本社で、喉が治ったら話すと言われていた大切なお話をこうしてマネージャーさん…泉水(いずみ)さんから聞いていた。


「もちろんオンライブとしても、それに私個人としても、全力で(よい)あかりさんをサポートさせていただきます」


 そう締めくくって、泉水さんは話を終える。…自分から言い出しておいてアレだけど、正直言ってまさかこんな話が通るとは思ってもみなかった。さすがはオンライブ、頭オンライブ(誉め言葉)だ。泉水さんはオレのそんな驚きと嬉しさがごちゃ混ぜになった表情を見て、なんだかこれまで見たことのないような表情を浮かべている。よくママとか百々ちゃがしているような、あったかい優しさを感じさせる…そんな表情だ。

 お互い、いつもはしないような表情をしているのが珍しくて、そのまま少しの間無言で見つめ合う。意外なことに、先にギブアップしたのは泉水さんの方だった。咳払いをすると、いつもの泉水さんの表情に戻ってしまった。


「それでは、私はこれで失礼いたします。…くれぐれも今回の件は配信などで話してしまわないようお願いいたします」

「は、はいっ!」


 泉水さんのいきなりの鋭い眼光にビビりつつ、絶っっ対に話してしまわないように固く心に誓う。まぁ仮にぽろっと口から出てしまったところでネタだと思われるだけな気もするけど…。


「ダメですからね?」

「ひゃっ、ひゃい!」


 部屋から出ていく途中で振り向いて、再度釘を刺してくる泉水さん。驚いて変な返事になってしまった。…今度こそちゃんと出ていくのを見守ってから、大きく深呼吸をする。オレだってちゃんと少しは成長しているのだ。だからこそ泉水さんだって、こうして直前じゃなく事前に話してくれたんだろうし!


「…よしっ!」


 勢いをつけて椅子から立ち上がる。…勢い余って転びそうになったが何とか持ち堪えた。女の子の方の星宮ひかる(オレ)のおかげで、Vtuberに…宵あかりになれた。あの日、(ほのか)ちゃんはオレに「彼女の努力を認めてあげるなら、自分の努力も認めてあげなよ!」と言ってくれた。奇跡みたいな出来事と、奇跡みたいな出会いのおかげで、今のオレがある。


 だからこそ次は、ちゃんと自分の力で。



【3D配信】あかりちゃんと一緒券その2【宵あかり/夏華向日葵】

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宵 あかり

チャンネル登録者数 61.1万人

31,920 人が視聴中・0分前にライブ配信開始

#アカリウム #オンライブ

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【知らない間に一緒券を消化するな】

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【】

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【ひまとのコラボ来た!】

【宵とひまの相性はいかに】

【意外とどうなるか読めない組み合わせで楽しみ】

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【陽キャVS宵】

¥10,000

【難易度?夏華向日葵先輩→絵のモデルになる】

【リマインド助かる…】


『こんにちは!! 死後名を馳せる芸術家、夏華(なつか)向日葵(ひまわり)です!!』

『え、えー…その題材、宵あかりです…』

『というわけで今日はあかりちゃんを題材にして絵を描いていくよ!! ていうかもう描き始めてるけど!!』


 そうなんだよね、もう描き始めてるんだよね…。コラボこそ予定通りの時間に始まったが、諸々準備もあるので予定時間より結構前にオレはスタジオの方へ来ることになっていた。当然、それは今日一緒に配信する夏華先輩も同じだったようだ。

 スタッフさんたちによってテキパキと配信の準備が進められていく中で、夏華先輩も初めはオレと同じく、3D配信用の機器を付けたり、何かしら確認を求められてその都度答えたりしていたのだが…オレの方を見ていきなり、


「インスピレーションが湧いてきたよ!! あかりちゃん、そこに座って!!」


 と、大声で言ってきたのだ。


「うぇっ!? あ、は、はい…」


 困惑しながらも、その勢いに流されるままにソファに座る。周りのスタッフさんたちはまったく気にした様子もなく作業を続けていた。…以前、永遠さんとコラボしたときにも似たような光景を目にした気がする。スタジオの中にテントと人工芝が用意されてても、スタッフさんたちはまったく動じてなかったからな。

 合間合間で少し止まることはあったにせよ、その時から今に至るまで、夏華先輩は物凄い集中力で絵を描き続けていた…というわけだった。


【お馴染みの挨拶にするには物騒すぎない??】

【頼むから死後ではなく生前に名を馳せろ】

【死後強まる価値】

【まだ完成には遠い感じか】

【この段階だと何描いてるのかよく分からんな】

【完成しても何描いてるのか分からないのがヒマワリ・ナツカの絵だぞ】


 夏華先輩が描いている絵は3Dのキャンバスの上にも表示されていて、リスナーさんたちからも見られるようになっている。オレもキャンバスの向きの関係で直接は見られないので、配信画面からキャンバスを確認しているのだが…これは…暗い紺色と…白い線…?

 オレをモデルに絵を描くと言っていたのでこう…もっと具体的にオレ自身が出てくるのかと思っていたのだが、どうやらそういうわけではないらしい。


『ちなみにまだ完成度は20%くらいかな? でも向かうべき道ははっきりしたよ…だからここからはばんばん喋っちゃうね!! ね! あかりちゃん!!』

『は、はい…お、お手柔らかに…』


 夏華先輩はさっき描いていたときとは違って、今は話しつつ筆を動かしている。配信前から描いていたのは配信中に無言の時間が長くなるのを防ぐ為だったのか、と一瞬思ったが、あのとき夏華先輩ってインスピレーションが湧いてきたって言ってたような…てことはそれがなかったら無言のまま配信が始まってた可能性もあったのか…。

 半ば放送事故な気もするけど、この眩しい陽キャオーラを前にするとそっちの方がまだマシだったかもしれないと思ってしまう。オークションの時とは違って、今はキャンバスがあるから距離感無視ワープを使ってこないだけまだ戦いようはありそうだが…ど、どうしよう…?


【20パーセントかぁ…】

【そこまでは無言で絵描いてたのね】

¥8,000

【宵のボーナスタイムは終了です】

¥5,656

【ばんばん喋っちゃうね!(死刑宣告)】

¥3,600

【成長コンテンツとしての成果を見せろ宵あかり】

【お手柔らかにじゃないが??】

¥5,041

【まずは渾身の初手こんよいよいをひまに見せてやれ!】


『こ、こんよいよい…こんよいよいか…な、夏華先輩…!』

『ひま先輩でいいよ!!』

『あっ、あ、は、はぃ…』

『こんよいよいとっっても可愛いよね!! こんよいよい!! あっ、私の場合はこんひまひま? こんひまひまー!!』


¥1,555

【ダメそう】

【こんひまひまー!!!】

【こんひま!】

¥7,700

【この真夏に咲く向日葵のような笑顔とこんひまが俺を狂わせる…】

【そんな…リスナーもひまに負けてしまった…】

【こいつ負けを悟るのが早すぎるだろ!】

¥3,000

【宵お前…消えるのか?】

¥12,000

【この成長コンテンツまったく成長してないな…】

【宵は一度心を許すとかなり強いんだけどね】

【まさかこんよいよいを撃たせてすら貰えんとはな…】


 凄まじいまでの陽キャぢからを前に、これまで積み重ねてきたコミュ力が消え入りそうになるのを感じる。…達人は僅かな時間、僅かなやりとりでお互いの実力を悟るという。配信が始まって十分にも満たない時間で、オレは相手との力の差を痛いほどに理解してしまったのだった。だれかたすけてぇ…!

 …それはそれとして「こんひまひま」はかなりかわいいな…。

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自信なさげなこんよいよいが俺を狂わせる……
盛大な計画が動き出す
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