テスト勉強やってない。テストがやばいの
今週。1話目の更新です。
今週はあと1話。うまくいけば2話の更新ができそうです。
誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
やばいよ。
私は焦っていた。
最近、調子が良かった趣味にばかり時間を費やしてしまい。
「来週のテスト……どうしよう」
テスト勉強を一切していなかった私は机に突っ伏して頭を抱えた。
「ど、どうしたのよ。なっちゃん!」
登校してきた静が夏葉の姿にぎょっとして駆け寄る。
「あっ。静。おはよー」
夏葉は静の姿に気付くと顔を上げて朝の挨拶をする。何時も通りの彼女の様子に静はホッと息を吐く。
「おはよう……なっちゃん。登校そうそう驚かさないでよ。もう……」
「おどろく?」
静の言葉をおうむ返しにつぶやきながら首を傾げる。
その言葉に静はうつ向くと夏葉の胸の辺りで視線を止め、深いため息を一つつく。
「……登校したらなっちゃんが具合悪そうに机に伏しているのよ。驚くわよ」
その言葉で静の言いたい事に気付いた夏葉は心配性な親友に苦笑した。
「心配しすぎよ。もう10年以上前の話よ。
おかげ様で、新しい顔を貰った粒アンパンマンよりも元気だよ私」
自身の元気度の例え方に静は思わず吹き出すと。
「新しい顔の粒アンパンマンなら安心ね。
じゃあ、さっきのアレは何?」
「来週のテスト……」
「テストが何かしら?」
話が見えずに首を傾げる静に夏葉は口を開いた。
「テストがやばいの。どうしよう……静!」
そして、夏葉は今にも泣きそうなうるうる瞳で静にしがみつく。
「助けてあげたいけど……私は今週家の用事で外せないのよね……」
「そんな……このままじゃ私は赤点だよぉ」
静の言葉に夏葉はうなだれ来週のテストに絶望する。そんな彼女に呆れつつ、
「赤点なんて……普通に授業受けていればまず取らないわよ」
「それは静が学年トップの天才だからだよぉ」
医学の道を目指す静は毎回行われるテストで必ず3本の指に入る成績をおさめているのだ。
「でも。そうなると、誰かに教えてもらうしか無いわよね。
たぶん山木君なら喜んで教えてくれると思うけど……」
話ながらチラチラとこちらに目を向ける山木に目を向け静は言う。彼は夏葉が気になりよく視線を向けて来るのだ。夏葉は全く気付いていないけど……
そして静は視線を夏葉に戻す。すると予想の通り彼女は静の言葉にびっくりと怯えていた。
「その様子では無理そうね。そのあがり症もどうにかしないといけないわね」
実はあることがきっかけで夏葉は人との付き合い方に戸惑いが生まれ、そして怖くなり、結果極度の人見知りとなってしまったのだ。これは面白い事に出会った2年前からから普通に話せている優太は知らない事実。
夏葉がまともに話せる人は、子供の頃からの親友である静や長い付き合いのある(一方通行含む)人くらいでおどろく程に少ないのだった。
「なっちゃんが緊張せずに居られて、勉強を教えられる人……そんな人は……」
言葉に出して静は夏葉の交友関係を思い出しながら考え込む。
数秒後、静と夏葉は同時に。
『あっ!』
夏葉の厳しい条件を満たす少年の存在が頭に浮かび声をあげたのだった。
「でも。でも。先輩だってテストあるし……きっと迷惑だよ」
そう言って夏葉は、優太に勉強を見てもらう事に難色をしめす。
そんな彼女の顔を見つめて、
「このままじゃ赤点なんでしょ。駄目元で頼んで来なさい!
はっきり言って今回は、全部テスト勉強サボった夏葉が悪いのだからね。ほら……さっさと行きなさい!!」
静は意識してきつい言葉使いで急き立る。
「い、行ってきます!」
普段と異なる厳しい声音に驚き夏葉は慌てて教室を飛び出して行った。
その後ろ姿を見送ると、
「頑張れ」
夏葉の淡い気持ちに気付いている静はそっとつぶやいたのだった。
【テスト勉強やってない。テストがやばいの】を最後までお読みいただきありがとうございます。
夏葉は優太に勉強を教えてもらえるのでしょうか?
そして、二人の関係はどうなるのでしょうか。
そして優太との関係からは予想外の極度の人見知り。書いていて自分で驚いた。設定が生えた。
この方が後半盛り上がると思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
追伸
先日、何も考えずに書きたいように書いたコメ多目のラブコメ(コメ=ネタなんで、つまらなかったらごめんなさい)もよろしくお願いします。
タイトル:俺がパン咥えて走っていると幼馴染みが……って、逆だよそれはっ!