疑惑と報道
夏葉が声を取り戻し、喜びあう優太と夏葉。
だが、そのタイミングであることに気付いてしまった優太は『気のせいだ』や『勘違いだ』とソレを否定する為の理由を考えてみるも上手くいかず、複雑な思いを胸に抱いてしまった。
いくら考えても答えは出ず、明日。優太は直接彼女に問い質すことにした。
翌朝。
いつもよりも少し早くに家を出る。
通学する生徒が集中し始める時間帯。大通りを多数の生徒が徒歩であったり自転車であったりと優太の前を通り過ぎていく。
優太は見通しの良い場所まで進み、周囲を見渡した。
「…………居ないな」
その場に5分程とどまってみたが彼女の姿を見つけることはできなかった。
「仕方ない。学校で待つか……」
話の内容的には学校で話すべきではないが仕方ないか。
連絡先を衝動的に削除してしまったのは失敗だったな……
連絡が取れない若干後悔しつつ。学校へと向かい優太は歩き出した。
「ん?」
優太は足を止める。目の前には母校の校舎。
あの時と同じ様に、ざわつき、学校全体が浮わついていたのだった。
「何かあったのか……?」
話の聞ける知り合いを探しながら校舎へと向かう。
昇降口にたどり着くと、優太は下駄箱に靴を仕舞うクラスメイトの剛志を見つけた。
「剛志!」
「おう。優太か……おはよう」
「おはよ」
靴を脱ぎ、上履きを手に取りつつ優太は辺りを見渡してから剛志に尋ねた。
「ひょっとして、また何かあったか?」
「えっ…ああ。ずいぶんと無関心になったんだな……」
優太の問いに剛志は何とも言えない表情をうかべた。
剛志の言ったワードに優太は眉をひそめると、
「無関心?」
おうむ返しに問い返した。
「実はな。この前の事件の関連で……今朝。警察がすずさんの自宅を訪れてそのまま警察へ連れて行かれたみたいだ。
偶然、その場を何人かが見ていたみたいで、一気に広まった」
剛志は昔から知りたい事があると何故か傍にいて、彼に聞くとその答えを知っている。まるで腕利きの情報屋みたいなやつであった。
「えらく冷静だな。
裏切られたとはいえ、元カノの幼馴染みだろ?
もう少し何らかの反応しめすだろ普通はさ」
剛志は優太の目を見て首を傾げた。
「無関心と言うよりも……その目は……悟ったと言うよりも、むしろ……知っていたのか?」
「いや。知らない」
優太は、首を横に振ると染みの目立つ天井を見上げた。
「実は予想できていたというか……」
優太は語り始めた。
昨日、気付いたすずの疑惑についてを……
「すずがさ。あの事件現場に居なければ知らないはずの夏葉のあることを知っていた。
警察だって会見で伏せていたはずの事実をなぜ知っていたのか……昨日気付いて、問い質そうと朝から探していたんだ」
優太は当時を思い出し、すずが放った心ない言葉『左胸に大きく醜いキズがあるのよ……。醜いキズが』を思い出して顔をしかめた。
剛志も優太の言葉を聞き思わず顔を引きつらせると、
「うわぁ。タイムリーと言うか……ある意味絶妙なタイミングで……」
声を漏らしたのだった。
【疑惑と報道】を最後までお読みいただきありがとうございます。
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現在、ラストに向けての執筆と修正等の見直しを優先しております。
今後の展開については、次の話で本編はラストの予定です。
本編終了後、結末として7人程度(基本1人1話として7話)ですがその後や末路を描き完結とする予定となります。
誰が登場するのかは……
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