希望3
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夏葉の両親との顔合わせを終え優太は彼女の家を後にした。その隣には夏葉の姿。
カジュアルな装いの夏葉に目を向ける。これまでのだぼっとした印象の服からの変化に優太は見惚れる。
《そんなにじっと見つめないで下さい。恥ずかしいです》
顔を赤らめてノートをかかげる。
ノートの文字を読み、我に返り、優太は視線を反らした。
「じゃあメシ……行くか?」
短い沈黙に終止符をうち優太は夏葉に言った。
夏葉のお洒落を見た彼女の両親はニヤリと笑うと、
「なつは。せっかくおめかししたのだから2人でご飯にでも行って来なさい」
言う母とその横でうなずく父。
「…………」
両親の提案に戸惑う夏葉。すると彼女の母が夏葉に歩み寄り、そっと何事か耳打ちする。
何故か動揺してチラリと優太を見つめた。2人の目が合う。
慌てて目を反らす夏葉。その頬が赤く染まる。
夏葉の可愛らしさに目を奪われる優太。
付き合いはじめたばかりの2人は互いを強く意識してしまい、甘酸っぱくもどこかぎこちない雰囲気をかもし出した。
夏葉の両親の目の前で……
ちなみに、彼女の父はどこか複雑そうな表情を浮かべ。母は終始嬉しそうであった。
そんな2人の視線に気付いた優太達は顔を真っ赤に染めつつもしっかりと手をつなぎ、逃げるように家を飛び出し、今に至る。
大学受験を控え、これまで勉強尽くしできた優太は困っていた。
夏葉と恋人同士となってからの初めてのランチだ。見栄をはりたいと思うが残念ながら予算が無い。
すずとの関係が破綻した今にして思えばバイトも少しはしておくべきだったと優太は後悔した。
「どこにするか……」
悩む優太。予算の兼ね合いで頭に浮かぶは牛丼やラーメン等の記念すべき初めてのデートではあまり行きたくない店ばかりが並ぶ。
《優太さん》
「ん? 何?」
ノートをかかげる夏葉。
すずに遠慮して、想いを殺して先日まで一歩引いて優太と接していた夏葉は、無意味となってしまった『すずとの将来のための努力』を知っていたからこそ彼の悩みを察して、
《私。行きたいところがあります》
かかる金額も加味して夏葉はノートに希望を書いたのだった。
夏葉の行きたかったお店。それは優太もよく知るお店であった。
ノック音が聞こえ。
「305号室のお客様。ご注文のお料理をお持ちしました」
言って店のスタッフはフライドポテトやサラダにピザとパスタをテーブルに並べていった。
夏葉の希望したお店は防音設備の整った個室で食事もできるある種2人にとってらしいと言えばらしいそんな場所であった。
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