挨拶
昨日からすごく寒いですね。
優太と夏葉。2人が付き合いはじめて2日。
2人は平穏な日々をすごしていた。
まず、2人に向けられていた悪意が、グローリアス代表の彩香が学校を訪れた日から徐々に減っていった。
皆、気付いたのだ。
なぜ彩香が自ら来校したのか。
不良達の悪事……いや。犯罪を今回だけ揉み消す事ができなかったのか。
そして、夏葉の声を失ったタイミングと重なるKOYOーの活動休止。夏葉はKOYOーで、優太は話題の相棒ではないのかと……そう結論づけるまでそう時間はかからなかった。
普通であればその正体にクラスが浮き足立ちお祭り騒ぎとなったであろう。
だが、今回はある理由から様相が違った。いじめていた相手だったからだ。正体がバレた2人が平穏な日々を送る事ができたのだった。
《緊張している?》
ノートの文字を見せる夏葉。
告白したあの日、言葉にはならなかったが一瞬確かに声が出た夏葉であったが、あれ以来声帯を通しての音は彼女の口から出ることはなかった。
『何かきっかけ……夏葉ちゃんの心を揺さぶる様な何が必要なのかも……』そんな事を考えながら優太は夏葉の隣を歩く。
顔だけを夏葉に向け、
「緊張するに決まっているだろ」
優太はつぶやいた。
不意に夏葉は嬉しそうな表情で優太の手を握る。2日前からするようになった恋人つなぎというやつだ。
変わった2人の関係。ぎこちなさは残るものの、2人は頬を染め、幸せそうにその顔を少しだけにやけさせていた。2人とも初心なのだ。
「なあ」
優太の声に夏葉は顔を向け、コテンと首を傾げる。その仕草が可愛過ぎて心で悶えつつも話を続ける。
「俺。殴られたりしないよな?」
不安になり尋ねると夏葉はノートを取り出し、
《?》
「なんだか……夏葉ちゃんの両親からの呼び出し。
まるで結婚の挨拶に行くような心境だよ……緊張する」
優太の言葉に夏葉はあきれた表情を浮かべて。
《昔の漫画じゃないんだから……
私との結婚はやっぱり嫌なの?》
一瞬だけ『ん?』と思ったが、不安そうな夏葉に優太は慌てて自身の本心を言葉にのせる。
「夏葉ちゃんとは俺は家庭をきずきたいと思っている。ただ今回は突然というか……急すぎるというか、いろいろすっ飛ばし過ぎていて心の準備が……?」
そこまで言って、ふっと優太は気付いた。
『あれ? いつの間にか結婚の挨拶に行くみたいな話になっていないか?
呼び出されて会いに行くから違うよな……恋人らしいことしないで結婚はさびしい』
夏葉の両親が優太を自宅に呼んだ目的は……
2人の将来に大きな影響を与えることとなるのだった。
【挨拶】を最後までお読みいただきありがとうございます。
夏葉の両親はなぜ優太を家に呼んだのでしょうか?
その理由は……
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