夏葉の絶望2【夏葉視点】
数日偏頭痛で、ずっと寝ていました。
更新遅れてすいません。
コメント返しは後で行います。
あの事件の後、声を出せなくなってしまった私に先輩は今迄と変わらず接してくれた。いいえ。むしろ以前よりも積極的に……
『よかった。私の手術跡。先輩気付いていない。
こんなに醜いキズ物女なんて先輩にふさわしくない。いつかは別れることになるけど、あと少しだけ私にこの幸せな時間をすごさせて下さい』
そう思い。私は隣を歩く先輩の手を握った。私達は普段よりも近い距離で歩いた。
しかし、私の幸せな時間は突然終わりをむかえた。
すずの登場によって……
すずは先輩と別れてから変わってしまった。昔の彼女は尊敬していた。先輩とはお似合いで、将来は先輩とすずは結婚して幸せな家庭をきずいていくのだと思っていた。
先輩と別れてからすずははっきり言って傲慢で嫌いだ。最近は余裕が無いのか雰囲気も尖った刃物の様で怖い。
すずは私を睨み、意地の悪い顔で先輩に私の秘密を……
「…………」
言ってしまった。
いつの日か、秘密を打ち明け、先輩と別れることになると頭の中ではわかっていた……けど、あと少しだけ今の心地よい関係を続けていたかった。
『あの事件で、私の手術跡に気付かれていなかったのに……。安心したところにこれはあんまりだよ』
十数分前の予め覚悟していた時と違いその絶望感は凄まじかった。
涙が溢れてくる。
そんな私を見て、すずは浮かべていた意地の悪い笑みを深める。
感情がぐちゃぐちゃして、気持ち悪い。
「…………」
私はたまらずその場から逃げ出した。
「…………」
ぐちゃぐちゃした気持ち次第に落ち着き、私の心には悲しみと寂しさだけが残った。
立ち止まった私は周囲を見渡し、
『ここは……』
無意識のうちにたどり着いたのは小さな公園であった。
『懐かしい……』
10年前。未来に絶望していた私は、ここで彼の歌に出会った。
以来。私は辛いことがあるとここに来てこっそりとその歌を聞いていた。不思議な事に聞きたいと思った時にここを訪れると彼はここにいた。
このキズはこの時に受けた手術跡で、心臓と動脈に疾患があり、流れる血流の勢いに心臓や血管が成長すると耐えられなくなり破裂してしまう。それを回避する為の手術であった。
心が無意識に彼の歌に癒しを求めたのだろう。だが当然ここに彼は居ない。
「…………」
私はブランコに座り、再び泣いた。
どれだけの時間が経過しただろうか?
「…………?」
不意に人の気配を感じて、私はそちらに目を向けた。
そこには居るはずのない……
『せんぱい?』
『なぜ?』
「……隣いいか?」
隣のブランコを見つめ先輩は言った。
肩で息をする先輩を呆然と見つめること数秒。私はコクリとうなずいた。
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