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受験勉強していたら幼馴染みの彼女が浮気してた。  作者: タイラ・ヒラ・タイラ
本編
37/59

疑惑

 彩香が学校を訪れた日の放課後。

 教師達は大慌てで体育館にパイプ椅子やテーブルを並べていた。所謂会場設営である。

 今日の19時から今回の拉致/監禁/強姦未遂事件で明るみとなった教育委員会と学校の不祥事について記者会見を行うのだ。

 普段であればこういう会場設営は生徒が行うものなのだが、流石に良心が痛むのか教師達が行っている。生徒は授業が終わり次第帰宅となっていた。



「悪い。待たせたか?」

 校門の側で優太は足を止めた。目の前には夏葉と静の2人。すずと別れてから当たり前となった日常の光景。

 だが、今日はこれまでとは少し様子が違っていた。


 これまでは、優太に気付くと花の咲いた様な笑顔を浮かべて走り寄っていた夏葉であったが、今は静の背に隠れるようにして怖々と優太を見つめていた。

 夏葉の行動に静も戸惑いの表情を浮かべると、視線を優太と夏葉の間をさまよわせている。


「……俺。ひょっとして……何かやっちゃってる?」

「えっ……あ。ごめんなさい」

 優太のつぶやきに、静はハッとした顔をすると慌てて首を振り、隠れる夏葉を引っ張り出すと。

「ほら。なっちゃん。貴女の王子様が来たわよ」

 夏葉の耳元でそっとささやいた。

「…………」

 静の言葉に赤くなる夏葉。そして、優太と目が合い、数秒後には心なしか青ざめてしまう。

 そんな夏葉の様子に寂しさを感じつつ、少し距離を取り、優太は優しい声を心がけながら告げる。

「あんな事があった直後だから男が近くに居たら……怖いよな」

 寂しそうな表情を浮かべる優太に夏葉はフルフルと顔を横に振り違うとジェスチャーを送った。


 優太と夏葉の様子を微笑まし気に見つめた後、静は2人に用事があるからと1人先に帰ってしまう。

 優太と夏葉の二人は、あの事件のせいでお互いが変に意識してしまい非常に気まずい。


「じゃあ……か、帰ろうか。夏葉ちゃん」

 コクコクと夏葉はうなずく。

 2人は並んで歩き出した。

 優太はすぐ隣に居る夏葉に顔を向け、

「大丈夫か?

 辛かったらもう少し離れ……」

 言葉の途中で夏葉に袖を引っ張られ、優太は目を向ける。

 夏葉はカバンから一冊のノートを取り出し。

《ありがとうございます。先輩。

 でも。この距離がすごく落ち着くので、その。このままがいいです》

 書き込むとノートを掲げた。

「了解」


 普段よりも()()()()で夏葉と歩いていると、

「ユウ君」

 背後から優太を呼ぶ声。ほんのひと月前はこの声を聞く度に嬉し恥ずかしい気持ちになった大事な声だったはずが、今は不思議と何も感じない。幼馴染みのすずの声……

 優太と夏葉は足を止めてふり返る。


「すず。体調は大丈夫か?」

 学校を休んだすずに尋ねる優太。気づかいの言葉にすずは嬉しそうに笑うと。

「ユウ君。私が間違ってたの。

 れんとは別れたよ。ちゃんと反省しているから……お願い。私とやり直そ……ね?」

 フラれた直後であったならうなずいていたかも知れないが……はっきり言って今更あった。

 辛かった時に支えてくれた夏葉に優太が好意を持つのは自然な流れであろう。その支えてくれた彼女がピンチなのだ誰だって寄り添い助けたいと思うはずだ。

 当然、優太の答えは決まっている。彼は首を振り。

「もう。今更だよ」



「っ! この女のせいねっ!」

 優太の言葉の意味を理解するとすずはキッと夏葉を睨み付けわめき出す。

「この泥棒猫。ユウ君は私の大切な幼馴染み……大切な人なのよ。返しなさい!」

「いや。お前が俺をこっぴどくフッて……捨てたんだろ……」

 幼馴染みの変わり様にどん引きしつつも優太は思わず突っ込みを入れていたのだった。

「それは……えっと。私。れんに騙されていたの……」

 突然、すずは夏葉を指差し、

「私も騙されていたけど、ユウ君もその女に騙されているのよ!」

「……は?」

『突然、何を言っているんだ?』と訝しむ優太と夏葉。

 すずは夏葉に顔を向け、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべて、

「だってこの女。すごく醜いのよ。左胸に大きく醜いキズがあるのよ……。醜いキズが。

 そんな醜い女が、ユウ君を騙して彼女ヅラなんて許される訳無いでしょ?」

 すずは、夏場でさえも生地の厚い冬服を着込んでまでして必死に隠していた夏葉の秘密を声高にぶちまけた。その時のすずの顔はとても醜く、優太の知るすずとは別人の様だった。


「…………」

「あっ。夏葉ちゃん!」

 すずの心無い言葉に夏葉は涙を流し、逃げる様に走り去る。その後ろ姿をニヤニヤと見送るすず。

 夏葉を追いかけようと数歩分走り、不意に立ち止まると優太は振り返る。

「…………」

「ユウ君」

 立ち止まった優太を見つめて嬉しそうにすずは微笑む。

 近付くすずを手で制して。

「……肩から脇腹にかけての手術跡のことだろ?

 確かに夏葉ちゃんからは聞いていなかったけど……知ってたよ。お前、本当に変わっちまったんだな。俺の知る()()()()()すずは絶対にそんな言葉言わなかったよ」

 実は夏葉を助けに駆けつけた際にキズのことは気付いていたのだった。

「えっ?」

 呆然と佇むすずをその場に残して、優太は夏葉を追いかけ走り出した。得体の知れないモヤモヤを感じながら……

【疑惑】を最後までお読みいただきありがとうございます。



夏葉の秘密は手術跡でした。

年頃の女の子に大きな手術跡はキツイですよね。

しかも胸であればきっと自分の魅力に自信が無くなってしまう程に……


ネットで調べたところ肩から脇腹にかけての切り開いての手術はほぼ存在しないと思われます。医学に詳しくないので断言は出来ませんが……これはストーリーの演出となりますので大目に見ていただければと思います。



よろしければ、コメントで夏葉の秘密に気付かれたタイミング/いいね/評価/ブックマーク等の足跡をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 肩から胸なので何かしらの事故でしょうか?? 心臓病の手術跡は見た事ありますが…胸の真ん中辺りを真っ直ぐにあったのでまず違うと思った
[一言] 玉兎さん >数歩分走り 数歩分なので、少ない歩数の事を言いますよ。 5、6っぽ歩いたぐらいの感覚だと思ってください。
[一言] ≫夏葉を追いかけようと数歩分走り、不意に立ち止まると優太は振り返る。 数分も走ったら数百メートルは離れてしまい、大声で話さないと聞こえない距離になると思うので、走った時間は数秒くらいにして…
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