KOYOー活動休止【明海視点】
何かがおかしい。初めてそう感じたのは何時であったか……
違和感を感じた時にその正体を確かめなかった事を将来私は後悔することになる。
月曜日。
私が学校に登校すると教師陣を中心に右往左往の大慌てであった。
普段と違う雰囲気の校舎を不思議に思いながら私は教室へと向かう。
教室――
「おはよー」
私は何時も通り朝の挨拶をしつつ教室へと足を踏み入れた。
クラスメイトの視線が集まり、一瞬、静まりかえる教室。
「あ。おはよー」
クラスメイト達が私に気付き挨拶を返してくれた。何故か若干の戸惑いの様なものを彼等から感じるが、おおむね何時も通りの光景である。
私はカバンを置くと5人でグループを作り話し込んでいる女子グループの元へと向かって歩いて行く。
どうやら彼女達は、私が知りたいと思っているこの学校で起こっている事について話し合っているようであった。
「ねえ。何があったの?」
彼女達の元へとたどり着き、私は問いかけた。
私の問いに、
「下のクラスで拉致/監禁/強姦未遂事件があったらしいよ」
予想だにしない答えに私は眉をひそめる。
彼女は更に言葉を続ける。
「犯人はよく問題を起こしているあのグループで……流石に今回は逮捕されるらしいよ」
「強姦未遂……そんなヒドイことまでやっているなら当然よね」
「強姦未遂までは流石に隠蔽はできないよね。流石に学校も……」
不良グループのこれまでのやんちゃや噂を思い浮かべたのだろう彼女はつぶやくとホッと息をはいた。
「襲われた娘が心配ね。トラウマになってなければいいけど……」
私の言葉にクラスメイト達は視線をさ迷わせると、
「……襲われたのは下のクラスの夏葉さんで、彼女はその時のショックで声が出なくなってしまったみたい。
でね。彼女を救った人が……うち等のクラスの優太君なんですって……」
「え?」
「しかも、拉致られたと知るやあのグループのたまり場に単身で駆けつけて……らしいよ」
優太のイメージからかけはなれた行動に私は絶句する。
「ねえ。本当に明海のいう通りにクズなの……彼?」
その問いに私は答えることができなかった。
そして、この日。
私の立場を変えてしまう決定的な出来事が起こってしまった。
今回の事件でグローリアスの一行が来校したのだ。
グローリアスという会社。
そして、話せなくなってしまった夏葉と同タイミングでの理由が語られていないKOYOーの活動休止。
ここまでくると夏葉の正体。そして、優太との関係は……
ここまで考え、あることに気付き血の気が引いていく。
以前にKOYOーは生放送で言っていた……彼との関係を。あの状況でKOYOーが嘘をつくとは思えなかった。
感じていた違和感が1本の線で繋がっていく。
みんなもうすうす気付いたのだろう。時間が経つにつれて私を見る目が……
「すずさんに確かめないと!」
私はこの日、すずを探したが出会うことはなかった。
そして、放課後。私は校長室に呼び出されたのだった。
そこで聞かされた内容は……想定していた中で最悪なものであった。
〖KOYOー活動休止【明海視点】〗最後までお読みいただきありがとうございます。
明海の話はあと1~2話ある予定です。
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