夏葉の悲鳴。優太と目が合った時が1番大きな悲鳴だった……
手がかり無しの状態で優太が夏葉の元に駆けつける方法。時間がかかると貞操がアウトなのでけっこう悩みました。
方法を思い付いても、この方法を優太が夏葉にしたら別の問題が……
それもなんとかクリアしました。
「何ですか?」
彩香に引き留められた優太は直ぐにでも走り出したい気持ちをおさえて憮然とした表情を向ける。
そんな優太の様子から彼の夏葉への想いが伝わり、このような状況だというのに自身の元婚約者と比べてしまい夏葉が少し羨ましいと感じてしまう彩香。
「心当りはあるの?」
「そんなの無いですよ。
……ここから夏葉ちゃんの家までの間を探せば何らかの手掛かりくらいは……」
「ノープランね」
優太の言葉に彩香は『予想通りね』という表情を浮かべると、右てのひらを優太に向ける。
「私が今日、持って来るように伝えていた仕事用のスマホは持って来ているわよね? 」
「言われていたので確かに持って来ているけど……」
「じゃあ。はやく出して。急いでいるのでしょう!」
優太へ支給したスマホを受け取り、彩香はあるアプリをインストールする。
実はこのスマホは【HIT DOG】のメンバー達に支給する予定で準備を進めていた物であり、ある目的の為にとある機能が内蔵されていた。もっともスマホがロールアウトする前に全てが終わってしまっていたが……
「……よし!」
彩香は頷くとスマホを優太に返すとスマホの画面を指差し、
「夏葉さんはここに居るわ!」
「えっ!」
彩香の言葉に優太は慌ててスマホを確認する。
地図アプリが立ち上がり、あるビルに赤いマークが付いていた。
「元々はある人の素行調査の為に開発した機能なのだけど……完成前にボロを出してくれて使わずじまい。
それがこんなところで役に立つなんて思わなかったわね」
しみじみと彩香はつぶやいた。
優太と夏葉には、れんの浮気調査用として用意されたスマホと同タイプが支給され、仮に電源が入っていなかったとしてもスマホの位置が特定できる仕様となっていた。
優太と夏葉へ支給するスマホには、この仕様を削除してから支給する予定が手違いにより削除がされていなかったのだ。
そのことに気付いた彩香は2人のスマホを回収。この仕様を削除する予定であった。
「って……彼は?」
「あちらです」
物思いにふけっていた数秒の間に目の前から忽然と優太が消えていたことに驚く彩香にあさひは前方を指差し言った。
「愛されているわね……夏葉さん」
「そうですね」
スマホの指示に従い夏葉の元へと急ぐ優太の後ろ姿を見つめ2人はつぶやいた。
「さて。警察への通報と私達も夏葉さんの元へ急ぎましょう!」
そこは区画整理の為に立ち退きが完了したビルの1つ。ビルの解体が始まるまでは無人となっている場所を地図アプリのマーカーが指し示していた。
このような場所に夏葉ちゃんが立ち入るはずがない。間違いなくこの場所に無理矢理連れ込まれているっ!
怒りに身をふるわせ優太はビルへと足を踏み入れた。
「いやぁぁぁ! やめてぇっ!!!」
聞こえる夏葉の叫び声。そして、少年達の楽しそうな笑い声が夏葉の叫びと混ざり辺りにこだまする。
「しかし、我等の学年マドンナ様にこんな秘密がねぇ。
まあ、思えば納得て言えば納得か……」
「とはいえお前も全然イケるだろ?」
「まあぁな」
下卑た欲望をおさえきれない少年達の声。部屋に入らずとも何が起こっているのか想像できてしまう会話に焦る優太。
「次はいよいよ下着の番だ!」
走り。走り。走り……
たどり着く。
「そこまでだっ!」
夏葉の閉じ込められている部屋の扉を勢いに任せて蹴り破り優太は中へと滑り込んだ。
目の前には下着姿の夏葉とその夏葉に覆い被さる1人の少年。
夏葉は助けに来た優太に気付き、目が合うと、これまでで1番大きな悲鳴をあげ、
「先輩。こんな私を見ないでください。こんな……」
胸元を手で隠す様にして優太に懇願した。
【夏葉の悲鳴。優太と目が合った時が1番大きな悲鳴だった……】を最後までお読みいただきありがとうございます。
前書きで触れた夏葉の元にたどり着く方法。
会社から支給されたスマホのGPS機能を利用して駆けつけるでした。
最初は夏葉のプライベートスマホをGPS機能でって考えましたが……これ優太がやったら犯罪だよな……と。
そこで本契約の後に会社からスマホを支給。彩香が設定を行い、追跡するって流れにしました。
れんの浮気調査を想定して作られた物なので電源が切れていても追跡可。
※21話の彩香のセリフを一ヶ所修正してれんの浮気調査を検討していたようなセリフに変更。
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