ネガティブキャンペーンとその目的
朝からすでに暑い。
今日も猛暑日ですかね。
今週はあと1~2話更新予定です。
剛志からの電話に出る。
「もしもし。どうした?」
『どうしたって、それは僕の台詞だよ。明海さんとトラブってないか?』
「ああ。少しだけ……何で知ってる?」
優太は思わず左頬を手で触れながら剛志に問う。
『実は1時間程前から明海さんが、お前の浮気のせいですずさんが苦しんでいるってネガキャンしてんだわ。
そして、不味い事にクラスのほとんどが、この1週間の夏葉さんとの関係でその話をみんな信じている』
「ネガキャン……ってか、剛志は連絡くれたって事は俺の事信じてくれるんだな」
『なんだかんだつき合い長いからな。
それに、当時、言うか迷って結局言わなかったんだけど……実は何度か街ですずさんと感じの悪いイケメンがデートしているのを目撃していたから……な』
「…………」
『今にして思えばその時に伝えておけばって反省してる。悪かった』
「いや。どちらにしろその時点で既に手遅れだったんだろうから気にするな。
正直なところ、幼馴染みだったし、いろいろと思い出があるから思い出すと……心には来るけど。それだけだ」
『…………』
数秒の沈黙がおとずれる。
「どうした?」
『いや、なんだ。昔からお前のすずさんへの想いを知っているだけに……予想外に冷静な事に驚いただけだ』
「まあ、2週間もあればある程度、気持ちに区切り位つくしな。
それに、最近は良い意味でバタバタしていたからな」
すずにフラれてから今日までの日々を思い出す。
「…………」
冷静に考えると、ただ流されていただけの気もしないではないが……
本当にいろいろあった。
『夏葉さんか……』
スマホの向こうで、苦笑する剛志。
『めちゃくちゃ振り回されていたよな……爆発しろ!』
「をい」
『はは。冗談だ』
不意に声を抑え、剛志は真面目な声音で。
『だが、優太。
さっきも言ったが、クラスの男子の大部分がお前に嫉妬して明海さんのネガキャンに賛同しているから。気を付けろ!』
「気を付ける?」
『ああ。実は明海さんとはこの3年ずっと同じクラスだったのだが。
1年で1人。2年で2人。精神を病んでの自主退学や転校がでているんだが……2年の2人の時、その直前に今回と似たようなことがおこっているんだ』
「似たようなこと?」
『悪口……というかネガキャンだ。
もっとも当時はここまではっきりとは言っていなかったがな……』
ここで言葉を区切り、剛志は悔しそうな声音で再び話出す。
『取り合わなかったからか、それ以降は話を聞くことは無くなったんだけど、水面下でイジメに発展していたみたいなんだ。
あのネガキャンは聞いた相手の反応をチェックする踏み絵……だな』
『実は2年の時の1人とは仲良くてな。転校する寸前にイジメについて教えてもらったんだよ。全く気付けなかった……』
剛志は悔しそうに話す。
『そいつもさ。
辛いことに彼女の浮気で別れた直後にはじまるイジメ。
何故、相談してくれなかったって言ったら、迷惑をかけるからって……バカだよ』
『この先、何が起こるか予想つかないから……僕がスパイとして情報盗んで、流すな』
明日からの作戦会議の結果、先ずは情報収集って事になった。
去年のイジメは当事者以外のクラスメイトが気付かない程に巧妙だった。情報集めて、臨機応変に……である。
「じゃあ頼むな」
そう言って優太はスマホの通話を切った。
優太はベッドに倒れ込むと天井を見つめた。
「めんどくさい事になったな……
それにしても……すずもからんでいるのか?
あいつらしくない気もするが……まあ。2週間前は浮気するようなやつとは思わなかったし。俺が間抜けだったて事なんだろうな」
すずとの十数年分の思い出を押し流すかのように一筋の涙が頬を伝い流れた。
まるで優太の中にこびりついていた自身が想いえがいていた理想のすず像を押し流す様に。
「すずとの思い出は全て幻だったてことか……」
それは好きだったすずが優太の中で死んだ瞬間であった。
【ネガティブキャンペーンとその目的】を最後までお読みいただきありがとうございます。
必死に考えていた明海からの嫌がらせやイジメについて、冷静に考えた結果。ストーリーへの影響(ある人物の結末)が大きくなりすぎる可能性が高くそうならない為の保険をかける事にしました。
結果的に中途半端な嫌がらせやイジメなってしまうかもしれませんが、予定と違うざまぁにならない為の処置となります。自分の表現力不足で申し訳ありません。
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