テスト結果と彼女の才能
この話で優太とすずの苗字が判明します。
お盆休みも明日まで。休み終わるの早いです。
「テストを返すぞ!」
教室に入るなり、数学を受け持つ隣のクラス担任が生徒達を見渡して宣言した。
尚、この数学の返却で今回のテストの全科目が返ってくる。
「沢屋……今回はどうした?」
すずを呼び、答案を手渡す際に数学教師が言う。
「この時期にここまで急激に点数を落とすと不味いぞ!」
「…………」
すずの表情がひきつる。
全教科で、答案返却の際に各担当教師から似たような事を言われてしまったのだった。
果たしてテストの平均点がどれだけ下がってしまったのだろうか。
数学教師の言葉に、すずの成績を予想した明海は忌々しげに優太を睨み付けた。
すずの成績は優太の浮気のせいでひどい結果になったと思ったのだった。
「次は。鈴音優太。ポカミスだ……惜しかったな。」
「…………」
数学教師の言葉を聞きながら答案用紙を受け取る。
優太は席に戻るなり、自身の採点結果を確認した。
その結果に思わず眉をひそめる。ポカミスが2ヶ所もあり、点数は92点。勿体ないことに簡単な計算ミスによるものであった。
「今回。ポカミスが多かったな……」
テスト結果を振り返り、優太はつぶやいた。
「ポカミス対策かぁ」
天井を見上げる。教室は築十数年が経過し、所々で黒ずむ汚れが付着しはじめていた。
天井をぼんやり眺めていると、突然スマホが鳴った。Rainにメッセージが来たのだ。
夏葉からのRainであった。
「先輩!」
昇降口から外に出るなり聞こえる少女の声。優太は立ち止まると声の聞こえた方に顔を向ける。
そこにはテンション高目に笑みを浮かべる夏葉とその隣で彼女を優しく見つめる静の姿。
「よ。で、テスト結果はどうだった?」
優太は合流するなり夏葉にテスト結果を尋ねた。
Rainの内容と夏葉の明るい表情から結果の予想はついているが、聞いて欲しそうな表情を浮かべている夏葉に気付き、優太は彼女に尋ねたのだった。
すると。
「ふっふふふぅ。なんと赤点回避どころか、あの状況から奇跡の平均70点突破ですよ!」
言って夏葉は胸をはった。
「やったじゃん。おめでとう」
「えへへ。こちらこそありがとうございます」
嬉しそうにはにかむ夏葉。
ちなみに、赤点は35点以下である。なんだかんだ蓋を開けてみればかなり余裕のある結果であった。
「優太先輩。なっちゃんのことありがとうございました」
静は優太にそう伝えるとペコリと頭を下げた。
「なっちゃんは地頭自体は悪くないのですが……
天才肌で興味さえ持てれば学年上位も十分狙えるはずなのですが、興味が持てないことにかけてはからっきし……優太先輩。どんな手を使われたのですか?」
夏葉に目を向け、静は首を傾げたのだった。
「どんな手って……普通に勉強を……」
「先輩!」
夏葉が目をキラキラさせながら2人の会話に割って入る。
優太と静の2人は視線を夏葉に移す。
「この点数なら文句無しでご褒美いいですよね?」
食い気味の夏葉に優太は『そういえばそんな約束をしていたな』と思いつつコクコクと頷いて見せた。
はしゃぐ夏葉を見つめ、
「なるほど……この方法は私にはムリね」
静は1人頷き、夏葉のやる気スイッチの入れ方に納得したのだった。
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