ライブ1【すず視点】
台風の影響で雨がすごいです。
女性視点ではこの文体で良いのだろうかと書いていて不安になってきます。
困ったこと1つ。
エグイイジメってどんなのだろう……
オーソドックスなイジメしか思い浮かばない。
明海編がまさかのところで苦戦してます。
「ダメだ!」
あるお願いをするとれんは考えること無く即答した。
私のお願い。それは、【HIT DOG】がメジャーデビュー前に行う最後のライブについてのこと。
無論、ステージに上がりたいとかではなく、控え室や舞台袖でのライブ観賞等……いわゆる関係者以外立入禁止エリア内での見学についてである。
にべもなく断られるとは思っていなかった私は不満気にれんを見つめ、
「なんでよぉ?」
「メジャーデビューをひかえた今。恋愛については事務所から隠すように指示されているんだ」
れんはどこかめんどくさそうな表情を浮かべて言った。
「その代わり。特別に本番前のリハーサルを見せてやるよ」
ライブ前日。夜。
街のライブハウス。収容人数は300人弱。
メジャーデビュー直前のバンドのライブでこの人数は少ないと感じるかも知れないが、ライブハウスで考えると収容人数は多い方になるのだ。
私がライブハウスに到着するなりれんは【HIT DOG】のメンバーを集め、バンドのメンバーに私を紹介する。
『なっ?』
れんの紹介に3人は絶句すると私達を交互に見つめる。その視線からは戸惑いや恐れの感情が感じられた。
「おい。れん……どういうことだ?」
ストラップで赤いベースを肩からさげた男性が血相を変えてれんに問う。彼の言に残り2人のメンバーも説明を求めて頷いたのだった。
何をそんなに焦っているのかしら?
3人の様子に戸惑う私。対してれんはニヤリと笑い。
「だから俺の女だ。マジでいい女だろ?」
言ってれんは私の右胸に手を置き、3人に見せ付ける様に少し乱暴に揉む。
「ちょっ。れん……あっん」
「れん。何考えてんだ。女を作るのは不味いだろ……バレたらどうする。すべてが……」
「大丈夫だよ。事務所にバレるかよ。お前等が黙っていれば……な?」
アフロのドラマーの言葉を途中で遮りれんは気楽に言った。
「それより、すずのために一回通すぞっ!」
そう叫ぶとれんはステージに向かい歩き出す。
『…………』
3人は顔を見合わせて、同時にため息を吐くとれんの後を追ってステージへと向かう。
「素敵」
リハーサルが終わり、私は思わずれんに抱き付いていた。
鼻歌と違いれんの本気の歌はすごく上手くて格好よかった。
「格好よかったわ」
「だろ!」
クールにれんは笑う。
そんな彼を見つめて私は改めて思った。
流石プロよね。30分以上歌い続けているのに息1つ乱れていないなんて……
ユウ君なんて2~3曲歌うだけでバテていたものね。
〖ライブ1【すず視点】〗を最後までお読みいただきありがとうございます。
【HIT DOG】所属のれんですがはたして、メジャーデビューを控えたバンドのリハーサルがバンドメンバーだけでやるのですかね?
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