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第229話 血の気の多い観光場所

3/20

周年記念です!何年かは忘れました!



 夜になったら屋敷に戻らないといけないとは言え、まぁ私が不在でもヴィシーとペインがどうにかしてくれる。

 という押し付けの元、ここシュテーグリッツ領の首都ディザイアにてライアーと街中を共に歩いていた。


「逢い引きって、鍛冶屋?」

「あぁ。丁度武器や装備を新調したかったんだが、王都では監視もうるさいしな」

「別に今も監視すてるですけどこちとら」

「お前なら撒ける」

「撒かぬくせに」


 見られない努力を嫌うライアーがわざわざ私が把握していない要素を増やすとは思えない。ほんとめんどくさい男だなこいつ……。


「それで、どのような武器ぞ?」

「左篭手に仕込み刃を入れてるんだが、それを新調したいな。もしくは軽い剣を2本使うか」

「ライアーの篭手割と物騒ですぞね。ルナールが出てくるまで微塵も知らぬですた」

「そりゃ言ってねぇからな」

「あ、あれ鍛冶屋では無きですか?」


 道の端にそれっぽい建物があったので指さして見ると、ライアーも頷いた。あってたっぽい。

 そういえば、冒険者を始めてから鍛冶屋とか行ったことないなぁ。(おかま除く)


 家に鍛治職人というか武器の売買を担当する方が来たことはあるんだけど。訓練用の実践剣。……そうです、我が家訓練だとしても刃潰したりしないんですよ。


 ライアーが扉を開くと、熱気がほんのりと襲ってきた。中に入ると様々な武器が並んであり、受付にいるふくよかなおば様がニコリと微笑んだ。


「邪魔するぜ」

「邪魔するんやったら帰ってや」

「あいよ〜」


「……何やってるですか?」


 怪訝な顔をするとおば様は豪快に笑った。


「あっはっはっはっ!いやぁお嬢ちゃんごめんね」

「知らねぇのかリィン。ここ数年で流行ってるコントのネタだぜ?吟遊詩人がそこらで語ってやがる」

「知らぬですけど……」


 娯楽を楽しめるほど生活と出来事に余裕があると思うなよこの野郎。


「で?お父さんの買い物かい?」

「こいつを娘にした覚えは無いな……。夫人、武器を見せて貰っても?」

「もちろんさ。うちの自慢の武器、見とくれ」


 ライアーはそこらに飾ってある武器を手に取り始めた。軽く振ったり


「……なんか、普通に武器屋ぞり」

「むしろ普通じゃない武器屋ってなんだよ」

「オーダーメイド……?」


 武器を依頼して作ってくれるまで時間がかかる、みたいな。特殊な素材を使うから採取してこいとかそんな感じ。


「馬鹿だな、そんなことしてたら商売になんねぇだろ。そりゃ1部の高級店とかじゃあるかもしれねぇが、時間が無駄だろ。安定した供給と、安定した仕入れと、安定した客層。商売の基本だろ。シラヌイじゃあるまいし」


 遠回しに何言ってんだ?って言ってくる。おかしい、生粋のクアドラード人なのに。


「旦那さんは、奥で作業ですぞり?」

「ん?んふ、んんっ、ふふふ」


 おば様に聞けば、おば様はクスクスと笑いをこらえる感じで肩を震わせた。


「うちの旦那や息子はね、冒険者なのさ。ここで武器作ってんのはあたしと、弟子達だよ」

「お弟子さんですたか。じゃあこの武器のどれかはお姉さんが?」

「お姉さんだなんて可愛いこと言ってくれるじゃないの!ちょっと言葉遣いは変だけど、いやうん、変だけど」

「うぐぐ……」


 否定できない。


 仕方ない。私の言語が変なのは仕方ない。うん。実家のせいだよきっと。ウンウン。


「ともかく、ここらに出してる殆どはあたしの武器さ。弟子の武器はまだ見習いだから安く済むようにしてるよ。あそこの特売セールってやつ」

「おぉ!」


 武器にならない武器は捨てる!みたいなのをイメージしていたけど、鉄とか鉱石を沢山使ったものを捨てるのは確かに勿体ないしコストがかかる。

 げ、現実だ〜。


「わざと刃を潰したり、あえて刃こぼれさせたりして、訓練用や練習用に使ったり。そういう用途にしてるんだ。お嬢ちゃんもどうだい?」

「リィン!」

「リィンちゃんか!可愛い名前だねぇ。お姉さんはカリーナって言うんだよ。カリーナさんって呼んでちょうだい」

「はぁい」


 良い子のお返事をしたらカリーナさんはニッコニコで私の頭を撫でた。

 我、可愛かろ?サービスしてくれてもいいのよ。


「リィンちゃんを見てるとティザーちゃんを思い出すねぇ」

「…………ティザー?」


 武器を試していたライアーが顔を上げて問う。


「あぁ!半年前の戦争から姿が見えないけど、シュテーグリッツで踊ったり歌ったり、皆を楽しませてくれたアイドルが居たのさ」

「へぇ!」

「時々うちに泊まりに来てねぇ。あの子もお姉さんって言ってあたしに懐いてくれたのさ。魔法も使えないような武器しか取り柄がないこんなあたしにねえ」


 しんみりとカリーナさんが寂しそうに笑う。


「……シュテーグリッツの、アイドル?」

「なんだ、お兄さん知ってたのかい?」

「まぁ、顔見知り程度だが」


 ライアーの濁した言い方に私は首を傾げた。

 そんな私に気付いたライアーは私にも目配せすると、ヒントを与えてくれた。


「リィン。青髪と赤目の、偉そうで甲高い声の顔だけが取り柄のやつ」

「あー!」


 ティザーって、シンミアか!

 戦争中に街の外で山賊連れ回していたあのいけ好かない男!確か幹部名は猿って感じだったかな。

 確かグレンさんが倒して、もう生きていないという話は聞いていたけど。後でペインに確認しておこうかな。


「2人とも知り合いだったのか。嬉しいねぇ」

「まぁ本当に数回会話した程度だったが…。リィン、お前の武器もそろそろ新調しろよ」

「えっ」

「闘技場で依頼こなしてた時、刃こぼれが目に付いた。あと重心が合ってない。お前は軽いんだから、振り回しにくいとは思うが剣先に重心があるのを選べ」


 私のメイン武器魔法なのに!!


これからもよろしくお願いします!

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Dear恋音ちゃん 最低ランクの冒険者〜胃痛案件は何度目ですそ〜4周年おめでとうございます 4周年です、来年は何と5周年です!めでたいです! 二次創作から生まれたリィンちゃん初めてのオリジナル作品、…
まぁ 胃痛は主人公だけじゃなく感染拡大の如く 撒き散らしてるから…w
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